虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

2013-01-01から1年間の記事一覧

「名もなき毒」はひっそりと咲く月見草のような存在の秀作ドラマである

原作 - 宮部みゆき 脚本 - 神山由美子 小泉孝太郎についてどう思うか。 こう聞かれて、僕はどう答えるか。今まで、僕の中では「なにもない」だった。 彼は芸能界デビューを果たした時から、ついて回る「看板」がある。「小泉純一郎の息子」という看板である…

「逆転裁判5」

う、む。 4作目まで脚本やディレクションを担当したタクシューこと巧舟が関わらず、スピンオフ「逆転検事」シリーズのスタッフが後を引き継いだ、「逆転裁判」シリーズ待望のナンバリング新作。 クリアしました。 まずひとつ言えること。スタッフ、よく頑張…

「SHORT PEACE」

MEMORIES [Blu-ray]出版社/メーカー: バンダイビジュアル発売日: 2008/07/25メディア: Blu-ray クリック: 402回この商品を含むブログ (11件) を見る 大友克洋監督の新作短編「火要鎮」を中心に、気鋭のアニメーション監督たちの短編が見られるオムニバス。大…

「ベルリンファイル」

原題:Bereurlin 監督・脚本:リュ・スンワン 歴史は夜作られる。陰謀は異国で動き出す。 かつて冷戦時代に東西に分断され、数多くの諜報合戦が繰り広げられたドイツ・ベルリン。そこでは北朝鮮のスパイが暗躍し、他国と取引する都市として利用されていた。 …

「風立ちぬ」

原作・脚本・監督:宮崎駿 以前。まだこの作品の製作が発表されていない頃。あるイベントで鈴木敏夫プロデューサーがぽろっと本作についてコメントしたことがある。その時、鈴木敏夫はこう表現した。 今度の宮崎駿の新作は「自伝」の映画であると。 宮崎駿監…

「モンスターズ・ユニバーシティ」

原題 Monsters University 監督:ダン・スキャンロン 製作:コーリー・レイ 脚本:ロバート・L・ベアード/ダニエル・ガーソン/ダン・スキャンロン 「モンスターズ・インク」のマイクとサリーは、実は大学の同窓で、怖がらせ屋目指して青春を過ごしていました…

「劇場版 銀魂 完結篇 万事屋よ永遠なれ」

監督:藤田陽一 監修:高松信司 原作:空知英秋 脚本:大和屋暁 テレビアニメ「銀魂」の完結編と銘打った、シリーズ初の完全オリジナルな劇場版アニメーション。 うん。すごく最終回っぽかった。(←信じてなかった。) 面白かったんですが。ただ、なんつった…

「真夏の方程式」

監督:西谷弘 脚本:福田靖 原作:東野圭吾 「慎重に進めなければ、ある人物の人生が大きくねじ曲がる危険性がある。」と湯川学は言った。 東野圭吾の「探偵ガリレオ」シリーズを、連続ドラマと連動して作られる、劇場版第2弾である。第1作「容疑者Xの献身…

「しわ」

原題:Arrugas 監督:イグナシオ・フェレーラス 原作:パコ・ロカ 脚本:アンヘル・デ・ラ・クルス/イグナシオ・フェレーラス/パコ・ロカ 俺はまだ、大丈夫だ。 「そこ」へ息子夫婦に連れてこられた事は屈辱でしかなかった。エミリオはスペインで余生を過ご…

「俺はまだ本気出してないだけ」

監督・脚本:福田雄一 原作:青野春秋 「俺、絶賛将来中じゃね?」 「本当の自分を探す。」。そんな理由で40歳で勢いだけでいきなり会社をやめて、思いつきで漫画家を目指し始めたおっさん・大黒シズオ(堤真一)と、その周辺の人々を描いたコメディ映画であ…

「リアル 完全なる首長竜の日」

監督:黒沢清 原作:乾緑郎 脚本:黒沢清/田中幸子 4年ぶりの劇場用新作。主演は佐藤健と綾瀬はるか。 すごく・・・ すごく黒沢清でした。それだけで満足です。(★★★)

「華麗なるギャツビー」

原題:The Great Gatsby 監督:バズ・ラーマン 原作:F・スコット・フィッツジェラルド 脚本:バズ・ラーマン/クレイグ・ピアース 1920年代。第1次世界大戦の特需景気に沸き立つニューヨーク。その片隅で証券マンとして生きるニック(ドビー・マグワイア)…

「言の葉の庭」

監督・脚本:新海誠 以前、新海監督の作品の感想で書いた一文を引用する。 はじめにぶっちゃけますが、俺、心が汚れてるんで、新海監督作品は苦手だし前作「雲のむこう、約束の場所」なんてだいっきらい。この作品を見てもやっぱ苦手意識そのものは消えなか…

「殺人の告白」

原題:Confession of Murder 監督・脚本:チョン・ビョンギル マスコミ関係者を集めた記者会見の席上。まるで韓流スターのような笑顔で、男は言う。「私は殺人犯です。」 1995年に起こった連続殺人事件。その事件を追っていた刑事・チェ・ヒョング(チョン・…

「愛さえあれば」

原題:Den skaldede frisør 監督:スサンネ・ビア 脚本:アナス・トマス・イェンセン 私の人生はこれからだ。 そう思った矢先であった。 デンマークで美容師をしているイーダ(トリーネ・ディアホルム)は乳がんを患い、長年の闘病生活を強いられた。ながく…

「俺俺」

監督・脚本:三木聡 原作:星野智幸 ジャニーズのアイドルグループ、KAT-TUNの亀梨和也主演である。 僕は彼についての認識は「江戸川区大杉出身」という情報だけが先行している。 江戸川区民にとって大杉は昔、おかじま電器(現・100満ボルト)という、当時…

虚馬ダイアリー書き始めてから9年経ってしまった。

我がブログ,ブクマつかず。じっとキーボードを見る。 一握の砂 (朝日文庫)作者: 石川啄木出版社/メーカー: 朝日新聞出版発売日: 2008/10/07メディア: 文庫 クリック: 5回この商品を含むブログ (8件) を見るしゃべれども しゃべれども (新潮文庫)作者: 佐藤…

「グランド・マスター」

原題:一代宗師 監督 ウォン・カーウァイ 脚本 ウォン・カーウァイ/ヅォウ・ジンジー この映画はどういう映画か。というと。これはもう、ウォン・カーウァイの映画である。 映画を見終えてどう思うかと言われるとそれしかない。物語全体を通して見れば、葉問…

「セデック・バレ」

原題:賽絀克·巴莱 監督:ウェイ・ダーション 「よく聞け、セデックの戦士よ!敵の首を狩れ!血で魂を洗い流し、虹を渡り、永遠の狩り場へ行こう!」 この世には自分たちの「世界観」では理解できないことが往々にして起こる。 この映画の題材となった「霧社…

「きっと、うまくいく」

原題:3 idiots 監督:ラージクマール・ヒラーニ 面白かった。うん。 インド映画って両手に余らないくらいしか見てないので、印象としてこう「油ギッシュなサービス満載映画」というか「娯楽の洪水を胃もたれ覚悟でみる映画」という印象があったんだけど、「…

「中学生円山」

監督・脚本:宮藤官九郎 この映画の「世界」の中心は江戸川区平井にある団地である。 九時五時で仕事を終える、エロ動画とフルーツを食べることが趣味の平凡なサラリーマンの父・円山克之(仲村トオル)、地味でマニアックな韓流ドラマにはまっている母・ミ…

「ロイヤル・アフェア/愛と欲望の王宮」

原題:En kongelig affære 監督:ニコライ・アーセル 脚本:ニコライ・アーセル/ラスマス・ヘイスターバング 原作:ボーディル・スティンセン=レト 人に歴史あり。国にも歴史あり。 そりゃあ様々な過程を経て、今の「国」があるのは知ってるけど、やっぱり…

「探偵はBARにいる2/ススキノ大交差点」

監督 - 橋本一 脚本 - 古沢良太、須藤泰司 原作 - 東直己 文章を書く、ということはどういうことだろうか。 文章に出るのは、書く人間の自意識である。俺はこう見られたい。俺の事をこう見て欲しい。俺はこうなりたい。文章を書くと言うことは、「俺はこうい…

「舟を編む」

監督 石井裕也 脚本 渡辺謙作 原作 三浦しをん 言葉は「今」を伝える。 辞書は言葉の海に漂う一艘の舟だとこの映画では言う。「うん。そうか。」と思いながらも、「そうなのか?」とも思う。言葉というのはムズカシイ。 言葉の発明は時に、新たな「概念」を…

「藁の楯」

監督 三池崇史 脚本 林民夫 原作 木内一裕 うむ。もったいない映画だったなあ。 出だしはなかなか快調である。1人の幼女の暴行によるショック死による遺体が発見され、捜査線上に過去に同じような犯罪を犯した男・清丸(藤原竜也)の名前が浮上する。被害者…

「アイアンマン3」

原題:Iron Man 3 監督:シェーン・ブラック 脚本:ドリュー・ピアース/シェーン・ブラック ロバート・ダウニーJr.が麻薬で逮捕・収監されたのは1996年の事である。それでもあまりある才能で仮出所後に「アリー・myラブ」シーズン4で鮮やかに復帰し、その芸…

「容疑者X 天才数学者のアリバイ」

原題:容疑者X 監督:パク・ウジン 原作:東野圭吾 前から何回か書いているけれども、フジテレビのドラマ映画化の企画の中で、最も完成された企画は「容疑者Xの献身」だと思っている。東野圭吾の人気シリーズとなった、天才物理学者・湯川学を主人公にした…

「DRAGON BALL Z 神と神」

監督:細田雅弘 原作:鳥山明 脚本:渡辺雄介 映画の評価としては、★★★。だけど面白かったー。 映画としてはともかく、すごく正しい「鳥山明」のアニメを見た、という感想でね。 破壊神ビルスという「宇宙最強」の存在が出てくる。そいつがね、一度寝ると数…

「君と歩く世界」

原題:De rouille et d'os 監督:ジャック・オーディアール 脚本:ジャック・オーディアール/トーマス・ビデガン あのね。 まず書いておきたいのはですよ。僕、もうちょっとこう。「優しい」映画だと思っていたんですよ。「事故で足を失った調教師の女性」が…

追い詰められてもCHA-LA HEAD-CHA-LA

感想二題。