男の魂に火をつけろ!の映画テン年代ベストテンに参加します

参加します。
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映画テン年代ベストテン

1位:「これは映画ではない
2位:「新感染/ファイナル・エクスプレス」
3位:「この世界の片隅に
4位:「花とアリス殺人事件」
5位:「サバイバルファミリー」
6位:「かぐや姫の物語
7位:「バーフバリ 王の帰還
8位:「悪女 AKUJO」
9位:「アベンジャーズ
10位:「ジャージー・ボーイズ

「ジャージーボーイズ」

 テン年代中ごろから、自分の中において「ミュージカルブーム」のようなものが起きたというか、ミュージカルの「楽しさ」に目覚めたようなところがあって、その先鞭をつけてくれたのが「ジャージー・ボーイズ」だと思う。「ボヘミアン・ラプソディ」の応援上映にあししげく通うようになったり、「グレイテスト・ショーマン」を繰り返し見てしまったり、とにかくミュージカル映画を何度も何度もいつくしむように見るようになったのは私の中で事件でした。
 「ジャージー・ボーイズ」はとにかく、「君の瞳に恋してる」からのロックの殿堂での再会、そしてフィナーレへとつなぐシーンで毎回号泣してます。

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アベンジャーズ

 アメコミ映画枠ということで「アベンジャーズ」。もちろん素晴らしい締めくくりを迎えた「エンドゲーム」もいいんだけど、やっぱりなんていうのかな、この「布石」というかこの「プロジェクト」の成功がなければ、MCUの成功もなかったこと、そしてとにかく自分の映画人生の中での、「事件」級のインパクトという点においては第1作になってしまう。「こんな映画が作れるんだ!作っていいんだ!」という衝撃!映画の「可能性」を大きく押し広げ、映画の「定義」まで揺るがした。その影響力はこの第1作の成功から始まった。それがすごいと思います。

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「悪女/AKUJO」

悪女/AKUJO [Blu-ray]

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 日本でもリメイクされた「殺人の告白」というとんでもない傑作でデビューしたチョン・ビョンギル監督が世界に放つ、壮絶暗黒エモアクション。とにかく開幕アクションで度肝を抜かれ、気おされたまま激情と悲哀の物語に突入する。彼女が「完成」したとき、最も悲しい戦いが幕を開ける。その壮絶さ。「とんでもないアクションに始まりとんでもないアクションに終わる」映画でありながら、胸に落ちるは爽快感とは程遠い切ない痛み。この後味を含めて、この映画に完全にノックアウトされたのでした。



「バーフバリ」

バーフバリ2 王の凱旋 [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 株式会社ツイン
  • 発売日: 2018/02/21
  • メディア: Blu-ray

インドからやってきた映画の化け物。それが「バーフバリ」。それまでの映画の概念を大きく揺るがし、自分を含む映画ファンがこぞって熱狂した、存在自体が「事件」ともいえるとんでもない作品でした。とにかく映画館で見なければいけない映画という意味では他の追随を許さない、応援上映の盛り上がりも、今思い返しても異常というべきもので、見る「活力剤」ともいうべきものでした。映画ってこんなすごいんだ!と肌で感じさせられた映画でした。

 

かぐや姫の物語

かぐや姫の物語 [Blu-ray]

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 テン年代高畑勲という天才がこの世を去ったという意味で重要であり、そしてその製作姿勢に我々観客が、そして何よりも映画にかかわったすべての方々が戦慄したという意味で、この映画はまさに事件でした。齢70を越え、80が手に届く年齢でさえなお、アニメーション表現の新たな地平を切り開き、周りを困惑させ、製作期間を引き延ばし、湯水のごとく製作費をふくらませながら、いつ作業が終わるともしれない映画を作り続け、そして公開されたその映画はまさに圧巻。これが遺作になってしまうとはとても思えないエネルギーに満ちたものでした。その生に畏怖し、その死を悼みながら、わたしはついに作られなかった念願の企画「平家物語」に思いを馳せてしまうのです。
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「サバイバルファミリー」

サバイバルファミリー Blu-ray

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 毎年年間ベストテンを出している当ブログですが、テン年代、我が年間ベストには常連監督がいらっしゃいます。それこそ誰あろう矢口史靖監督であります。そういう存在が自分にいることもまた「事件」でありましょう。日本を代表する喜劇監督であり、コメディでなにを表現できるかをつねに突き詰める矢口監督の姿勢は首尾一貫しており、題材は千差万別、それがたとえ極限のシチュエーションであろうとも一切ブレがないことを証明した大傑作こそが本作であります。
 「サバイバルと銘打ってるのに死がない」と言う野暮な批判を目にした時は「この映画のなにを見とるんじゃ!」と激昂した私です。そんなの「戦場の兵士の戦闘を描かなきゃ戦争映画じゃない!」って言うくらい間抜けな話だ。例えリアルにシミュレートされた死と隣り合わせの世界であっても「人間性と笑い」を手放さない。そんな軽やかで強靭な矢口監督の意志を本作からは感じるのです。


花とアリス殺人事件」

花とアリス殺人事件 [Blu-ray]

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 近年見たアニメ映画の中でいちばんの「事件」でした。岩井俊二監督が見せる実写映画さながらの繊細なカメラワークで演出されたロトスコープアニメーションは、岩井俊二の実写の制約すら越えたイマジネーションの具現化とアニメーションとしても未知のカメラワークが融合し、どこかで見たようで誰も見たことがない映画になってると思います。お話はあくまで「花とアリス」の前日譚。2人の少女の細やかな機微と様々な感情をすくいつつ、アニメ表現の可能性を押し広げる傑作だと思います。テン年代で一番見てる映画かもしれません。

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この世界の片隅に

この世界の片隅に [Blu-ray]

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 見終わった時の「泣くでもなく、感動したという言葉でもなく、ただただ静かに衝撃を受けた」という感覚。「重いパンチ」を喰らったように。しばらく心が酩酊して立ち上がれないような、そんな体験は初めてだった。ヒロイン・すずさんの生活と、確実に動いていく歴史(世界)との距離。遠く向こう側にありながら、確実にそこにある。僕らはそれをより深く知っていかねばならない。この映画だけでは終わらない、「片隅」から見える、その世界の広がり、そこに続く現在までの道。そんな広がりを感じさせる映画でした。


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「新感染/ファイナル・エクスプレス」

新感染 ファイナル・エクスプレス [Blu-ray]

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  • 出版社/メーカー: 株式会社ツイン
  • 発売日: 2018/01/24
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 映画というものがこれほどの豊かさ、そして恐ろしさをを持っているものか。ヨン・サンホ監督の登場はまさにテン年代を象徴する出来事であるとすら思っています。「新感染」の圧倒的娯楽性と深い眼差しに裏打ちされた人間描写。人間というものの、善悪などという物差しを超えて、極限状態の中で「選び取るもの」を描いてしまうヨン・サンホ監督の苛烈さ、容赦なさ。それはまさに自分が「ここにいたならばどうしているか」という喉元にナイフを突きつけるが如き鋭さで、観客の心をスクリーンから目を逸らさせない。そんな映画です。

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これは映画ではない

これは映画ではない [DVD]

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 映画とはなにか。映画をなぜ撮るのか。イランの巨匠、ジャファール・パナヒ監督が突きつけた問いは、テン年代最大の衝撃でした。撮りたい話はある。撮りたい絵もある。しかし、映画を撮る自由だけがない。軟禁状態である、その中で映画を撮ろうとするジャファール・パナヒ監督の、そのiPhoneを前に悪戦苦闘する姿は、僕の心に深い爪痕を残す。傑作「オフサイド・ガールズ」を撮った後、政治的に「映画を撮る」事を禁じられていく。そんなイランの閉鎖的状況の中でも抗い続けるパナヒ監督は、今も様々な形で新作を作り続けている。「これは映画ではない」という。この映画が「存在」するということが、映画というジャンルは決して死なないという、力強い宣言にも思えてくるのである。

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2018年に見て「良かったな」と思った映画から10本を選んでみる。

toshi202018-12-30



 みなさま、どうも。ご無沙汰をしております。気がつけば年末でございます。
 今年、ブログ更新量はいよいよ、見る影もなく壊滅状態で大変申し訳なく思います。しかし、映画自体を見る量はむしろ上がっておりTwitterでは映画感想をガンガンかいてたりします。鑑賞量はブログを書かない分、過去最多120本を軽く超えておりまして。しかも面白い映画ばかりで、選定作業は難航いたしました。
 というわけで、自分が出会った映画の中から、「良かったな」という映画を10本選ばせてもらいました。「あれがない」「これもない」という方もいらっしゃるでしょうが、ご容赦いただいて、しばしおつきあいくださいませ。

10位「ボヘミアン・ラプソディ

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

ボヘミアン・ラプソディ(オリジナル・サウンドトラック)

公式サイト:映画『ボヘミアン・ラプソディ』公式サイト 大ヒット上映中!
 今年最後に爆発的ヒットを記録している、人気ロックバンド・Queenを扱った伝記映画。
 とにかく映画館で見た回数で行ったら今年一番かもしれない。伝記映画としては構成がいびつな映画ではあり、そして虚実をないまぜにした「フィクション」でもある。そういう意味で毀誉褒貶があるのはわかる。だが、それでも後半20分強を実際のライブ再現に使い、そこにドラマを収束させたのは見事であった。あそこまで「ファン以外の層」に「Queen」の音楽を響かせるクライマックスを作り上げたのは、まさに映画ならではの離れ業だと思う。
 加えて、私の初見が「Queenファンが集結した発声可能上映」というのもでかかった。その体験がとにかく衝撃的で、その出会いのせいで、私は「応援上映じゃなきゃ見れない」体になってしまった。どうしてくれる。とにかく「映画館でこそ見なければいけない映画」として忘れがたい体験でした。
 未見の方は公開中に是非。

9位「タクシー運転手 約束は海を越えて」

タクシー運転手 約束は海を越えて [Blu-ray]

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 韓国・ソウルに住む一介のタクシー運転手が、ドイツ人記者を乗せたことから、衝撃的な事件「光州事件」の目撃者になっていく物語。
 実話を元にしてはいるのだが、主人公のタクシー運転手当人がどういう人物なのか。実は長らくわかっていなかった。そこから想像を膨らませて描いた「フィクション」でもある。政治にまったく興味もなく、デモに対しても辛辣だった「ノンポリ」タクシー運転手が、外国から来たソウルから光州までの「長距離客」をせしめた事から、彼は「自分の国で何が起きているのか」を目の当たりにする。その主人公を肉付けするソン・ガンホの演技がとにかく人間くさく、政治と我々は不可分であることを身を持って教えてくれるのである。
 この映画が韓国で大ヒットしたことで、モデルとなったタクシー運転手の身元とその後の人生が判明した事を含めて、映画の力ってすごいと思わせる傑作であります。
1987、ある闘いの真実 [Blu-ray]

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8位「ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書

 ニクソン政権下で作られた、ベトナム戦争を巡る機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在がニューヨーク・タイムズでスクープされたことにより、残りの文書の存在と掲載を巡り、ワシントン・ポストの女性社主の葛藤や編集主幹の不屈の戦いを描いた作品。
 この映画における「新聞」というメディアが「権力」におもねる事なく、戦うことの苦難とその重要性を描いた作品なのですが、とにかく僕にとって衝撃的だったのは、その構成。
 僕の仕事は「新聞の印刷」であります。
 僕は新聞を「書く側」ではなく、「刷って届ける側」であります。この映画は「書く側」のドラマではあります。だが、同時に「日々刷っている」人間に対して最大限の敬意を払ってくれた映画であります。あの「スティーブン・スピルバーグ」が、そんな映画を作ってくれたのです。これが感動せずにはおれますか。
 日々書かれた内容を刷って顧客に届ける。
装填された弾丸が拳銃から射出されたかのように。輪転機が動く。魂を込めた記事が、新聞として刷られていく。その新聞を荷造りし発送する。その新聞が世界を変えていく。
この「刷る」という仕事も日々のたゆまぬ努力によって為されている、書くのと同じくらい大変な仕事なのです。そんな日の当たらない我々の仕事を、こんなドラマックに扱っていただけるとは思わなかった。劇場で嗚咽に近い号泣をしてしまった。とにかくこの作品には「ありがとうございます。」という言葉しかありません。スピルバーグ監督に最大の感謝を。

7位「アイ、トーニャ 史上最大のスキャンダル

 ナンシー・ケリガン襲撃事件を起こしたとして、当時世界中に衝撃を与えたフィギュアスケート選手トーニャ・ハーディングが、なぜそんな事件に関わってしまったのか。そこまでの半生を描いた作品。
 優美さを求められる「フィギュアスケート」界において、トーニャ・ハーディングは次々と前人未踏の技を開拓する「技術の天才」であり、彼女のそのハングリーさとある種向こうみずな性格は、母親によって形成されたことが明らかになっていく。そんな「フィギュアスケート」の技術を底上げすることに貢献してきた才能が、なぜ「転落」していったのか。彼女自身の目線から描かれていくのだが。
 その真相はあまりに衝撃的で、劇場で腰を抜かしそうになった。人間って「こんな事」で未来を失うのか。これが「悲劇」なのか。それとも「喜劇」なのか。この映画の物語が事実ならば、そのシナリオを書いた「神」はなんと残酷な事であろうか。あまりの事に「爆笑してしまった」その真相は、是非とも映画本編でご覧ください。


6位「殺人者の記憶法」「殺人者の記憶法/新しい記憶」

殺人者の記憶法 [Blu-ray]

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 アルツハイマーを患った老いた殺人鬼が、若き連続殺人鬼と対決するというスリラーである。
 この映画の白眉は、自分を構成するために必要な「記憶」を徐々に失いながら、最愛の娘のために戦う「殺人鬼」の物語であることだ。「殺人鬼」とはいえ、娘が生まれて以降は殺しをやめて一介の動物医院を営む初老の男なのだが、体力差に加え狡猾さも併せ持つ「敵」に対し、「アルツハイマー」が進行する中で戦わざるを得ない苦闘が描かれる。のだが。
 この映画の「別バージョン」である「新しい記憶」で、実はこの映画の物語に「もうひとつの可能性」が観客に提示される。この二本を見ることにより、観客は「記憶」という実にあやふやで不確かでいい加減な存在に、戦慄することになる。自分の「見ていた」物語はどちらなのか。自分は「何」を見ていたのか。観客を「思考の泥沼」に引きずり込む、恐るべき映画であります。

殺人者の記憶法:新しい記憶 [DVD]

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5位「モリのいる場所

モリのいる場所 [DVD]

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 実在の画家・熊谷守一氏を描いた物語。なのであるが、本作は「伝記映画」ではない。
 30数年自宅から一歩も出なかったと「言われている」熊谷守一氏が自宅でどう暮らしていたのか。彼のとある数日を「スケッチ」した映画で、その自宅の庭がまるで「一個の小宇宙」のように描かれている。「モリ」を演じる山崎努とその奥さんを演じる樹木希林は、本作が初共演とのことだが、まるで長く連れ添った夫婦のように「その世界」にたたずんでおりその演技が実に素晴らしい。
 もちろん「熊谷守一」氏はそこに至るまで様々な苦難を経験してはいるのだが、この映画ではそれは「匂わされる」程度で決して表立って描きはしない。あくまでも二人の老夫婦から見た「世界」に寄り添っている。その視点が実に見事で、沖田修一監督恐るべしと思った次第。

4位「ラッカは静かに虐殺されている


 シリアの内情を国外向けに報道するシリアの市民ジャーナリストのグループについてのドキュメンタリー映画
 今年、シリアで拘束された安田純平さんの事件が記憶に新しいが、シリア内戦とそこでの国内の内情を世界に発信するジャーナリストのグループがRBSS、日本語で「ラッカは静かに虐殺されている」である。
 ISによって報道が統制され、真実を報道できない国がどうなるのか。シリアの内情の一端を描くこの映画は非常に衝撃的だ。
 今、日本では「メディア」の存在は非常に軽視されはじめていて、安田純平さんへの一部で行われた「非難」もそこに端を発している。だが、権力におもねり、真実に切り込むメディアを失った国がどうなっていくのか。彼らが住んでいたかつて美しい都市だった「ラッカ」の無残な姿をそのカメラは捉えている。
 ここに出てくるジャーナリストたちは元々記者ではない。様々な職種だった人々が集い、自らの国の惨状を世界に伝えようと文字通り命がけで戦っている姿を描いている。彼らが伝えるシリアの姿はあまりつらく、見るに堪えない。だが、これは世界が知るべき真実であるのだ。この映画は「メディアが死んだ国はこうなるのだ」という警句でもある。

3位「リメンバー・ミー

 歌を禁じられた家に生まれながら、歌手に憧れるメキシコの少年・ミゲルが、憧れのスター歌手が自分の先祖であることを知ったことから、死んだ先祖に会いに「死者の国」に向かう物語。
 私には弟がいて、私が常に映画館まで行って新作映画を見に行くことに訝しげに尋ねることがあり、そこで私は常にこう答えてきた。「その新作映画の一部が、後に古典になるのだよ。」と。それでも弟は納得してなかったのだが、たまたま本作の試写会が当たり、一緒に見に行った時、見終えた後「ようやく言ってる意味がわかった」と興奮した。本作もまた「古典になりうる新作映画」の一本であります。
 この映画を見た後の興奮は忘れがたい。歌を巡る葛藤の物語、死者と生者をつなぐ独自の世界観、ツイストの効いた脚本、そして圧巻のクライマックス。「忘れようにも忘れられない」映画であります。

2位「パディントン2」

 英文学の古典「くまのパディントン」を映画化したシリーズ第2弾。
 ペルーからイギリスにやってきた熊・パディントンの物語は第1作も非常に面白かったが、第2作は輪をかけて素晴らしかった。時まさに「移民問題」でヨーロッパが揺れる時代に作られた本シリーズは、家族向け映画としても大変優秀ながら、異邦人を受け入れる寛容な社会の重要さを高らかに歌い上げもする。
 ミステリ、アクション、コメディ、刑務所もの、そしてミュージカル。この映画はあらゆるジャンルを横断する。
 パディントンが無実の罪で刑務所に入った事から巻き起こる騒動とその顛末は、彼の人柄に触れて人々を巻き込みながら、やがて奇跡的なハッピーエンドへとつながっていく。多幸感あふれるエンディングはまさに素晴らしく、思わず感涙。まごうことなき傑作です。

1位「悪女 AKUJO」

 父を殺され、暗殺者として育てられた女が復讐の果てに逮捕され、国家直属の女暗殺者として生まれ変わり、新たな人生を始めた事から、さらなる悲劇へと巻き込まれていくアクション映画。
 映画館で見て、一発で衝撃を受けたのはそのアクションである。とにかく「新しい」。オープニングシーンから「どうやって撮ってるんだ?」と思ってしまう壮絶なアクションを観客に叩きつける。
 スタント出身のチョン・ビョンギル監督の目指すアクションは「見たことないもの」への飽くなき探求に満ちている。そして映画で描かれる物語は、激しい情念に満ちている。日本でリメイクされた「殺人の告白」でデビューしただけあり、その物語性も素晴らしい。アクションとドラマが不可分である点も特筆すべきことである。
 激しく、儚く、美しくも切ない。一人の女の「愛」の物語であり、「哀しみ」の物語であり、「狂気」へ至る物語である。
 「誰も見たことない映画」を高い次元で実現した、恐るべき映画だと思います。映画館で見れて本当に幸せでした。

男の魂に火をつけろ!の映画映画ベストテンに参加します

http://d.hatena.ne.jp/washburn1975/20181030
ワッシュさんの「映画映画ベストテン」に参加します。

映画映画ベスト10

1位:Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!(2007年 スティーブ・ベンデラック監督)
2位:千年女優(2001年 今敏監督)
3位:これは映画ではない(2011年 ジャファル・パナヒ監督)
4位:ギャラクシー・クエスト(1999年 ディーン・パリソット監督)
5位:ブリグズビー・ベア(2017年 デイブ・マッカリー監督)
6位:アルゴ(2012年 ベン・アフレック監督)
7位:人生タクシー(2015年 ジャファル・パナヒ監督)
8位:アクト・オブ・キリング(2012年 ジョシュア・オッペンハイマー監督)
9位:劇場版 NARUTO 大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!(2004年 岡村天斎監督)
10位:カメラを止めるな!(2018年 上田慎一郎監督)

「劇場版 NARUTO 大活劇!雪姫忍法帖だってばよ!!」

「人生タクシー」(Taxi)

人生タクシー [DVD]

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「アルゴ」(Argo)

アルゴ<エクステンデッド・バージョン> [Blu-ray]

アルゴ<エクステンデッド・バージョン> [Blu-ray]

ギャラクシー・クエスト」(Galaxy Quest)

ギャラクシー★クエスト [DVD]

ギャラクシー★クエスト [DVD]

これは映画ではない」(In film nist)

「Mr.ビーン カンヌで大迷惑?!」(Mr. Bean's Holiday)

2017年に見て「良かったな」と思った映画から10本を選んでみる。

toshi202017-12-31



 みなさま、どうも。ご無沙汰をしております。気がつけば年末でございます。
 今年、ブログ更新量はいよいよ、近年稀に見る少なさでございましたが、大変申し訳なく思います。しかし、映画自体を見る量はむしろ上がっており、いい映画との出会いがたくさんありました。その中から10本を選ぶという、なかなかつらい作業でございました。
 というわけで、自分が出会った映画の中から、「良かったな」という映画を10本選ばせてもらいました。「あれがない」「これもない」という方もいらっしゃるでしょうが、ご容赦いただいて、しばしおつきあいくださいませ。

10位「勝手にふるえてろ

勝手にふるえてろ [Blu-ray]

勝手にふるえてろ [Blu-ray]

公式サイト:映画『勝手にふるえてろ』公式サイト


 東京国際映画祭にて鑑賞。十代からの片思いを引きずり、20代になってもなお、その「一番好きな彼」を片思いし続けてきたヒロインが、彼女にリアルに好意を向けてくる「二番目の彼」が現れたことで起こる、ヒロインの大混乱を描くラブ・コメディ。
 一人の男を片思いを続けてきたが故にリアルな恋愛からは遠ざかり、コミュニケーション不全に陥ったOL・ヨシカの、大混乱を描いている点がとにかくイマ感がある。自分の絶対的な聖域を作り、そこに踏み込んでくる人間にはたとえ好意を伝えてくる男性であろうとも、心を許していたはずの親友でさえ攻撃的になる。そんなヒロインの心の「大激震」を描いている。
 「理想の恋愛」に心をこじらせてき女性が、リアルな恋愛と対峙する。その時に初めて気づく、自分の中にある「狂騒」。刺さる人間は限定されるかもわからないけど、刺さる人間には思い切り、刺さる。その刺さり方がまたエグい。心臓を貫かんばかりの深さだ。
 心の奥底に踏み込まれることで起こる、ヨシカの心の「ふるえ」は、みっともなく滑稽かもしれないけれど、だけど(人によっては)誰よりも愛おしく見える人もきっと多いんじゃないでしょうか。少なくとも私はその一人です。是非一度ご覧ください。
 

9位「サバイバルファミリー」

 もしも突然、社会から電気が喪われたら。そんな状況に突然放り込まれた日本社会を、一家族の視点から描いた作品。
 ここ数年、なんだかんだと新作が出るたびに僕は矢口史靖監督の新作をベストテンに入れてきましたが、本作もまた非常に優れた娯楽作でありながら、3.11後の日本を見据えた娯楽作になっているように感じます。
 電気を喪った人間がどういう行動を取るのか。その群集心理を描きながら、同時に、かつてない危機に立ち向かう、一家族のロードムービーとしての側面もあったりする。その中で、家族に少しずつ今までの自分にはなかった「自分」が目覚め始めていく。
 今まで矢口監督が培ってきた、「取材によって徹底的にリアリティを固め」ながら、それをきちんと「コメディー」として落とし込むという蓄積が、本作もまた非常にリアルで、そして滑稽でありながらも少しずつ人間として成長していく家族の物語として、非常に完成度の高い形で結実していると思います。
 何より本作は、非常に普遍性の高い設定であり、「ドメスティック」に陥らない、万国共通のテーマであり、きっと多くの人に届く傑作であると思います。

8位「アシュラ」

 架空の地方都市アンナム市を舞台に、絶対的権力を持って街を腐敗させていく市長の下で手先として働いていた刑事が、ある事件をきっかけにして、市長と検察の対立の渦中に叩き込まれ、やがて破滅していくまでを描く、韓国ノワール
 とにもかくにも、主人公にしてからが最初から街の腐敗にどっぷり使った悪徳刑事で、冒頭で人生が完全に破綻するような事件が起こる。刑事を辞めて市長の正式な部下になるはずが、そのプランは頓挫し、そこから人生の歯車が狂い始め、そこから様々な「悪人」と絡むことになるのだが、それでもこの映画が面白いのは、言ってみれば「破滅」が定められた男の右往左往の物語としての魅力と、出てくる「悪人」たちが、それぞれに圧倒的な個性を放っているからに他ならない。
 柔らかな物腰で主人公をえげつなく追い詰めてくるクァク・ジョヨン演じる、市長を告発しようと動いている検事・キム・チャインと、彼の右腕となって動き荒事も辞さない検事、チョン・マンシク演じるト・チャンハクが主人公をえげつなく追い詰めます。
 そしてファン・ジョンミン演じる主人公がつるんでいた、悪徳市長パク・ソンベは、その純粋な悪でありながらも抗いがたいカリスマ性を持っており、その魅力はまさに悪魔的。主人公の代わりに彼の手先となる、純朴な性格の弟分・ソンモもまた、市長のカリスマ性によって心を奪われ、やがて「悪人」として開眼していく。そして主人公と袂を分かっていきます。徹底的に追い詰められた主人公が、最後に取った決断とは。その決断が、さらなる地獄の釜を開くのです。
 悪に落ちる快感、後戻りできないと気づいた時の悲哀と絶望、破滅していく魅惑、容赦ないバイオレンスとハイテンションなアクション、そして悪と悪がぶつかり合う興奮。その全てをがここにある。一見の価値ある傑作と思います。

7位「LUCK-KEY ラッキー」

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 殺し屋がひょんなことから記憶をなくして売れない役者と人生が入れ替わる、内田けんじ監督のコメディ「鍵泥棒のメソッド」を原案に、いぶし銀の名脇役として活躍してきたユ・ヘジン主演でリメイクした作品なのだが、完全に本歌取りとも言うべき傑作として生まれ変わった。
 日本では「漫画的」な感じになりがちな「殺し屋」という職業も、ノワールが盛んな韓国ならば「映画的」になる。45歳の殺し屋が32歳の売れない俳優として、大真面目に役者道へと邁進する姿を演じるユ・ヘジンはただただ面白いだけでなく、32歳として人生をやり直し、あまつさえ新たな人生を手に入れる、この一見いかついおっさんが、実にかっこよく、そして時に可愛いの。この映画のヒットによって、ユ・ヘジンと言う脇役俳優をも「生まれ変わらせた」この映画。
 まだまだ人生やり直せるんだ!という「おっさんのファンタジー」としても大変優秀で、見ていて笑いながら、最後はうっすら涙を浮かべちゃうような、そんな映画である。一人のおっさんとしてこの映画大好き。本当に好き。

6位「昼顔」

 上戸彩主演で大ヒットしたドラマ、「昼顔」の映画版である。
 いや、実を言うとドラマの方は全く見たことがなく、いきなり劇場版を見に行ったのでした。理由は簡単。西谷弘監督の新作だからである。「ガリレオ」シリーズ、「任侠ヘルパー」など、ドラマの劇場版を傑作・秀作に導いてきた監督であり、本作においてもその期待を大きく超える仕上がりとなっている。
 ドラマシリーズで不倫愛を知られてしまい、職も居場所もなくして、映画冒頭で地方都市へと移り住んだヒロイン。けれどそこでかつての不倫相手と運命の再会を果たしたことから、二人は次第に燃え上がり、物語は歯止めの効かない方向へと転がりだしていく。初めはただ、好きなだけだった。たとえ不倫であろうとも、お互い純粋に好きあった二人で生きていこうと決めた。だが、二人が向かった場所は引き返せない、あまりにも深い因業が渦巻く選択であることを、ヒロインは思い知ることになる。

 実を言うと、この映画の前に「午前十時の映画祭」で「突然炎のごとく」を見ていたですが、この映画と「突然炎のごとく」がシンクロするシーンがあって大変興奮した。
 人の夫を奪い、自分のものにする。その道はあまりにも、あまりにも業が深い。その愛は、奪われた者の気持ちを踏みにじることで成立する愛である。純愛などと決して言えはしない。
 奪うもの。奪われるもの。この映画は、その業に真っ向から向き合い、そして物語は一つの終着へと疾走していく。憧れ的に消費されがちな不倫愛。それを巡る因業の果てを描いた傑作である。

5位「ドリーム」

 1961年。まだ黒人差別が当たり前だった時代、NASAの計算手として働いていた3人の女性たちの活躍を描いた映画である。
 時まさに冷戦時代。宇宙進出は人類の悲願であり、アメリカはソ連としのぎを削り、お互いの国の威信を賭けた宇宙計画を進行させていた。そんな中、圧倒的な計算力を誇るキャサリンはスペース・タスク・グループへと配属された。しかし、そこでも当たり前のように差別的な扱いを受けるキャサリンだったが、次第にその計算力が高く評価されていく。
 ひとかどの人物として仕事で自己実現する「夢」。人類を宇宙へ運ぶ「夢」。そして自分たちに向けられた差別をなくしていく「夢」。黒人女性がそれらを実現することが、「夢物語」だった時代において、一つ一つ困難をクリアしていくことによって、その「夢」が実現していく流れをNASAにもたらした3人の女性。見終わった時に思った。「彼女たちこそが『ワンダーウーマン」である」と。
 大きな目標に向かって、知性を結集していたNASAにおいて、「人種差別」と言うのは目標達成を阻む「エラー」でしかない。目標を持った知的な人間は、そのことにいち早く気づき、それを取り除く。3人の黒人女性のヒーローたちの物語というだけではなく、本当に知性のある人間と言うのは差別しないのだと描いてみせたこの物語は、まさに差別被差別者双方にとっても、学ぶことの多い傑作でありましょう。

4位「ニュートン・ナイト 自由の旗をかかげた男」

ニュートン・ナイト/自由の旗をかかげた男 [DVD]

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 南北戦争時代、黒人と白人の差別から無縁の「ジョーンズ自由州」を築いた一人の白人男性、ニュートン・ナイトの生涯を描いた歴史大作である。
 アメリカ本国でもあまり知られてないこの人物は、南北戦争のさなか、南軍から脱走し、逃げ出した奴隷たちや脱走兵たちとともに、銃を取り戦いながら北軍、南軍どちらにも属さない、黒人と白人がともに暮らす独立区を作ったのである。黒人女性と結婚した彼は、戦争が終わり、自由州がアメリカに戻った後も、色濃く残る差別と戦い続けた。
 そしてその戦いは、彼の子孫にまで及ぶ。アメリカ全土で黒人と白人が自由に結婚できる時代になるまでには、彼一世代では終わらなかったのだ。それは映画「ラビング」で描かれた、ラビング夫妻の法廷闘争を待たなければならない。
 差別が根強く続くアメリカで、世代を超えた戦い続けた描く脚本の構成がまた見事である。今、アメリカを覆い始めている空気は、まるでニュートン・ナイトが戦った時代へと戻ろうとするかのようだ。戦いはまだまだ終わらないのである。
 まさしく、今知られるべき人物であると思う。

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3位「バーフバリ/伝説誕生」「王の凱旋」

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公式サイト:映画『バーフバリ 王の凱旋』完全版公式サイト

 インドで歴代興行記録を塗り替えた、インドの古代都市・マヒシュマティを舞台にした、貴種流離譚である。
 滝の下で高貴な婦人の手によって救われた赤子シヴドゥは、実はある王国の英雄の息子マヘンドラ・バーフバリであり、数奇な出来事を経て再び王国に帰ってくる。彼はそこで、父である偉大なる英雄王アマレンドラ・バーフバリの活躍と悲しき運命を知ることになる。
 その圧倒的イマジネーションは凡人である我々の想像をはるかに超え、圧倒的な演出に打ちのめされる。第1作こそちょっと突飛な話に見えながら、第2作を見ることで物語が全て繋がり、偉大なる王の数奇な運命と悲劇、王国に起こった物語を主人公が背負い、王としてマヒシュマティ王国へと帰ってくる。その熱量はまさに「王の凱旋」と言うにふさわしい圧倒的力強さで観客を飲み込んでいく。
 この映画の声出し可能な発声可能上映、名付けて「絶叫上映」に何回か行かせてもらっているが、本当に最後は一人の群衆として、「王を称える」ことしかできない。大きな声で「バーフバリ!!」と。
 ツッコミどころももちろんあるのだけれど、それを映画大国・インドの粋を詰め込んだかのような、その有無を言わせぬ力強さでねじ伏せて、全てに圧倒される前後編。是非スクリーンで王の凱旋を称えて欲しいと思います。

2位「トンネル/闇に鎖された男」

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感想:俺を救え!「トンネル/闇に鎖された男」 - 虚馬ダイアリー

 韓国・ソウル。突然のトンネル崩落に巻き込まれた自動車セールスマン。彼に残されたのはケーキ1個と飲料水2本、そして電波のかすかに届くスマートフォン。彼の救出作業は難航し、彼には逆境に次ぐ逆境が待っていた。
 この映画の暴き出す経済優先社会の冷酷さ、大衆メディアは男に望むもの。主人公が受ける圧倒的な窮地は誰が生み出し、誰が彼を殺そうとし、誰が彼を救うのか。見終わってその流れにゾッとし、そして主人公が最後に叩きつける一言は魂の言葉として我々に突き刺さるのだ。
 この映画において問われるのは、この映画のどこに「自分」がいるのかと考える想像力である。僕らは主人公を見捨てるのだろうか。そして、自分が主人公であったならばどうしただろうか。現場で救う側の焦燥と、悲劇を「消費」するメディアと、綺麗事を言いながら時に生命を簡単に切り捨てる政府と、時に冷めやすい大衆と。
 優れた映画というのは様々な示唆をくれるものである。この映画を見た後、考えて欲しい。見ていた映画のどこかにきっとあなたが「いる」はずなのである。本当に孤独なサバイバルの中で、本当に信じられるものはなんなのか。それをつぶさに描き切った大傑作だと思います。必見です。

1位「新感染/ファイナル・エクスプレス」

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感想:ヨン・サンホ監督と揺らぐ我々。「新感染」「我は神なり」他 - 虚馬ダイアリー


 今年の一番大きい収穫は、ヨン・サンホ監督というでっかい才能を知ったことである。

 もちろん本作「新感染」も衝撃的だったのだけれど、彼の本来のフィールドであるアニメ映画も立て続けに公開されて、「新感染」の前日譚「ソウル・ステーション:パンデミック」や、信仰の意味を問う「我は神なり」などもまた、刺激的で面白くて、実に示唆に富む傑作であり、まさに私に強いインパクトを残した。


 監督がアニメ映画で培ってきた卓越した人間描写は、初の実写映画である「新感染」においても変わらない。普段なら穏やかな人も、追い詰められれば一番大事なのは「自分」になる。本当に追い詰められた時、僕らは「人間らしい」選択をできるのだろうか。「ゾンビ」という題材でありながら、一人の人間としてどうするのか。観客の喉元に突きつけてくる映画なのだ。
 この映画は一番恐ろしいのは、ゾンビではない。それによって右往左往する人間なのだ。それを言葉ではなく、映像で、音で、物語で観客にナイフを突きつけながら問うてくる。あなたならば、どうするのだ?と。

 娘とろくなコミュニケーションも取れず、父親としては落第点だった主人公は、利発な娘さんの存在によって、「たまたま」、「人間らしい選択」を選び取れた。偶然にも、奇跡的にも。だからこそ、「選び取れないかもしれない」僕らは彼の選択に涙を流す。それは「せめてそうありたい」と願う涙なのだろう。そう僕は思うのです。
 「新感染」、本当に恐るべき映画だと改めて思います。


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5月6月の感想書き損ねた映画たち

帝一の國

 将来総理大臣を目指す破天荒な高校生が生徒会選挙に命を賭けるエリート高校生たちの頭脳戦というストーリーでありながら、青春の懊悩と友情の裏表、幼少期のトラウマと向き合う青春映画でもある離れ業。政治映画としてはやや青臭い部分もあるが、高校生と政治のバランスはこれでいい。
 面白かったけど、帝一が総理大臣になれるかどうかはまた別の話のようには思う。案外、帝一のような計算で動く男よりは、ライバル・大鷹弾みたいな周りが自然と支えていく男の方が国を動かす男になりそうな気はするし、帝一はサブに回った方がいい仕事することを証明した話だったような。

無限の住人

 良かった。時を経ても変わることを許されない男・万次を演じるのがキムタクという配役が白眉。キムタクは何を演じてもキムタクなのは変わらないんだが、この映画はそこがいい。杉咲花ちゃんも処女性と復讐の激情を身の内に同居させる凛というめんどくさい役柄を見事飲み込んでる。
 三池監督は沙村先生が持つ変態的な暴力性に背を向けることなく真っ向勝負してるのも気持ちがいい。逸刀流があっさりしすぎな気もするが、続編への未練を断ち切るかのような完全燃焼な脚本も良い。杉咲花ちゃんは今の少女性を持ち続けるにはギリギリの年齢だし、これでいいかもね。
 しかし全ての悲劇の始まりが音尾琢真の無念にあったというのはちょっと笑ってしまった。無骸流が今ひとつ不完全燃焼だったのは仕方がないか。みんな大好きドS変態クソ野郎尸良を出すためのエクスキューズだったんだろうが、しかしとことんクズだったのはさすが三池監督であった。

「タレンタイム〜優しい歌」

 タレンタイムという音楽イベントを通して描かれる悲喜こもごものドラマを描くこの映画自体は非常に娯楽的だが、その底に流れる宗教や人種間対立を内包するマレーシア社会を背景にしている。その中でより強く描き出されるのは前向きな、不寛容を超える若者たちへの希望だ。
 多民族国家ならではの様々な言語にさらに聴覚障害の若者の手話が加わり、様々な言葉が飛び交うが、同じ「言葉」を使えれば心が通じ合うとは限らないし、言葉を越えて通じ合う人々もいる。大人が持つ偏見を越えていくのは若者たちの感性だ!というメッセージが力強い。
 それにしても音楽が重要な映画で、見終わった後サントラが欲しくなるんだけど、取り扱いがまるでないのはなんでなんだ。itunesとかで配信しないかな。

「ノー・エスケープ 自由への国境」

 問答無用で移民を殺すジェフリー・ディーン・モーガンの演技が良い。基本頭おかしい凄腕スナイパー殺人鬼なんだけど、人間としての肉付けを付けて、ガエル・ガルシア・ベルナル演じるしがない自動車整備士につけいるスキのようなものを見せて行くさじ加減が見事。
 逃げ場なしの砂漠でワンショットワンキルで殺すスナイパー殺人鬼に狙われる絶望感。だけど砂漠という舞台は実は殺人鬼側にもリスクで、主人公たちが粘れば粘るほど射撃の精度が落ちてくる、という脚本がリアル。主人公が終始基本単なる凡人というのもいい。

「T2 トレインスポッティング

 これはあれだな。スコットランド版「男はつらいよ」だな。私生まれも育ちもスコットランドエディンバラでございます。スコットランド一汚いトイレで産湯を使い、姓はレントン名はマーク。人呼んでトンズラのレントンと発します。恥ずかしながら帰って参りました。
 なんかユアン・マクレガーとかジョニー・リー・ミラーが一丁前の役者になって地元に帰ってきたらヒゲが待っていて「いよーう、それじゃあとりあえず裸で草原や街中走ってもらおうかあ」とむちゃぶりされる「水曜どうでしょう」感とでも言おうか。

 「男はつらいよ」説には理由があって、つまるところシリーズを重ねるごとに観客が自らの人生の老いの残酷さや時代から次第に取り残される辛さを、観客が変わらない登場人物を通して噛みしめると言う映画になっているのよね。そんな映画が日本に毎年一回あった訳。
 本作が残酷なのは、第1作公開当時この映画が若者のアイコン映画だったこと。山田洋次作品だったらまだしも、若者の映画が20年後に中年老年の哀しみを描く映画として蘇るって監督ドS。「青春は終わった!人生に帰れ!」的な話だもんな。劇場版エヴァなんか目じゃない。

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー/リミックス」

おいおいどこまでぶち込んでくるんだよ!この映画からサプライズしか飛び出して来ねえよ!アイツの親父がアレでお前の妹がナニでお前らはコレだあ!で、最後は泣かせる場面しか出て来ねえ!一言叫ばせろ!

 改めて言うと面白かった。割とキャッチボール辺りからすでに泣いてたんだけど、最後らへんのド直球連投は逆に正直言うと愁嘆場が多すぎて逆に涙が引っ込むくらいに色々ぶち込んでくるので最初のような感想になるわけです。「銀魂」か!という。
 「家族」と言うワードの使い方のジャンプ漫画感、ヤンキー気質感は面白かったな。「ワイルド・スピード」シリーズでもそうだけど、家族の定義をどう考えるかはその人次第で、それで救われる人生もある、と言うのは現実世界でもある話。
 元々力の入り抜きの上手いシリーズではあったけど、オープニングからさすがと感心。ゲラゲラ笑わせながらその分、最後らへんは容赦する事なく力一杯泣きの棍棒で観客を引っ叩いてくるので弱い人は泣きっぱなしだろうなあという感じ。

マンチェスター・バイ・ザ・シー

 死んだものは蘇らない。壊れたものは戻らない。古傷は消えず痛く、越えられない壁はある。そんな世界に放り出され、1人彷徨する男が一筋の希望を見出す物語。本当にかすかで容易にかき消えるかもだが、それでも一歩を踏み出す為の正直しんどい人生の中の希望。
 終盤、ややどんよりした雲の切れ間に晴れ間が見えた途端に、いきなり夕立のゲリラ豪雨をぶち込む脚本がえげつない。しかも一見すると決して残酷には見えないところがスゴい。このシーンに悪人はいないんだよね。だけどこれは・・・。目の前がグラっとした。

「トンネル 闇に鎖された男」

http://d.hatena.ne.jp/toshi20/20170518#p1

「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ

ここ数年見たスーパーヒーロー映画を蹴散らす傑作。これは凄い。
スゲエのは主人公が中年のオッさんで偶然手に入れたスーパーパワーの使い方もとりあえず強盗に使うことしか思いつかないチンピラ。なのに心を壊したヒロインとの触れ合いを通して真のスーパーヒーローに覚醒していくまでを、非常に丁寧に描き出し観客を納得させる。
「皆はこう呼んだ、鋼鉄ジーグ」から「ローガン」をはしごするとヒーローものの夜明けから黄昏までを体験できるのでオススメ。

バーニング・オーシャン

 ようやく見た。本当にバーニングなオーシャンだった。て言うか、複数の判断ミスが爆発的に激甚事故につながって行く様は完全にトラウマ。他人事感ゼロ。そりゃ関わった人やめちゃうよな、こんな事故に出会ったら。経済至上主義は人を殺す系映画。この映画に英雄はいない。
 「バーニング・オーシャン」という邦題は「DEEPWATER HORIZON」という原題よりも直接的で好きだが、原題はアメリカの内省的な映画である意味合いが強いので、これはこれで良い。

「ローガン/LOGAN」

 「ローガン」見ました。なるほど、良かった。

 本当に最後!と言う気合いが乗ってて、まさに「刻みつけた最後の爪跡」って感じ。一切未練を残さない幕引きは気持ち良かった。

 あと前から呟いてたけど、ローガンは老眼なのか?というワスの疑問にちゃんと答えてくれたの感動した。ローガン老眼!

「家族はつらいよ2」

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ちょう面白かった。山田洋次は死なず!前作「母と暮せば」もなかなかに問題作で度肝抜かれたけど、本作は「生老死」を笑いに変えると言う北野武が「龍三」やりたかった事をいとも簡単に成し遂げてしまった。橋爪功の喜劇センスなくしては成立し得なかった事も付言しておきたい。
もちろんコメディの型としては年式古い。子役の演技も若者の描写もアナクロだし、こんな丁寧な喋り方をする40代50代はいないし、ケータイメールの描写も失笑だよ。その代わり老人の描き方だけは超リアルなんだな。それを橋本功が一手に引き受けてリアリズムある笑いにする。
橋爪功の家主としてのプライドはあって男としての若さへの未練もあって、でも次第に老いていく自分を受け入れられない小市民系老人の演技がとにかく絶品。彼が常に中心にいてそこに振り回される家族を実力派の中堅若手が固める構成が非常にピタッとハマってる。ネタも攻めてる。
今年公開の「破門」もそうだけど、橋爪功のコメディセンス衰えねえのすごいな。入り抜きの加減が完璧なんだよな。人間の小ささ、セコさ、愚かさ、哀しさを演じながらそれが鼻につかない、愛すべき人物になる。まさに名人が演じる落語の人物の如し。彼の代わりって日本にいるか?

ブラッド・ファーザー

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老いさらばえたチンピラ親父が、失踪からひょっこり戻ってきた娘のために、なけなしのコネと体力使って人生の最後に大暴れする系映画。最近のトレンドかこれ。上映時間が90分以内なので小気味よく進むのが楽しい。「ローガン」に比べるとメル・ギブソンは父性全開で明快。
基本頭の悪いチンピラで悪い奴は大体友達、そのせいで人生遠回りした親父と、トラブルで闇社会に触れたり麻薬に手を出したりするけど元々快活で頭のいい娘と言うコンビが良い。「よくわからんがメキシコ移民は職を奪うから嫌い」と言うメルギブが娘に諭される場面面白い。

「おじいちゃんはデブゴン」

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サモハンが元スゴ腕の軍人で孫を失ったトラウマ抱えて故郷に隠遁した認知症老人と言う、なかなかに複雑な役を言葉少なに演じるアクション映画。孫の面影を感じる少女との心温まる交流と、相手の得物を奪った上で肉体破壊して沈黙させる冷徹アクションの落差凄い。
アンディ・ラウが準主演級で登場。基本クズだが、行動や妻子への愛情が裏目に出て人生崖っぷちのトラブルメイカーと言う何もアンディが演じなくてもって役を熱演してて何でかと思ったら、ラストの後に余禄シーンからスタッフロールでアンディの失恋バラード流れて納得した

「昼顔」劇場版

ヤバイ。これヤバイ。奪い奪われる者の業の深さを描き切った大傑作!やはり、俺たちの西谷弘監督は本物だ。やりおる。
不倫愛の果てに2人で生きる決断をしたカップルに待ち受ける罪と罰。許されぬ禁断愛、などというキラキラと惹かれ合う男女の不倫愛の光と闇を明らかに描き出し、お前ら純粋な愛の物語で終われると思うなよ!という、明確な意思を持って描かれてるのがすごいわ。伊藤歩が裏ヒロイン。
本作は配役の勝利だわ。華のある上戸彩を無邪気に夫を奪う表ヒロインとし、奪われる妻役に伊藤歩という、華は足りないけど演技力抜群な若手女優を配置した事で、この映画の陰影がより深まった。何気に重要なレストランオーナー役平山浩行も、チャラさと重さが同居するいい存在感だった。