2021年に見て「良かったな」と思った映画から10本を選んでみる。
みなさま、どうも。ご無沙汰をしております。
なんとか生きております。
去年に引き続き色々大変な年にでしたが、映画方面では上映延期になってた映画が続々と公開され、面白い映画が目白押しの嬉しい悲鳴をあげる事態でした。
そんな中から10本を選ぶ。いそいそと映画館に通い続けてきたツケを払う季節がやってきました。
というわけで、自分が出会った映画の中から、「良かったな」という映画を10本選ばせてもらいました。「あれがない」「これもない」という方もいらっしゃるでしょうが、ご容赦いただいて、しばしおつきあいくださいませ。
10位「マリグナント 凶暴な悪夢」
「マリグナント 凶暴な悪夢」。いや、あの。俺は何を見せられたの?面白かったよ!面白かったけど!ホラー苦手で体調整えて、えいやっと見てみたけど!噂に違わぬ怪作にして快作という、ジェームズ・ワン監督の「いんだよ細けえ事は!」な突き抜けぶりに言葉もない。本当に悪夢で凶暴だった。何これ。 pic.twitter.com/x3QqNvHeGT
— 窓の外 (@madosoto) 2021年11月24日
<選考理由>実は悩みました。傑作かと言われるとそういうタイプの映画ではないし、簡単には「好き」とは言わせない禍々しさがあります。ただ。この唯一無二の「体験」は忘れがたく、そして見た誰かと共有したくなる。今年を代表する「事件」。是非一度見て欲しい。
9位「ファーザー」
「ファーザー」。なるほどこいつはすごい。認知症を患い始めた父と、新たな人生を模索する娘。その物語を父親目線から描き出した脚本が凄まじい。観客にまで共有させる足下が崩れ落ちていくような圧倒的な不安と、長年保ち続けてきた「父の威厳」の幻想の狭間で懊悩するアンソニー・ホプキンスが圧巻。 pic.twitter.com/pFln1BaSxq
— 窓の外 (@madosoto) 2021年5月17日
<選考理由>今年のアカデミー賞授賞式を見ていた日本の映画ファンをざわつかせたアンソニー・ホプキンスの主演男優賞受賞。しかし、見た誰もがその演技に最敬礼を惜しまない。まさに圧巻の演技。そして下手なホラーよりも怖いアルツハイマーの父親から見た「世界」を描き切る演出脚本。二つの意味で「恐ろしすぎる」映画でした。
8位「アメリカン・ユートピア」
「アメリカン・ユートピア」。トーキング・ヘッズもろくに知らない、音楽に造詣皆無のあたくしが見ましたよ。
— 窓の外 (@madosoto) 2021年6月2日
開幕出てきたデイヴィッド・バーン見て「なんだこのトポけたロマンスグレーは」と思っちゃって大変申し訳ございませんでした!こりゃすげえや。こんな世界があったのか!という新鮮な衝撃。 pic.twitter.com/2nrubGqNbi
<選考理由>虚飾を削ぎ落としたシンプルな舞台を、人と音楽と光で観客に新たな世界を見せる恐るべきコンサートフィルム。デイヴィッド・バーンの魔法に心躍る、至福の107分。映画の、音楽の、そして人間の可能性は無限だと思わせる希望に満ちた作品。映画館で見れて良かった。
7位「パーム・スプリングス」
「パーム・スプリングス」砂漠のリゾートで妹の結婚式。空気に馴染めないサラは、スピーチに乱入した男ナイルズと意気投合するが、偶然砂漠の洞窟に入った事で「何度も繰り返す結婚式の日」が始まる。繰り返しが終わらない止められない日々で2人が見つけるもの。タイムループライフコメディの大傑作! pic.twitter.com/ja4jEXY3rm
— 窓の外 (@madosoto) 2021年4月11日
<選考理由>タイムループものは幾つもある。だがここまで「何もかもをやり切った」作品はそうそうない。ヤレる事はすべてヤる!その先に主人公とヒロインが見つけたもの。まさにやり切る事の尊さを余す事なく描いた傑作です。
6位「すばらしき世界」
「すばらしき世界」。まぎれもなく傑作。人生の大半を刑務所で過ごし、服役中数々の問題を起こした元殺人犯が社会に出る。道を踏み外した男は真人間になろうとするが、その道は困難な障壁がいくつも立ち塞がる。葛藤、暴走、大迷走。その先に彼が見た「世界」。生き辛さの先に待つ希望に、ただ泣いた。 pic.twitter.com/4jEsDMEBVp
— 窓の外 (@madosoto) 2021年2月14日
<選考理由>社会から盛大にドロップアウトした元殺人犯の男の人生の再生を、丁寧な取材をもとに、時に大胆に、ユーモアと悲哀も交えて描き出す西川美和監督の傑作。役所広司の硬軟自在の演技が、男の人生に陰影や深みをもたらしていく凄さに、ただ脱帽。
5位「いとみち」
「いとみち」。これは良い。青森の津軽弁ネイティブ女子高生がメイド喫茶のバイトを始める話。標準語が話せないコンプレックスで友達ができない気弱なヒロイン。特技は祖母の弾く姿を見て覚えた津軽三味線。これは三味線で何かを成し得る物語ではない。1人の少女が自らの殻を破るまでの物語。超好き! pic.twitter.com/HzFIEwXFqx
— 窓の外 (@madosoto) 2021年6月29日
<選考理由>青森の片田舎に住む、津軽弁ネイティブヒロインは、この映画で、何か大きなことを成し遂げる訳ではない。ただ。彼女が、外へ、自分の殻の外側へ一歩を踏み出す。その過程を丁寧に描き出したこの映画は、今年一番「愛おしさ」が止まらない作品でありました。
4位「悪なき殺人」
#東京国際映画祭 「動物だけが知っている」。フランスの雪深き田舎町でパリから来た女性の行方不明事件が発生。一人暮らしの農夫が怪しまれるが、その真相とは。これは面白い!いくつもの登場人物の愛憎が絡み合い事件へと繋がっていくブラックユーモアミステリー。その真相に劇場大爆笑。マジかよ。 pic.twitter.com/QTIHhCKUzj
— 窓の外 (@madosoto) 2019年10月30日
<選考理由>東京国際映画祭で初めて見て、椅子から転げ落ちるような衝撃を受けてから2年。観客賞も受賞したこの傑作が邦題を「悪なき殺人」と変えて満を持して日本劇場公開されて久々に見たけれど、やっぱり新鮮に面白すぎた。人間ってこんなに滑稽で哀しく、面白くて愛おしい。是非見て欲しい。
3位「レイジング・ファイア」
「レイジング・ファイア」。曲がった事が大嫌いで未だ現場で身体張る日々のドニーさん。敵の主犯は元相棒で後輩のニコラス・ツェー。警察のルールを巧みに利用して警官を襲い、翻弄し、悪を為す相手に対し、全てを脱ぎ捨てたドニーさんの剥き出しの怒りが爆発炎上するエモさを超えた激情活劇の大傑作! pic.twitter.com/xZQZXd0EjM
— 窓の外 (@madosoto) 2021年12月25日
<選考理由>年末も押し迫った時期に日本にやってきた、香港から放たれた今年最後の核弾頭。みんな大好きカンフー兄貴ドニーさんことドニー・イェンと、今最もセクシーな闇堕ち俳優ニコラス・ツェーが、むぎ出しの思いの丈をアクションでぶつけ合うラスト15分の衝撃を劇場で味わえ!これは義務だ!
2位「少年の君」
「少年の君」1人の少女が自殺した。2011年。経済成長著しい中国内陸部のとある都市。受験エリート高校の優等生チェンは新たなイジメの標的となる。そんな中、彼女はひょんな事から街の不良・シャオベイと出会う。10代が抱える先の見えぬ闇の中で惹かれ合う孤独な2人を描く青春残酷純愛ミステリの傑作。 pic.twitter.com/QkvCGlnnDj
— 窓の外 (@madosoto) 2021年7月31日
<選考理由>
漆黒よりも昏い闇の中、出会う十代のふたり。光を求め合うように惹かれ合う二人が、残酷な運命の中で行う「ある決断」に心持ってかれて、見終えた後も涙が止まらなかった。どこまでも終わりなき人生のトンネルの中で、それでも光を求めてもがいていくふたりの、その姿に心打ち抜かれてしまった。
1位「フリー・ガイ」
「フリー・ガイ」。参った!ド傑作!完全ノックアウト。今年ぶっちぎり年間ベスト1候補に躍り出た!非常に練られたゲームパロディ映画であり、悶絶するほど爆笑ポイント満載コメディ映画であり、何者でもない人々への敬意に満ち、そして新海誠よりもロマンティック!とりあえず映画館で見とけ!以上! pic.twitter.com/e1gUzrNYYU
— 窓の外 (@madosoto) 2021年8月14日
<選考理由>
自分には1年に1度、見終えた瞬間「今年1番はこれだ!」と確信する瞬間が訪れる事がある。今年、この映画を鑑賞後すぐ、ベスト1にすると決めた。
すべての要素がことごとくツボにはまった上に、結末へと至る「タネ」は実は目の前にどんと置かれたまま、クライマックスにきちんと落とすその「クロースアップマジック」のような鮮やかなシナリオ運びがとにかく好きで好きでたまらない。惚れました。