虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ジャングル・ブック」

原題:The Jungle Book 監督:ジョン・ファヴロー 脚本:ジャスティン・マークス 原作:ラドヤード・キップリング 本当の闇をあなたは知っていますか。まわりに一切の光がなく、夜目は一切利かず、ただ、漆黒がある。 文明に生きているとつい忘れがちになる…

「トランボ/ハリウッドに最も嫌われた男」

原題:Trumbo 監督:ジェイ・ローチ 原作:ブルース・クック 脚本:ジョン・マクナマラ かつて20世紀には「冷戦」と言われる戦争が存在した時代がある。 世界が二つに割れるという、そこを境に思想も経済も人も分断されていた時代があった。 1945年に第2次世…

マツコの知らない「マツコプレイリスト」の世界

テレビは好きで見ているが、最近バラエティは年々見る本数を減らしているジャンルである。HDDレコーダーの出現は「好きな番組だけを見られる」という、視聴者の固定化を招いているとも言え、わざわざ新しいバラエティを探すという「熱量」はもはやないわけで…

「シン・ゴジラ」

監督:庵野秀明(総監督)/樋口真嗣(監督・特技監督) 脚本:庵野秀明 この映画が公開された日、ボクは日本にいなかった。 先のエントリに書いたとおり、「別の映画」を目当てに台湾にいたからである。 携帯電話を切り、ネットにもあまりつながない状況で台…

素晴らしき台湾邦題の世界。

えー。夏休みを怠惰に過ごすことでおなじみの私ですが。 今年は珍しく遠出をするぞ!という事で。夏期休暇をもらってですね。 成田から航空機に乗りまして。 台湾は台北に行ってきました。 海外に行くのは学生時代の終わりに韓国・ソウルに卒業旅行して以来…

「セトウツミ」

監督:大森立嗣 原作:此元和津也 脚色:宮崎大/大森立嗣 ここ最近見た映画が立て続けに「暴力」によって人が死んだり痛めつけられたりする映画だった。 自分は、暴力というものへの忌避感は基本的に強い。 俺自身いじめとは無関係とはいかない時期はあった…

「日本で一番悪い奴ら」

監督・脚本:白石和彌 私は基本的に怠惰でだらだらした不真面目な男である。 怠惰というのは悪である。この国にはある種そういうのを嫌う空気がある。隙あらば仕事をし、寸暇を惜しんで働き続ける者ほど美しい。勤勉なものほど、称揚される人間達はいない。…

2016年上半期感想書き損ねた映画たち

「オデッセイ」The Martian (リドリー・スコット) オデッセイ 2枚組ブルーレイ&DVD(初回生産限定) [Blu-ray]出版社/メーカー: 20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン発売日: 2016/06/03メディア: Blu-rayこの商品を含むブログ (29件) を…

「64-ロクヨン-」前後編

原作:横山秀夫 監督:瀬々敬久 脚本:久松真一/瀬々敬久 横山秀夫のD県県警シリーズ最大ヒット作「64」の映画化。 D県県警の広報官・三上義信(佐藤浩市)は失踪した娘を探し続けている。娘は自分の顔が嫌いだと言っていた。三上の、その刑事のような目で見…

「ヒメアノ〜ル」

監督・脚本:吉田恵輔 原作:古谷実 生きている日常というものはどことなく茫漠として見えるものだ。 世界では様々な事件や事象が起きていてもそこから遠く離れているだけで、世界から接続されてないように感じたりする。テレビでは事件、事故、政治、経済、…

「殿、利息でござる!」

監督 中村義洋 脚本 中村義洋/鈴木謙一 原作 磯田道史 中村義洋監督による、喜劇調の初時代劇映画である。 さて。 日本人って「サムライ」って言葉が好きだ。 なんだろうね。日本人と言ったら日本刀持って髷結って馬乗ってね。俺達日本人は「昔からサムライ…

「アイアムアヒーロー」

原作 :花沢健吾 監督 : 佐藤信介 脚本 :野木亜紀子 それは唐突に始まる。予感すらない。 35歳。漫画家アシスタント。趣味はクレー射撃。名前は「えいゆうと書いてヒデオ」つまり英雄。鈴木英雄(大泉洋)という名前の男が主人公である。妄想癖があり、性…

「ズートピア」

原題:Zootopia 監督:リッチ・ムーア/バイロン・ハワード 脚本:ジャレッド・ブッシュ/フィル・ジョンストン ディズニーのアニメーション新作。多種多様な動物が住む巨大都市「ズートピア」で警察官になったウサギのジュディと詐欺師のニックが、肉食動物た…

「ちはやふる/上の句」またはネットにおける日本映画にまつわる言説について

「ちはやふる/上の句」 監督・脚本:小泉徳宏 原作:末次由紀 しょっぱなから景気の悪い話で申し訳ないが、最近更新量がめっきり減った。 まあ、単純な話、それすなわち映画鑑賞量が激減しているからである。 正直な事を言えば休日は寝ている事がめっきり多…

ナレ死と呪い。

今年に入ってからNHKドラマが絶好調である。 【関連リンク】 木戸銭払っても見たいテレビドラマ - 虚馬ダイアリー 「平清盛」が象徴する新しいテレビドラマの楽しみ - 虚馬ダイアリー http://www.asahi.com/articles/ASJ4552KBJ45UCVL012.html 「ちりとてち…

「あやしい彼女」

監督:水田伸生 脚本:吉澤智子 若くして子供を産み、苦労して育て上げた73歳のおばあちゃんが、20歳に若返り、青春を謳歌するコメディである。(以上ストーリー説明終わり) 映画ファンには言わずと知れた韓国映画「怪しい彼女」のリメイクである。 怪しい…

「リップヴァンウィンクルの花嫁」

監督・原作・脚本:岩井俊二 「私はこの涙の為なら死ねるよ。」と里中真白は言った。 この世は契約と嘘で出来ている。国というもの、それを支える家族というもの。それらと個人をつなぐもの。組織と個人をつなぐもの。他者とのお金を挟んだやりとりをする時…

「サウルの息子」

原題:Saul fia 監督:ネメシュ・ラースロー 脚本:ネメシュ・ラースロー/クララ・ロワイエ 第二次世界大戦中のナチス・ドイツがユダヤ人などに対して組織的に行った大量虐殺、つまり、ホロコーストについての映画、である。のだが。 これがまたなんというか…

「白鯨との闘い」

原題:In the Heart of the Sea 監督:ロン・ハワード 脚本:チャールズ・レーヴィット とある捕鯨する男たちについての映画である。 日本では、鯨と言えば一匹取ればその村で1年暮らせるほどで「使えないところはない」と言われるほど、あらゆる用途にしよ…

「パディントン」

原題:Paddington 監督:ポール・キング 原作:マイケル・ボンド 脚本:ハーミッシュ・マッコール/ポール・キング 生きているというのは不思議なことである。なぜ自分はここにいるのか。考えを巡らせてみてもわからない。それはもう巡り合わせとしか謂いよう…

「ブリッジ・オブ・スパイ」

原題:Bridge of Spies 監督:スティーヴン・スピルバーグ 脚本 :マット・チャーマン/イーサン・コーエン/ジョエル・コーエン 「鏡に映った己」を見る。その行為は年齢を負うごとに残酷になっていくものだ。 その姿を淡々と見つめ、丹念に自画像を描いてい…

最近見た老人監督映画あれこれ。

映画監督は50代を過ぎる否応なく老いと死について考えざるを得なくなる。そう言ったのは押井守であったろうか。 基本的に言えば、題材の中に死と生をどう対比させるかということについて、考えざるを得なくなるということらしい。基本的に言えば、同年代の人…

2015年に見て「良かったな」と思った映画から10本を選んでみる。

どうもです。今年も終わりますね。更新量としてはやや落ちてますが、ぼちぼちとやっています。 しかし・・・今年の豊作ぶりは異常ですね。毎年ベストはどうしようかと思ってるんですが、体感的に見る映画見る映画、ベスト級に面白い映画の頻度が高すぎじゃな…

「完全なるチェックメイト」

原題:Pawn Sacrifice 監督:エドワード・ズウィック 脚本:スティーヴン・ナイト この映画はどういう映画かというと、実在した「歴史に名を残すほどチェスのうまい人」についての映画である(ざっくりしすぎだ)。 その「超チェスのうまい人」の名前はボビ…

「ベテラン」

原題:Veteran 監督・脚本:リュ・スンワン 元俳優で、アクション映画からキャリアをスタートさせながら、国際的諜報サスペンスから、韓国社会の底辺で地を這う男たちの話まで、ジャンルを問わない作品を撮り上げてきた韓国が誇る活劇系監督リュ・スンワン監…

「007/スペクター」

原題:Spectre 監督 サム・メンデス 脚本 ジョン・ローガン 「みんな言ってるわ。メキシコの件であなたは終わりって。」「君はどう思う。」「これが始まりなんでしょ?」 ダニエル・クレイグのジェームズ・ボンド第4作。 ボクが「007」に初めて興味を持った…

2015年下半期感想書き損ねた映画たち

「野火」(塚本晋也) 大岡昇平氏の小説「野火」の、市川崑監督に次ぐ2度目の映画化。 これについてはですね。正直言えば書きたかったんですけど。ただ、メインで上映されてる間は書けなかったんですよね。作品の評判がいいのなら、まずこの映画の動員の邪魔…

「恋人たち」

監督・脚本:橋口亮輔 「人間にとって一番悪いのは、腹が減るのと寒いゆうことだすわ。」 はるき悦巳「じゃりん子チエ」より 生きている。不思議なもんで。生きている。 生きている歳を重ねるにつれて、だれかの訃報を聞いたり、長年年賀状のやりとりしてい…

男の魂に火をつけろ!の音楽ベストテンに参加します。

2015-10-31ワッシュさんの音楽映画ベスト10に参加します。 順不同です。 音楽映画ベスト10 ・敬愛なるベートーベン(2006年、アニエスカ・ホランド監督) ・ラブソングができるまで(2007年、マーク・ローレンス監督) ・シュガーマン 奇跡に愛された男 (20…

「FOUJITA」

監督・脚本:小栗康平 小栗康平監督の新作。 この映画を見たのは東京国際映画祭の事である。 初見でこの映画を見て、そうだ、映画とはこういうものでもあったのだ、というのが率直な感想でアル。「再発見」をしたようにも見え、その実、小栗康平という映画監…