虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「あやしい彼女」

toshi202016-04-04

監督:水田伸生
脚本:吉澤智子

 若くして子供を産み、苦労して育て上げた73歳のおばあちゃんが、20歳に若返り、青春を謳歌するコメディである。(以上ストーリー説明終わり)
 映画ファンには言わずと知れた韓国映画「怪しい彼女」のリメイクである。



 優れたフォーマットの物語はどこの国であろうとも輝きを増す。「怪しい彼女」は現在、中国でもリメイクされ、今回がリメイク2作目である。
 「怪しい彼女」が優れているのは、この物語が長年子供を育てるために自らを犠牲にして生きてきた「母」たちへの限りない「愛情」と「感謝」を描いた物語であり、そして「老人」がいま明確に欲する「自らに起こるメルヘン」、つまり「もう一度理想の青春を謳歌する」というファンタジーをストレートに描いてみせるところにある。
 人生経験は豊富、だが若い。それが独特の魅力となって人々を引きつける。そして、若いイケメン男性といい感じになったりする。
 「怪しい彼女」フォーマットは、民衆が青春まっただ中に苦難を強いられた世代がほぼ近隣諸国とかぶるため、リメイクがしやすいという利点がある。この映画が公開されてすぐに中国でリメイクされたのも納得である。


 


 よって、まあ基本的に言えば、映画ファンにとってはすでに「既視感」のある物語をこの映画はなぞっていることになる。だから新しい物語を発見したという感動は薄い。
 だが、その既視感を越える魅力がこの映画にはある。それは・・・。


主演の多部未華子ちゃん、超絶可愛い。


 いやあ、もともと可愛いんだけど、彼女のコメディエンヌぶりが絶好調で見ていて、「くはあこりゃたまらん」という感じなのである。73歳の倍賞美津子さんから20歳の多部未華子ちゃんへと若返ったあとの彼女の一挙手一投足にメロメロになる。
 ここでハタと気づくのである。このフォーマットは主演女優の「青春まっただ中」を描く映画でもあるのだと。


 画面の中の多部未華子はとにかく元気だ。とにかくいま、若い姿でいることが楽しくて仕方が無い。今まで謳歌できなかったことを全部やる勢いでイキイキと動き回る姿はとにかく魅力的だ。そして観客は気づかされる。この可愛い「彼女=多部未華子」もまた永遠ではないことを。
 この映画の「多部未華子」は「今現在の多部未華子」なのだと。そう考えるともう、この映画にいる魅力的な多部ちゃんはどれほど尊いものなのか。今、ここでその「彼女」を永遠に留め置くこの映画がどれほどありがたいものなのか。


 それゆえに、ラスト間際の多部未華子(母)と小林聡美(娘)の対話は、個人的にはオリジナルと匹敵、またはそれ以上に切なく感じてしまうのである。結果としてはぼろ泣きである。


 この映画を見終わって思った事。それは圧倒的感謝である。こんな魅力的な多部ちゃんを永遠に見られるようにしてくれた事への感謝である。というわけで、この映画はとりあえず多部未華子ファンは全員正座しながらこの映画を見るように!←座り方はどうでもええ。


 いやあー素晴らしい。ありがとう!作ってくれてありがとう。その圧倒的感謝分☆をプラスしました。いやあ、尊い。(★★★★☆)


「あやしい彼女」オリジナル・サウンドトラック

「あやしい彼女」オリジナル・サウンドトラック