虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「イントゥ・ザ・ストーム」(4DX版)

toshi202014-08-28

原題 Into the Storm
監督スティーブン・クォーレ
脚本ジョン・スウェットナム



 なんかね。すごかった。


 この日、私は始めて平和島の映画館に降り立っていた。
 twitterのタイムラインから流れてきた本作についてのつぶやきに触発されてのことである。


4DXというのをご存知だろうか。「知ってるよ!いまさら何言ってるんだよ!もぐりかよ!」という方々も多いと思うが、知らない方に説明すると、映画に合わせて動くシートを常備し、風、霧、煙、光、匂いなどと言った、五感に訴えるエフェクトが物理的に観客が味わうことができるという、体感型映画館のことである。席の足元にはフットレストがあってそこに足を置くことで、もう足元が床から浮いちゃってるの。だから揺れるときは本当に揺れるの。視覚、聴覚だけにとどまらず、そこに触覚、嗅覚を駆使する映画体験。味わえないのは味覚だけ!というまさに新感覚の映画体験ができる劇場なんですね。

 私、恥ずかしながら一度も行ったことがなくてですね、でも一度体験してみたいとずっと思ってたんですよ。でもまあ、通常料金+1000円という値段設定と、平和島という微妙に足を伸ばしにくい場所にあるもんで、ずっと「まあ、いいか。今日は近場で!」という惰性を続けてきた結果、この日まで私は4DX、体験せずにきました。だが・・・この作品ならば!という天啓を経て、ついに重い腰を上げて平和島までやってきましたおっかさん。
 びっくりしたのは荷物を預けるロッカーがあって貴重品とか電子機器とか大きい荷物はそこに預けて、飲食物は持ち込み不可という徹底ぶり。まあ、こぼれちゃうからね。飲み物とか。


 で、まあいざ映画本編が始まるわけですが。


 最初はね。それほどでもないんです。なんせ嵐は来てませんから。開幕にちょっと高校生が竜巻に巻き込まれちゃった話がちょろっと入った後は、登場人物たちのドラマから入るわけです。


 竜巻を撮影するための特殊車両タイタスを駆りながら、嵐を追い続けるストームチェイサーと呼ばれる人々がいて、竜巻の起きそうなポイントを求めてアメリカ北西部の町にやってくる。リーダーのピート(マット・ウォルシュ)はなかなか思うように撮影できずに、予報担当の気象学者アリソン(サラ・ウェイン・キャリーズ)に八つ当たり気味。そんな中、アリソンはついに巨大竜巻の兆候を見つけ出す。
 その町ではちょうど卒業式のシーズン。アメリカの高校の年度末は5月なので、大体5月の終わりごろなんですかね。高校で教頭やってる父親(リチャード・アーミテージ)と劣等感を抱いて父と距離を置く長男や脳天気だけど父に愛されたい次男、YOUTUBEの有名人になりたくて自分たちを撮影しまくる冒険オタクたちのそれぞれが撮ってるビデオカメラ視点で映画は進行する。
 長男はあこがれの女の子の課題の手伝いのために卒業式の撮影を弟に丸投げし、とある工場の廃墟へ。卒業式はついにたけなわに。


 そしてついに嵐がやってくる。


 正直ね、人間ドラマパートはあくまでも前段であり、あくまでも、映画の主役は圧倒的な大自然の猛威であります。


 嵐を追って突っ込むクレイジーなプロフェッショナルたち、家族を救うために嵐が近づく街へと車を走らせる親子、嵐に大はしゃぎするアマチュア(バカ)。それぞれの視点から本来の主人公、「未だかつてない竜巻」の姿が映し出されていく。わけです。その迫力たるや・・・・。なんつーかなんつーか。
 もうね・・・。


 すんごいの!(←圧倒されすぎて語彙が貧弱に)



 映画に連動して、「風」が暴れる、「雨粒」は吹きすさぶ、「稲光」は舞う。そんな4DXの演出効果も相まってえらいことに。人間って小さいぜ!翻弄されまくるぜ!というのを身体で否が応でも感じざるを得ないというね。家は飛ぶ、人は飛ぶ、車は飛ぶ、航空機もエンジン動いてないのに飛ぶ。竜巻専用シェルターですら意味を為さない!


 「うわー!うわー!こわー!こわー!」


 と4DXシートに翻弄される俺ね、超笑顔!


 いやあ、楽しかった。すっきりした。もうきれいさっぱり。いやなこともなにもかもすっかり忘れられる。ついでにストーリーも忘れてる<ダメじゃん。いやあ、もうね。人間のちっぽけなドラマなんざどうでもよくなる、この突き抜け方!4DXとの相性も相まってまさに最高の映画体験でありました。大好き。
 映画単体としては(★★★★)。4DX版は(★★★★★)!