虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「THE MYTH/神話」

toshi202006-03-30

監督・原案・脚本:スタンリー・トン
公式サイト:http://www.uipjapan.com/myth/


 いきなり開幕で秦の時代(およそ2200年ほど昔)の物語が始まる。朝鮮から王女を后に迎えることになり、秦の大将軍であるジャッキーは彼女の護衛を務めていた。だが、朝鮮の将軍で彼女の元の婚約者だった将軍が彼女を奪還しようと襲ってくる。逃走を始めるが敵の襲撃は止まず、やがて王女とジャッキーの二人は崖から落ちていく・・・・


 ・・・ところで、時代は現代。ベッドの上で、布団を抱えながら目覚めるジャッキー。


 てなわけで、「嗚呼、ついにジャッキーも武侠映画を?」とか思っていたら・・・ちゃんとジャッキー映画で、ホッとした。物語は、秦の時代の韓国的純愛悲恋話と、現代の純正ジャッキーアクションのおいしいとこ二本立て、ってな感じで進む。現代のジャッキーは考古学者で、ここ三ヶ月秦時代の将軍の夢ばかり見る。ある日、親友のウィリアムから、反重力の神秘の力があるというインドへ一緒に行ってくれ、というのでインドへ飛ぶ。そこから、前世の記憶探求への大冒険が始まるのであった。ちょんちょん。



 しっかし、ジャッキーは歴史ものがおっそろしく似合わない。最初出てきたときなんか吹きそうになった(少なくとも大将軍には見えない)。なんか、「寅さん」の夢オチネタみてーだよなーとか思ったりしたが 、その違和感をアクションで黙らせていく辺りはさすがである。物語は、現代のジャッキーが前世の記憶を思い出すたびに、秦の時代の物語が動き出す構成。スピリチュアルなジャッキー。大がかりなシーンも満載ながら、CGも効果的に配して予算を削減してる辺りがジャッキーの腰の軽さ。王女役のキム・ヒソンは韓国の人気女優だけあって悲恋ものをやらせると実に堂が入っていてジャッキーとの絡みも違和感なし。ちょっとジャッキーにはおいしい「あててんのよ」的シーンもあったりしてうひゃひゃーと笑った。
 一方の現代編もサービスたっぷりでインド・香港・西安を股にかける物語が展開するのだが、尺が半分足りないせいか、やや乱雑にとっちらかった印象がある。それでもねずみ取り工場でのアクションはジャッキーマインド溢れてて満足。なんでかゾウと川で遊んでいてジャッキーを助けるインド人美女(マリカ・シェワラット)も、華麗なアクションを見せ、チラリズムなお色気シーンがあったりと大活躍。出番は短いが、印象に残る存在感。


 クライマックスも香港らしい大ボラが展開する。まあ、かなり無茶な話なんだが、ここで前世と現在のジャッキーがつながる、という展開は「ほお」と納得。 この大仕掛けに至る過程がもう少し丁寧に語られていれば傑作になったかもしれないのだが、このくらい乱暴な話の方がジャッキーらしい感じもして、痛しかゆし、と言った感じ。
 物語自体はやや苦い結末の話ではあるんだが、予想していたよりもお気楽な作品だったし、ジャッキーらしいサービスも満載でファンなら楽しめること請け合い。大がかりでありながら、適材適所な目配せもなかなか。ジャッキーはジャッキー、それでいいじゃない、と思える作品でありました。(★★★)