虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「久米宏のラジオなんですけど」(TBSラジオ)今週のスポットライト!!ゲスト:ヤン・イクチュン(俳優・映画監督) 書き起こし。

 以前「ラジオなんですけど」で、「かぞくのくに」のヤン・ヨンヒ監督が登場した回を書き起こしましたが、その後「かぞくのくに」が国内の映画賞を総なめにする反響を受けて、「かぞくのくに」にも出演した俳優・映画監督のヤン・イクチュンさんが登場した回を書き起こしました。


ヤン・ヨンヒさんゲスト回 書き起こし
かぞくのくにのひとだもの - 虚馬ダイアリー

「ダブル・ヤン」結成?通訳にヤン・ヨンヒ監督登場。

久米宏(以下「久米」)「ヤンさんです。こんにちは。」
ヤン・イクチュン(以下「イクチュン」)「あー・・・コンニチハ。(笑い)」
久米「ジーパンにね、ブルーのTシャツを着て、その上に黒とブルーのチェックの長袖を着て、いつも帽子かぶってるんですけど、自己紹介のとき照れくさいんですかね、サングラスかけて、「どうしちゃったんだろうねこの人サングラスかけちゃって」なんて思ったんですけど。あのー、外国へ来て、テレビはまだしも、ラジオのスタジオって・・・。」
(通訳する声)
久米「えー、ぼく通訳なしで行こうと思ったんですけどね。・・・ラジオのスタジオに来るのって結構イヤなもんじゃないかって思うんですけどね。」
イクチュン「(通訳)いやじゃないです。とても楽しいです。
久米「えー、今声を発した(注:通訳した)もう人方、お客様。今日は「かぞくのくに」の映画監督ヤン・ヨンヒさんにもお越しいただいてます。すいません、今日は。」
ヤン・ヨンヒ(以下「ヨンヒ」)「いえいえ。通訳のヤン・ヨンヒです。よろしくお願いします。」
久米「ふたりはニットの帽子、おそろいでかぶってるんですか?イクチュンさんがグリーンで、ヨンヒさんが黒なんですけど。」
ヨンヒ「(笑)。最近、「ダブル・ヤン」で売り込もうと思って同じようなアイテムを・・・って別に打ち合わせはしてないんですけど。」
堀井美香(番組アシスタント。TBSアナウンサー。以下「堀井」)「偶然。」

日本語ジョークはムズカシイ。

久米「ラジオのスタジオって落ち着かなくてイヤじゃありません?」
イクチュン「(通訳)大丈夫です。全然オーケーです。
久米「僕は海外でのテレビの仕事で外国のテレビやラジオに呼ばれたことがあるんですけど、テレビだったらごまかしようがあるじゃないですか。手を振るとかなんとか。ラジオってね・・・ラジオ呼ばれると本当、困るんです、外国で。もう手も足も、もうバタバタしてとにかくすごい困るんですけど」
イクチュン「(通訳)おそらくあんまり続くと大変かもしれないですけど、たまにこうやってラジオ伺うのは楽しいです。特に外国でこういう体験出来るのはとても楽しんでいます。
久米「楽しんでいただければ幸せなんですけど。「かぞくのくに」という映画をね、この番組でお話して、ヤン(・ヨンヒ)さんがゲストでお越し頂いた時、僕はとにかくこの映画の中で「このヤン・イクチュンという俳優は素晴らしい!」と。あの、もうね、北朝鮮から付いてきている監視員みたいな役をやっているんですけど、この人、ぼく「本当に北(朝鮮)から来た本物」かと思ったくらいすごいって話をして。年齢もようわかんらんし、と思って、この俳優は「ヤン・イクチュン」という韓国の俳優だけど「年齢もわからん。ヤン、いくちゅん(いくつ)?」なんつって(笑)。えへへへ、あ、これ訳さなくていい訳さなくて。(略)できればヤン・イクチュンという俳優に来てもらいたい、会いたいということを冗談で言ったんですよね。で、本当に来てくださるとは思ってなかった。」
イクチュン「イマ、キタチョウセンデイキマス。
久米「????」
イクチュン「あ・・キマス?」
ヨンヒ「来ます?」
イクチュン「(照れ笑い)(通訳)「今、北朝鮮から来ました」と言いたかったんですが(苦笑)。

「息もできない」の主人公が暴力的な理由

久米「映画だと「年齢不詳でヤン・いくちゅん?」なんですけど、本物と顔を合わせてつぶらな瞳で髭なんかいじりながら話している姿を見ると、日本では、これね「4浪くらいして3年くらい余計に大学にいるような男」ってこういうのいますよ、いっぱい。大学生でこういうタイプいますよね。すっごい若い。」
イクチュン「(通訳)(笑)ありがとうございます。北朝鮮の監視員ってもちろん体験もしてませんし、自分なりに自分と近い年齢の男と想定をして役に自分を近づけようと努力しました。僕は独身ですけど、北朝鮮のヤンという彼は結婚して子供も3人いるという想定でもありましたし。
久米「あのー、こんなこと言っちゃなんですけど、この番組聴いてる人、「かぞくのくに」を見た人が大勢いるんですけど、北朝鮮から来ている監視員という役はね、役として何かやってるかというと、特に何もやってなくて・・・こんなこと言っちゃいけないんですけど、ぼおーっとしてタバコ吸って、ぶっすーと無表情でだまーってるだけなんですけど。無愛想だしね。」
イクチュン「(通訳)役柄としては感情を表に出すような役柄でもないと思ってましたし、そうしようとするのも違うなーと思ってましたんで。この映画での「ヤン(同志)の役割」を考えた時に、ああいうたたずまいにならざるを得ないです。本来、「かぞくのくに」の撮影現場でもそうでしたけど、現場で冗談言って笑わせて遊びながら楽しみながらキャッキャ撮影に参加する性格ではあるんですが、役柄がああだったので、実際の僕と役柄の「ヤン同志」というギャップが大きすぎて、それはちょっと自分でもしんどかったですね。
久米「そうだったんだー。で、この映画で「うわ!」と思ってすぐあの「息もできない」という映画を拝見して、あの映画はご自分でお作りになった映画で。全財産を投げ打ってご自分で。そんな財産なかったと言えばそれまでなんですけど、すべてを投げ打ってお作りになった映画で。あの映画を見てもですね、まあーーーー・・・不幸な家に生まれて育って、ね。過去も未来も考えないで生きているんだけど、「息もできない」というタイトルなんですけど、なんとか生きている男の話で。彼も立て続けにタバコ吸ってるだけで、そばにいる人で気に入らない人はみんな殴り飛ばしちゃう。あの映画はどうしても撮りたかった?」
イクチュン「(通訳)僕個人の問題というか、状況だったとは思わないんですが、当時あの、私たちの親の世代は韓国が短期間に急速に経済成長を遂げて、どんどん政治も変わる中で、親たちは頑張って生きたんですけど、とにかくストレスの塊みたいになっていて、その中でそれが子供にぶつけられたというか、そのとばっちりというとなんですけど、抑圧を受けて育ったのが僕たちの世代ですから、共通した「痛み」とかを抱えた人が多いと思っています。

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ヤン・イクチュンの辞書に「スター」という文字はない。

久米「ヤン・イクチュンさんて監督でもあるし映画俳優でもあるんですけど、ご存じだとは思いますが、韓流ブームってね。「冬のソナタ」というドラマが日本で・・・(イクチュンの異変に気づいて)咳したい?水飲みます?」
イクチュン「(咳払い)」
久米「(笑い)。どこまで聞いたっけ?ああ、「冬のソナタ」って大ヒットしてね、日本中の奥様が韓流スターに憧れて、もういろんな人が「韓流スターだ!」「韓流スターだ!」なんつって次から次へとやってきて、もういろんな人が。「今度はこれかよ」みたいなのが出てきて、女の子がグループになった歌手の人たちも、男の歌手ももちろんいますけど、女の子がグループになった歌手がたくさん来て。韓流スターって見目麗しくてつるんとしてて、「ありゃあいい男だね」て僕も思うようなね、そういう韓流スターがいっぱい日本に来て、写真にもいっぱい出てるし、あるんですけど、その中で、イクチュンさんって・・・いわゆる「韓流スター」とは全く別人種じゃないですか。全く違う。どう見ても「その辺のお兄ちゃん」だし(笑)。「韓流スター」って雰囲気が・・・。スーツなんか着てるの見たことないし・・・公私ともに。75年生まれでもちろん韓国ですから、21歳の時から兵役に行ってます。で、兵役から帰ってきてお芝居の勉強して映画デビューしたっていう。しかも映画っていわゆるメジャーの映画じゃなくて、インディーズ系のね。そういう映画から映画俳優になっていったという歴史は存じ上げているんですけど、フツーのいわゆる、「ペ・ヨンジュン」みたいな・・・ってどこがどう違ってこうなったのか聞きたいんですけどね。」
イクチュン「(通訳)難しい質問ですね(苦笑)。おそらく、あの「美しい韓流スター」たちは最初っから大きな所属会社というかマネージメント会社に入ってしっかりとした管理の下・・・
久米「吉本(興業)だな!(笑)」
イクチュン「(通訳・ヨンヒさん流して)スターとして作られるというかね。それは外見もそうでしょうし、戦略的にもそうです。僕は最初からそういう会社に入ったことがないと。言わばフリーランスの俳優としてやってきました。そこが彼らと違うと思います。
久米「つまり、ある種のプロダクトというか「製品」なんですね。その「韓流スター」が。(通訳し終わった後)ね?」
イクチュン「(同意)」
久米「いろんなスタイリストが寄ってくるは、ボディーケアする人も出てきて、「製品」として作り上げたものが韓流スターなんですよね。なんでそういう事務所に入ろうとは思わなかったの?・・・だってスターになってきれいなお洋服して『きやあーーー!』(女の子の嬌声)なんて。『イクチューーーーン!』(女の子の嬌声)と言われたりして。・・・すいませんね、バカな親父がひとりバカな演技して。そういう方が気持ちいいんじゃない?」
イクチュン「(通訳)そういう事は考えた事もないですし、『スター』ってこと自体、僕の頭の中にそういう『概念』がないです。

ヤン・イクチュンはよく笑う。

(注:その後イクチュンが韓国語で話しているが、そのことを言ったイクチュンが急に笑い出す)
久米「突然笑いが。「ヒェッヒェッヒェッ」と笑うんですよ。」
ヨンヒ「そうなんですよ。一言ごとに笑うんですよね(笑)。」
久米「「かぞくのくに」とかさあ、「息もできない」とかで「ひゃっはっは」と笑うの想像出来ないもんで、目の前でイクチュンが笑うと「嘘だろ・・・」なんて」
ヨンヒ「普段のイクチュンは一言ごとに笑ってますね。」
久米「でしょ?映画のイメージも大切にしてもらいたいんですよね。」
ヨンヒ「(笑い)。今のを訳しますね。」

もしもヤン・イクチュンが高級リムジンを手に入れたなら

イクチュン「(通訳)そういう製品のように作られる役者さんたち、確かにスターになるコースもありますが、僕は演技という・・・いわゆる表現者として演技をするために、自然な演技をするために、『日常』を大事にする。やはりそういう「スター」への道へとつながるそういう道に入ってしまうと、『日常』が『日常』ではなくなる。普通の『日常』を送れなくなるので、自分には合わないと思いますし、普通の生活をしながら、そこで得たものが、演技ににじみ出てくるというのが、自分は表現者として大事だと思うのと、僕は二枚目じゃないんです。
久米「すいません。あの・・・(ヨンヒさんへ)途中であの。通訳してもらって大丈夫ですね。」
ヨンヒ「はい。」
久米「あの、たとえば朝起きて、時間になると真っ黒いハイヤーとか長いリムジンがびゃーっと迎えにきて、で、周りに女の子がきて「イクチューーーン!」って女の子がいて、ハイヤーとかリムジンで現場に行って、撮影が終わるとリムジンで帰っていく、そういう暮らしはしたくないの?」


イクチュン「(通訳)自分がそういう状況になったら、リムジンを売り払って映画一本撮ります。
久米「(爆笑)。」
イクチュン「(通訳)今もバスや電車や地下鉄乗るのが楽しいですし、その中での発見もありますし、毎日毎日、「日常」を大事にしたいです。

となりで見知らぬ人が自分についての会話を始めた時の対処法

久米「バスや地下鉄なんて乗ったら、「イクチュンだ」「イクチュンだ」って言われない?」
イクチュン「(通訳)僕はこういう平凡な顔なのでわかる人、とても少ないです。日本に来て思うのはレストランで、特に東京ですと、有名人がいてもあえて邪魔しないようにお客さんが気遣うというか、「サインください」とか来ない。とても新鮮で「いいなー」と思います。韓国は来るんです。どんどん来るし、『ヤン・イクチュンじゃない?『イッチュン』よ。』『えー?ちがうよー。』とか真横でけっこう言い合ってるのを聞くと」
久米「(ふと気づいて、話をさえぎってヨンヒに向かって)あの、(イクチュンの)正しい発音言ってもらえません?イッチュン?」
ヨンヒ「ヤン・イクチュン?イッチュン。『ク』を言わずに息が止まる感じで『イ(ク)チュン』。」
久米「ヤン・イッチュン。」
イクチュン「(笑い)」
久米「(話を戻して)けっこう来るんだ飯なんか食ってると。」
イクチュン「(通訳。さっきの続き)とか、『イッチュンじゃないの』『本物?』『本物よ!』とか近くで言ってるのであえて「あ、ヤン・イクチュンです。よろしくお願いします。」みたいに握手を自分から求めたりして。向こう側は黙ると。

「かぞくのくに」は「儒教のくに」

久米「「息もできない」が公開している真っ最中にとなりにヤン・イクチュンが来たらね、僕は逃げると思いますよ。殴られるかと思いますもん。「コノヤロー!バカヤロー!」なんつって」
イクチュン「(通訳)僕は殴られこそしたけれど、人を殴ったことがないです。僕が先に殴ったことは一度もないです。殴られたんでケンカになったことはありますけど。
久米「「かぞくのくに」の監視員を見てもね、なんかあったら刺されそうとか思いますし。「息もできない」も殺気立ってる男ってああいうことを言うんだと思って。」
イクチュン「(韓国語で喋っているが、話しているうちに笑い出す。)」
久米「・・・あのラジオ聞いてる方に本当にお見せしたいんですけど、リラックスしてきて、身振り手振りとか色々芝居がかってきて非常に見せてあげたいよね。芝居がかってきた。で、今の話は何でした?」
イクチュン「(通訳)あのー、「かぞくのくに」の撮影中はやはり、儒教の国なので普段の生活でも一歳でも上なら、ましてや大分年上の大先輩の大御所俳優さんがいるとすごく堅くなったり、緊張するんですが、津嘉山正種さんがお父さん役で津嘉山さんの前に行くと、監視員としてもお父さんに申し訳ないというか、ちょっと「痛い」関係ですよね。
久米「あの人元々怖い人なんだ、あの俳優さん。『黙っていなさい!』という人ですからね。」
イクチュン「(通訳)一個人のヤン・イクチュンとしても年下だし、失礼があってはいけないという緊張感もあり、監視員の『ヤン同志』としてもお父さんへの申し訳なさとか、いたたまれなさとかあってトリプルですごく緊張していました。(その後、話している最中にまた笑い出す。)」
久米「なんか面白そうな話なんだけど(笑)。今、タバコと珈琲の話だったんで面白そうだったねー。何ですか今の話。」
イクチュン「(通訳)最初の方のシーンなんですけど、最初にヤン同志が家に入ってきてソンホ(注:北朝鮮から帰ってきた兄)が日本にいる間、東京から出ませんとかいう話を家族にするときに、ヤンが家族の前でタバコを吸うときも、普段なら年上の人の前ではタバコを吸わないお国柄ですけど、あそこは『威圧感を与えるヤン』ということで、「タバコを吸って欲しい」と私(注:通訳のヨンヒ監督)が指示を出したんですね。やっぱりなんか、自分(のキャラクター)が(役に)出てるので、煙を顔にかけるのは本当に失礼ということで、一生懸命下の方に下の方に吐いている自分があって、それはもろにヤン・イクチュン。『自分』がそうしてしまってた。それは自分でもこう、『役になる』とはいえ『自分』が出てくるので面白い体験ですね。そういう時役者として面白さを発見します。
久米「たしかあの時、珈琲飲んでタバコ吸ってたと思うんですけど、珈琲に砂糖を三杯入れてね、北(朝鮮)の方三杯、砂糖お好きだってんでいっぱい入れて。で、やっぱり北朝鮮の監視員があのー父さんの顔にタバコを吹きかけるようなタバコの吸い方って、多分本物もしないですよね。」
ヨンヒ「しないですしないです。それはしないです。」
久米「いくらなんでもそんな無礼なことはしないから、それはそれでいいんじゃないでしょうか。」
ヨンヒ「(バツが悪そうに)あれはあれでばっちりです。」

久米宏、「韓国語空耳」で通訳をさえぎる

久米「面白かったですか?あの役は。」
イクチュン「(通訳)台詞が少なくてああいう情緒というか、台詞の少ない役でしたが、かえって役者としてはチャレンジのしがいのある、役だったと思います。テレビとは全然違う。やっぱり韓国と北朝鮮では基本的に言葉は一緒なんですが、大分アクセントというか、なまりが違うので、それがどこまで自分の北なまりが大丈夫なのか、という不安もありましたし。そこは本当に努力をしました。
久米「さっきね、リムジンかなんかがあったら車を売って自分の映画を作りたいというお話でしたけど、まー映画作ったり監督したりというのがほんとお好きなようなんですけど、この仕事やってみないかって誰かに言われて、俳優としてその役をやって「はい終わりました。お疲れ様でした。」って帰って行く、そういう仕事も面白いんじゃないですかね。」
イクチュン「(韓国語として話して、ヨンヒさんが通訳)以前はそんなにいろんな役の話が来たわけではなかったので、また、食べなきゃいけないですし、
久米「(通訳をさえぎって)あ。『おまんま』と言ったのそれですか?」
堀井「ええ?」
ヨンヒ「???生活のためにって、ええと。」
久米「イヤ僕ね、二つだけ(イクチュンの韓国語から)聞き取れたんですよ。「キャスティング」って言葉と、「おまんま食べる」って(笑)・・・聞き間違いですね、はい。空耳です。」
ヨンヒ「『キャスティング」はあってます(苦笑)。」
イクチュン「(通訳再開)生活のためにも、与えられた役をやってはいましたが。「かぞくのくに」もそうですし、本当に興味を持って取り組める役を頂くようになったので、今後は作品を選んで、本当にやりたい役を選んで演じていきたいと思っています。

ヤン・イクチュンはなぜ普段帽子をかぶるのか。

久米「ええと、「息もできない」でのメイキング・・・ていうか終わった後のインタビューのVTR見たんですけど、あの時キャップをかぶってたんですけど、で、今はニット帽をかぶってるんですけど、いつも帽子かぶって前髪をちょっと出してそういうスタイルで普段はいらっしゃるんですか?アイロンの利いてないシャツをだぼっと着て」
イクチュン「(通訳)役者をやってるときは、髪型とか見られるからとても神経を使いますが、演出家というか、監督になった途端、見かけとかどうでもよくなるので、どうでもいいのを隠すといいますか、そのために帽子をかぶっていて
久米「頭とかさなくていいしね。かぶって出ればいいわけでね。」
イクチュン「(通訳)監督として一つ作品があって次に行くまで、一度も床屋さんに行かないくらい神経を使いません。ほったらかしてます。

書き起こしでは伝わらない「声」

久米「そうですかー。先週この番組お休みで先々週俳優さん(注:先々週のゲストが俳優・久米明さんだった)にご出演頂いたんですけど、やっぱり俳優さんて、こうやって声を聞くと本当にイイ声してるなっていつも思うんですけど、言葉はわからないですけど、声はいいなーって感じがするんですよ。で、自分がどういう子供で、どういう大人になったのかというのを1人語りで話して頂きたいんですけど。言葉はわからいですけど、『ヤン・イッチュン』(韓国の発音)の声をラジオ聞いてる人に楽しんでもらいたいんで、しばらくお話いただけますか。こんな子供で、こんな大人になりました、という話を。短くていいです。」
イクチュン「(「むずかしいなー」的な反応をするが、1人語りを始める)(時折「中学生円山」(宮藤官九郎監督作品でイクチュンも出演)という単語が出てくる)」
ヨンヒ「(通訳しようとする)」
久米「あ、訳さなくていいです。言葉は全部わからなくたっていいと思うんです。言った言葉は全部わからない。(僕は)外国語は元々わからないんですから。きっと楽しい話だったと思うんですよ。「中学生円山」。」
(一同爆笑)
久米「ありがとうございました。」
堀井「今週は俳優で映画監督のヤン・イクチュンさんと、「かぞくのくに」でご一緒だった映画監督ヤン・ヨンヒさんでした。ありがとうございました。」


追記:イクチュンさんが最後に話した対訳がホームページの方にアップされてましたので引用します。

映画「中学生円山」のキャンペーンで、
よく「どういう中学生でしたか?」と質問されたんですが、
韓国社会の影響で、きつく辛い子供時代を送り、暴力的でストレスが鬱積した親の世代の中で、自分もすさんだ少年時代だったと思います。

でも、今こうしてモノを作るようになって、純粋な子供に戻っているような所がありますし、また、素直な少年になろうと思っています。
久米宏 ラジオなんですけど 今週のスポットライト ゲスト:ヤン・イクチュン


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