虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「フライト」

toshi202013-03-07

原題:Flight
監督:ロバート・ゼメキス
脚本:ジョン・ゲイティンズ




デンゼル・ワシントン主演で送る、ロバート・ゼメキス新作。


 この映画を漫画を引用してわかりやすく説明すると。


「お父さん、あなたは堕落しました。」



「なるほど!デンゼルは堕落したお父さんだったのか。」

(C)ゆうきまさみ


 ま、こういう映画である。(わかんねーよ。)


 酒におぼれて家族から見放され、酒とコカインとセックス漬けという、堕落(だらく)した生活を送っていたデンゼル・ワシントン演じる航空機パイロットが、機体のトラブルによって墜落(ついらく)の危機を迎える。だが、彼は「奇跡」とも思えるような超絶テクニックによる「背面飛行」によって乗客の多くを救って「英雄」として扱われるんだけど、やがて「フライト中に飲酒」疑惑が起こる。彼は「英雄」なのか、それとも・・・という筋書きの、大変面白い映画である。
 圧倒的な「墜落危機からの生還」描写と、デンゼルが堕落した人間の業を演じきる姿が、本当に素晴らしい。


 『この事故自体が、実は「神様のなされた啓示」だ』という主旨の台詞が出てくるのだが、自由であることと堕落するということはイコールではない、という帰結になるのが、大変印象的な映画。それゆえの「デンゼル・ワシントン主演」なのか、と多くの映画ファンが納得するはずである。
 酒に薬に女に、と堕落しきった私生活の一方で、職業としての技能は超絶、友達からの信頼も篤い尊敬されるパイロット、という複雑な役柄を、アメリカの「善」と「悪」のゆらぎを演じることが出来る役者に成長したデンゼル・ワシントンがさすがの存在感で演じきり、それによって物語の説得力が格段に増している秀作である。みんな見ればいいと思う。(★★★★)