「クロニクル」
原題:Chronicle
監督:ジョシュ・トランク
脚本:マックス・ランディス
- 作者: 藤子・F・不二雄
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2009/08/25
- メディア: コミック
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日常の中に超能力がある風景。ひょんなことからその力を得た3人の高校生男子がつるみ、せっせとくだらないことにその超能力を使う姿を、「ビデオカメラ」や定点カメラなどの映像を編集した、という形で描き出す。だが、その力を使って学園で「見世物」にして学校の人気者になろうと画策したことで、それがきっかけで3人の間に本来あった溝が生まれ、やがて、そのことで1人の少年の「能力」は歯止めの利かない暴走を始める。
「AKIRA」「童夢」との比較で語られることが多いが、個人的にはボンクラ高校生版「エスパー魔美」という趣で見ていた。しかし、物語は3人の中にある家庭環境や学校での境遇など、彼らの中に元々あったその格差によって、引き裂かれていく。
「エスパー魔美」の佐倉魔美には高畑和夫というなんの能力も無い、明晰で博学な友人がいて、彼がある種のストッパーというか、魔美の導き手の役目を担っていた。だが、この映画ではそのストッパーになろうとした青年は、同じ能力を持つ「超能力者」だった。そのことが、結果として超能力大戦となっていく。
いわゆる単独視点(POV)の視点で、ビデオカメラが納めた映像記録(ゆえに「クロニクル」)によって構成される、という点において、その特異性があるのだが、それが一種のミスリードである。
ゆえに後半の大友克洋作品もかくやの展開までも定点カメラなどで「偶然」撮られた映像で丁寧につなぎ合わせる手法にこだわっているのだが、ここまで来たら普通に撮ってもいいと思いながら見ていた。
この「こだわり」が私の心を映画から醒めさせていた部分でもあったのである。
- 出版社/メーカー: パイオニアLDC
- 発売日: 2000/10/06
- メディア: DVD
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昔、井坂聡監督の「【FOCUS】」という映画があって、この映画も「取材用カメラ」という単独視点で描かれた映画であったのだが、この映画を見たのはレンタルビデオで、その鑑賞方法ゆえのリアリズムでより生々しく、そして怖かった。
この映画を見るベスト媒体はなにか、というとパソコンで再生しながら見るのがいいのではないか、という思いに駆られたのである。映画館で見る、というこだわりさえなければ、むしろそっちの方がこの映画は凄みを増す気がする。
そういう意味ではこの映画の強みや特異性は、「単独視点」にこだわるという「制約」によって強まる物語性にあるのだが、同時にその「制約」こそがこの映画の弱点でもある気がしたのである。(★★★★)
藤子不二雄異色短編集〈3〉ウルトラスーパーデラックスマン (ゴールデン・コミックス)
- 作者: 藤子不二雄F
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1978/02/15
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