虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「トランスポーター3」

toshi202009-08-25

原題:Transporter 3
監督:オリビエ・メガトン
脚本:リュック・ベッソン、ロバート・マーク・ケイメン


 運び屋フランク・マーティンが活躍するシリーズ最新作です。

 映画感想というものはですね、その映画に対して感じたことを書く、ということでね。僕がこの映画について感じたことを書こうと思うわけですが。ちょっとひとつひっかかってまして。それはですね。うーんと・・・。


 ぼくは映画に出てくる女性ってそんなに「ブス」だとか思ったことがないんです。別にフェミニストだから、とかそういうことじゃくて、なんか、こう、スクリーンに映る女性ってなんだかんだと可愛いと思ったり、キレイっておもうんです。たとえキレイな感じで映らなかったとしても、それなりの「選別」されてきた女性が出演しているわけだから、スクリーンに映えるような女性が選ばれると思うんですね。たとえ不細工だったとしても、それはあくまでも「不細工」という記号を演じるために出てきているわけだし、スクリーンに映るだけで不快になるような女性は基本的にキレーに排除されていると思うんですね。だから、あんまり女性の美醜についての不満を感想で書くことってあまりないんですが。
 でも、ちょっと、これは・・・と思ったんですね。


 うーんとね。美人が美人という「記号」を演じる。これは、アリです。基本的に美人な女性が「ブスな女」という役を演じる。これもアリです。「不細工あまり美人とは言い難い女性」が「あまり美人とは言い難い女性」の役を演じる。これもアリなわけです。


 で、問題は「あまり美人でない」女性が「美人」として、スクリーンに映る場合ですよ。


 そういう場合。それは基本的に「ギャグ」ですよね。「笑い」として消化するのが、僕は一番いいと思うんです。お笑いでいうなら「柳原可奈子」とか「ニッチェ」というお笑いコンビのデブの方とかは、基本的にそういう立ち位置で意識的に演じることで、「女性のカンチガイな自意識」を笑いに変える、というのをやっているわけで、これはもう完璧にアリですよ。
 一番最悪なのは、ですよ。「その美貌」に到達していないが「ものすごい美人の役」をやることなのだと、この映画を見て思ったわけです。


 本作においてヒロインの美しさなり、匂い立つフェロモンなりってかなり重要だと思うんですよ。だって、ジェイソン・ステイサム演じるフランク・マーティンってガチガチの硬派で、徹底したプロフェッショナルって設定じゃないですか。その男が、ルールを破ってまで女に心も体もメロメロになっていくという話なわけですよ。そしてそれこそが、クライマックスへの推進力となる話なわけでしょう。
 でもフェロモンも、美しさも正直明らかに「役不足」もいいとこなんですよね。
 第1作のヒロイン役のスー・チーはもう俺的は「合格!合格じゃあー!」と両手で親指立てるほどのセクシーさで、お前になら兄貴の相手でも文句はない!と太鼓判をいくつも押しちゃう大盤振る舞いですが、本作のヒロインの方はですねえ。うん。うーん・・・・きつい。きついわ。


 そもそもキレイにとれてないんですよね。ジェイソン・ステイサムを「彼女のアップ」をなめて撮るカットがあるんだけど、その映像の見苦しいこと見苦しいこと。なんで、なんで、こんな汚い肌で撮るわけ?大スクリーンにアップで映すんだよ馬鹿野郎。見ている方の気持ちになれ!
 しかもこの女性の行動がなあ。始めはつんけんしていて徐々に打ち解けていく、というのはまあいいんだが、ステイサム兄貴が戦いの中で上半身裸で闘いだしたら突然欲情。いきなりセックスアピールしはじめたりするのはいいとして、酒飲み始めたり突然ガソリンスタンドの店内で突然放尿しようとするとかいう行動はなに?お前何がしたいの?
 その挙げ句、フランクを直接的に「セックスしましょ」(意訳)と言い出す女。フランクが「しない」というと「あんたホモなの?ホモなの?」と失礼なことを聞きまくるので、「気分じゃねーんだバカ」(意訳)と改めて断るんだけど、そしたら車を離れたらふたりとも死ぬ→仕事失敗、という「設定」を利用してこの女、車の鍵を取って車を離れて「セックスしなきゃ鍵返さない」とか言い出す。で。フランク、仕方なく合体。


 ( ゚д゚)・・・・。


 うっぜええーーーーーよ!このドブス死ね!

 もう殺せよ殺せよこの女。ほんと死ねと思った。てんめえー、そのツラで、そのアプローチで、フランク・マーティンを落とすだあ?ふざけてんのか。ふざけんな。バカ。
 しかも、この後フランクが悪党相手に大立ち回りを演じるのは、彼女を助けるためなんですよ!フランクが暴れれば暴れるほど、俺の心はスクリーンから離れてますよ。「いいよフランク、もういいよ」と思いました。


 断っておくと、基本的には好きな映画のはずです。アクション映画としても十分に楽しい映画だとは思います。基本的にジェイソン・ステイサムがきちんと撮れていれば基本的に満足しちゃうような人間ですしね、私。でも、でも、このヒロインはちょっと・・・ちょっとない。もう少し、まともで、美しいヒロインだったら、もっと素直に楽しめたはずなのです。(★★)