虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ナイトミュージアム2」

toshi202009-08-28

原題:Night at the Museum 2: Battle of the Smithsonian
監督:ショーン・レビ
脚本:ロバート・ベン・ガラント、トーマス・レノン



 前作から2年後。夜警をやめて、社会的に成功を収めたラリーが忙しい仕事の合間に久しぶりに博物館へ行くと様子がおかしい。なんとバーチャルな博物館に改装して、多くの展示物たちがスミソニアン博物館に移送されてしまうのだという。
 もやもやしたまま帰宅したラリーのもとに、移送されたミニチュアカウボーイのジェデッドアイア・スミスから電話がかかってくる。サルのデクスターが展示物たちが夜にだけよみがえらせるあの「魔法の石版」を持ち出してきてしまったのだという。仲間のピンチにスミソニアン博物館の展示品保管庫になんとか忍び込んでみると、そこにはアクメンラーの兄カームンラーがいて、世界征服をもくろんで魔法の石板を手に入れようとしていた!

 ・・・というあらすじは正直なところどうでもいい映画。楽しかった。


 実は前作のことをすっかり忘れていて、あまり期待せずに見に行ってもうわくわくしながら画面に釘付けになってしまった。「世界征服をなんとしても食い止めなければ」とか「成功しても心は満たされないから、元の仲間とまた夜警しようぜ」という本筋の物語自体は正直あまりどうでもいいんだけど、本作は妄想博物館を歩き回る楽しみに満ちあふれている。
 ・・・あれ?前作について俺はどう書いたんだっけ?とおもって前作の感想*1を読み返したら俺が本作で感じたことと似たような事が書いてあって納得した。つまり、本作は前作とまったく同じコンセプトをスミソニアン博物館を舞台にやっているだけで、別に変わってはいないのだ。しかし、しかし、そのブレなさが本作でも健在で、とにかく展示物達がスクリーンいっぱいに動き出すのを見ているだけで楽しい。

 前作は冒険のパートナーは息子だったが、本作ではエイミー・アダムス演じるアメリア・イヤハートが冒険心溢れるツンデレヒロインとして主人公と行動をともにする。エイミーは「魔法にかけられて」に続いて相変わらず三十路とは思えないキャラを愛らしく演じていて、あきれるやら感心するやら萌えるやら。史実では悲劇的な人でもあるので、最後はちょっと切ない感じで去っていくのもキュンとする。
 バルーンドッグが嬉しそうに散歩しながら画面を横切ったり、キューピットの三人の天使がラップや「タイタニックのテーマ」を歌ったり、なぜかスミソニアン博物館にはないはずの彫刻や絵画が展示してあってそれぞれが動いたり、あまつさえ写真の中に入って。その「世界」の中を移動したりとやりたい放題し放題の「妄想博物館」による大冒険が楽しすぎる。
 悪役の配下にはイワン雷帝にナポレオンにアル・カポネと、よくわからん取り合わせが集結して主人公を追いかけるなど、新キャラ新アイテム続々である。


 その分、前作の「展示物」たちの活躍の場がクライマックス以外あまりなくなってしまっているのだが、考えてみれば当然で、前作も本作も「展示物が動いたら」という妄想の具現化であり、彼らはスミソニアン博物館の展示物ではない以上、彼らはこの映画では「イベント」たり得ない。主人公が夜のスミソニアン博物館を歩き回る動機付け以上のものではないわけである。
 そこがやや寂しいとはいえ、大きな欠点ではなく、続編としては大いに正しい。

 なんかもうここまでくると、「世界中の博物館」を股にかけた続編がいっぱいつくれそうだが、こちらとしては一向にかまわないなあ。絵を動かす仕掛けが楽しかったから、また忘れたころにやってきて今度は、メトロポリタン美術館*2あたりで大冒険してほしいかも。(★★★☆)

*1:http://d.hatena.ne.jp/toshi20/20070405#p1

*2:博物館じゃないけど、英語では同じMuseumなんだからいーじゃん!?