虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「アドレナリン/ハイ・ボルテージ」

toshi202009-10-23

原題:Crank 2: High Voltage
監督・脚本:マーク・ネベルダイン、ブライアン・テイラー


「アドレナリン」感想
http://d.hatena.ne.jp/toshi20/20070715#p1


 何故作った。(多分前作が米国でヒットしちゃったから)


 まさか。まさかの「アドレナリン」続編。


 前作のエンディングから始まり(つまりがっつり前作のネタバレ)、主人公ことジェイソン・ステイサム兄貴が完全に復活するまで3ヶ月。


 兄貴が目覚めると、手術台の上。そして中国系の医者たちが自分の心臓を取り出す真っ最中。そのかわりに埋め込まれたのは無骨な形の人工心臓だった。再び気を失い、目覚めたら医師達が今度は兄貴のチ○コを取り出す算段をしている。それを聞いて兄貴は完全に覚醒し、二人の医師を叩きのめすとそのまま、その部屋を飛び出した。
 よく見ると、自分の腹からコードがでている。そしてそれはなにやら機械の箱につながれていて、メーターらしきものがある。なんかよくわからんが、とりあえずカラダは動くし、問題ねーやと家を出る。外にいるヤクザの構成員らしきやつらをとりあえず叩きのめした兄貴は、デブ野郎の肛門にショットガンを埋め込んで、自分の心臓を持って行ったヤツの存在を吐かせる。
 そいつを殺してオレの心臓を取り戻す!意気揚々と車に乗り込み、むりやり始動させたところで、心臓が急に異常を来す。機械の箱を見るとなんかメーターが赤になってる。これに充電すんの?と充電するとなるほど、心臓が動き出す。ケータイで前作で懇意になった医者に自分に埋め込まれた心臓について聞く。
 基本的に外付けの充電池に充電することで動く心臓で、その電池のエネルギーが切れると体内電池に切り替わる。体内電池は1時間しか保たない。そうなるとなんらかの方法で体内に電気を送り込まねばならない。だから外付け充電池をなくすわけにはいかない。


 しかし、ひょんなことから外付け充電池の入った機械をこわしてしまった兄貴。あとはもう、自分のカラダにどんどん電気を送り込まないと・・・・死ぬ!!


ああ、そうかい。ざけんなボケが!このまま奴らの思い通りに、おめおめクタバってたまっかよ!!


 こうして「充電」しながら自分の心臓を取り戻そうとする兄貴の、大暴れがふたたび始まった。


 というわけで、前作は「アドレナリン出さないと死ぬ→だから暴れる」というキレーなロジックの繰り返しで、ひたすら暴れる主人公に最低限の必然性を持たせていたのだが、今回は「充電しなきゃ死ぬ」という、電池切れしやすいケータイみたいな体になった主人公が、如何にして自分の体に電源供給しながら暴れるか、というところがミソになっている。
 バイオレンス&セックス度は確実に前作を上回ってしまい、日本では18禁になってしまう憂き目にあっているのだが、そのわりに前作にあった「必死になる人間のおかしみ」は薄い。
 自分の体にひたすらスタンガンを当てまくったり、イヌのしつけ用の電気ショック首輪を奪って自らに装着して飼い主に「電気流せ!オラ!ワンワン!ワンワン!」と詰め寄ったり、医者から「摩擦なら電気が起きるヨ」と言われた主人公が、前作に続き、公衆の面前でヒロイン?のイブ(エイミー・スマート)とセックスして充電したりと、相も変わらぬ大暴れぶりが可笑しいのだが、今回はアドレナリンを出しているから暴れるというのではなくて、わりと冷静に怒ってても主人公の暴れぶりが変わらない、という点は前作よりも後退しているところである。
 つまり、アドレナリンが出ていようが出ていまいが、関係なく主人公は狂犬野郎だった、という形に収まってしまうと、前作ではそれなりに「人間」として見ていた主人公が、本作ではいよいよ「怪物」として暴れ回る映画*1になってしまっている。なにせ巻き込まれて死ぬ人間の数が、前作と比べてもかなり多いので、人をどんなに殺しても平気な主人公が生きるために何人被害者出してんだよ・・・という感じで、ちょっと引いてみてしまっている自分がいるのである。


 ・・・まあ、本作に至っては、主人公を含め、人間の体がほとんどモノに近いかたちで色々いじめ抜かれる映画になってるので、そんくらいの倫理観でなきゃ、正気を保てない世界ではあるのだが、まあ、しかし何だ。見終わって言えるのは・・・ただ一言。


 もはやアドレナリン関係ねえーーーーー!


 であった。(★★★)

*1:常に心臓が止まりそうになる設定なのに、再び動き出したからって主人公の肉体の復活早すぎだろ!と思うし。