虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「20世紀少年 第2章/最後の希望」

toshi202009-02-08

監督:堤幸彦
原作・脚本監修:浦沢直樹
脚本:長崎尚志渡辺雄介





 いつの間にか副題ついてやんの、だったら始めからつけろや「LOTR」気取りかこの野郎!な大ヒットシリーズ第2作。


 というわけで、「第1章/終わりのはじまり」をDVDで復習してから見に行ったんだけど、前作も見直したら予想外に面白くなってないかな、と思ったら・・・そうでもなかったので、あまり期待しないで見に行った。


 で見たわけですが。率直な感想としては面白かった面白くないというのではなく、「金かかってたなあ」だった。前作が3部作あわせての制作費60億円のうちの10億円前後だとすると20億円以上は確実に使ってそう。そういう意味でかなり大作感が出てきたことも含めて、前作よりはかなり楽しめました。


 今回は原作通り、ケンヂの出番は回想以外ほとんどなし。その空白を埋めるのは血のおおみそか事件で捕まって投獄されているオッチョ(豊川悦司)と、成長したカンナ(平愛梨)。
 まあ序盤は基本的に原作のエピソードの切り貼りなのは前作と同じなんだけど、前作よりも原作をかなり気持ちよく整理してかなりシンプルにしてあって、物語がわかりやすくなってる。浦沢直樹の作劇の常として脇の人間のエピソードによって奥行きを出そうとする手法(それで延々と本筋を先延ばしにするのが浦沢先生の弱点)を織り込みつつも、割と本筋へと一直線なので、クライマックスもそれなりに盛り上がる。
 脚本に長崎尚志氏が関わっているせいか、原作ファンを落胆させることもない形でうまく脚色できてると思う。


 キャスト陣で、特に良かったのは13号を演じるARATAとサダキヨを演じるユースケ・サンタマリア、あと高須を演じる小池栄子かな。
 ARATAはとにかくハマってたし、かなり役に入り込んでいる感。彼の登場シーンだけ妙にルックが「映画」になる瞬間が感じられて、主役級キャストを喰ってたように思う。彼のおかげで、13号がオッチョと邂逅する終盤の新宿教会周辺の場面は3割増しくらい盛り上がる。
 ユースケはサダキヨの躁うつ部分が本人の素のキャラクターと違和感なくバチっとハマってて、かなり良かった。そして、小池栄子は演技面はともかく、彼女の作り笑顔が笑っちゃうくらい「浦沢流キモ笑顔」を再現してる、という意味でかなり笑えた。ちょっとその再現ぶりだけでかなり美味しかった。この辺はキャスティングした人を褒めてあげたい。
 あと六平直政は出オチ感バリバリで、彼が出てきた瞬間大爆笑。このキャスティングはまんますぎる。


 オチは言いませんが、ラストはかなり大風呂敷を広げてきたので、第3章はいよいよそれを畳まねばならんのですが、さて。
 例によってスタッフロールの後にある予告編はかなり面白そうだった。俺が第1章を見た時に願った「映画版が原作を超える可能性」を、とりあえずプール出来ただけでも上出来でしょう。引き延ばしの許されない映画版ゆえの面白さが全開になることを期待して、ここは素直に第3章を楽しみに待ちたいと思います。



 ・・・ところで、ともだちはともかく、なんでオッチョはあんなにカンナに執着してるんだっけ?(★★★)


関連


<第1章 終わりの始まり>感想
http://d.hatena.ne.jp/toshi20/20080830#p1