虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「インビジブル・ターゲット」

toshi202008-09-07

原題:男兒本色
監督:ベニー・チャン


 
 婚約者を殺した犯罪グループ復讐を違う刑事。その同じグループから名誉を汚された刑事。潜入捜査官を兄に持つ、善良な巡査。
 同じ犯罪グループを追う彼ら。だが、強盗グループもまた裏切りの憂き目に遭い、その裏切り者を追っていた。彼らが行き着く「見えざる標的」とは、何か。


 ジャッキーの盟友・ベニー・チャンが、ジャッキーの「次代へ香港アクションをつなぎたい」という意志に呼応して、次世代に香港アクションの魂を注入するべく製作された・・・んじゃないかな!?と思うほど、気合いパンパンな香港アクション虎の穴。
 「香港国際警察/NEW POLICE STORY」で老いて若者に遅れを取るジャッキー、という今までのジャッキー映画じゃありえないシーンを挿入できる映画監督。それはベニーへのジャッキーとのつながりの現れと思う。
 警察という「正義」と、強盗グループの「悪」。その二つをキレイに分けながらも、それらを等価にドラマを置き、二つの価値観の狭間で揺れる葛藤に比重を置いたドラマも大正解。
 正義と悪の虚々実々の駆け引き、自らの価値観に命を賭ける男たちの暗闘。
 そしてジャッキーJr.ことジェイシー・チェン演じる善良な巡査が、兄を殺したと告白する悪党との、緊張感溢れるやりとりの中で互いに揺れる2人の感情に、思わず引き込まれましたよ。


 そしてクライマックスは、強盗団のリーダー格を演じるウー・ジンとの、息詰まる死闘。とにかく、ウー・ジンの存在感が圧倒的で、ニコラス・ツェーショーン・ユーが二人がかりでも倒せない!そこへ、ジェイシーが駆けつけ加勢するのだが、それでも、それでも倒せない!この男、本当に倒せるのか!?
 というくらい、ウー・ジン、つええ!かっこいい!・・・という、まさに質・量ともに「ラスボス」にふさわしい、無双っぷりが素晴らしい。肉体的説得力が、力の差を魂で超えていく展開に説得力をもたせている。香港アクション映画の未来へとつながる力作だと思いました(★★★★)