虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「トランスポーター2」

toshi202006-06-04

原題:Transporter 2
監督:ルイ・レテリエ 脚本:リュック・ベッソン/ロバート・マーク・ケイメン 武術指導:コーリー・ユン


 質問です。車の下にリモコン式爆弾が仕掛けられました。あなたならどう対処しますか?


 1・とりあえず必死にはずす。
 2・車を捨てて逃げる。
 3・敵を全員倒してリモコン奪う。


 全部不正解。答えは4番。この映画の中にあります。必見(笑)←ってなんで笑ってんだ。


 えーさて。
 リュック・ベッソンと愉快な仲間たちことヨーロッパ・コープが出来て何が一番良かったかって、ルイ・レテリエという娯楽作家が誕生したことではなかろうか。と思う。リュック・ベッソンの、荒唐無稽かついい加減な脚本を、如何にして面白くするか。そんな命題に真剣に立ち向かい続ける中で、培われ、磨かれた娯楽作家としての資質。それが今回も、無駄に炸裂する。
 というわけで、個人的に大好きな「ダニー・ザ・ドッグ」以来、個人的に待ちに待ったルイ・レテリエ監督最新作は、監督デビュー作の「リメイク」である。



 え?続編じゃないの?といわれると・・・ま、体裁上はそうなんだが。
 前作のエロヒロイン、スー・チーはなんでか「いなかったこと」になってるらしく、全然語られることもなく、いきなり舞台がフランスからアメリカ・マイアミに移動したり、前作ではスー・チーに骨抜きにされた過去もなんもかも一切リセットしたかのように主人公の性格もかなり男ットコ前かつ硬派なっており、全然印象に残ってない警部(フランソワ・ベルレアン)だけが、お友達としてマイアミに遊びにくる、ということでなんとか続編という体裁を守っている感じである。


 というわけで、前作があんまり好きじゃなかったりした私でも楽しめる、香港系チョイ馬鹿映画としてかなりいい案配である。黙ってりゃかっこいいフェロモン男優ジェイソン・ステイサムが一定のプロの矜恃を保とうとする男を演じているだけで「映画」として成立するのをいいことに、繰り広げられる話は荒唐無稽もいいとこのメチャクチャさ。
 6歳の男の子の学校送迎をする日々を送る、主人公・フランクは1ヶ月という期間の仕事を終えた。夫と別居生活する奥さんに、最後の頼みと男の子を病院へ送る依頼を受けたフランクは、送り先の病院で、彼に「なにか」を注射しようとする人間たちに襲われ、命からがら病院を脱出するも、依頼主の自宅で敵の手に落ちるのだった。主人公は男の子との友情を守れるか!?


 つー話なんだけれども、正直なところ、ストーリーはご都合主義の固まりのベッソン節。この映画のルール。



1・ツッコまない。
2・その代わり笑え。
3・目の前で起きてることを楽しめ。


 以上。
 君とフランクとの約束だ!*1


 淫乱ターミネーターみたいな女がサブマシンガンで邪魔する人間を敵味方の区別泣くジェノサイドする潔すぎる描写に始まり、ド派手かつ切れ味ある銃撃戦、ジャッキー・チェンばりの追跡劇、「TAXI」のごときバカっぽいカーチェイスD-LIVE水上バイクからバスへと飛び移るアクション、コリー・ユン指導の小技大技小道具を器用に織り交ぜた多勢に無勢な拳闘シーンなど、盛りだくさん。そこまでやりながら、クライマックスにはバカ過ぎる最終対決が、あなたを待っている。
 男の子との友情とか、人妻との淡いよろめきだとか、女ターミネーターの逆セクハラなんかも、単なる物語上の道具立てに過ぎないという割り切りの良さで、見せ場から見せ場へつなぐレテリエ監督こそ男ットコ前!まさに、職人監督の鑑ともいうべき割り切りで作られた、いい意味で頭悪い娯楽映画だ!


 これだから、ヨーロッパ・コープの作品は見逃せないよな。大好き。(★★★1/2)

*1:ただし出来ない約束はするな!