「マウス・タウン/ロディとリタの大冒険」
原題:Flushed Away
ドリームワークスとアードマンスタジオのタッグとしては最終作かな?の新作。劇場で予告編までかけていた*1にも関わらず、蓋を開ければビデオスルー。てなわけで、ようやく見た。
飼いネズミのロディはひょんなことから、飼い主が留守中の間に闖入者にトイレに流されてしまう。下水道を流された先にはネズミの街があった。だが、その世界では、カエルのボスが裏で牛耳っていたのだった・・・。ロディは地上へ帰るための船を探し始めるが、その船長は、勝ち気なネズミの少女・リタであった・・・。
原題見てようやくわかったけど、これ、「千と千尋の神隠し」の洋題と引っ掛けてんのね。「トイレを抜けるとネズミの街でした」。
楽しいっちゃ楽しかったし、アクションに次ぐアクションや、ギミックあふれる世界観の数々、ピクサーの向こうを張った物語*2を構築した心意気は非常に買うんだけど、脚本も世界観の説得力もどうしても比べると数段落ちるのは否めない。
大体肝心かなめの「マウスタウン」の成り立ち自体がようわからんしなあ。ピクサーなら前提として、人間世界と世界観の折り合いの部分の詰めをきちんとしておいてから話を進めるところだが、映画をみる限り、「あるんだからある」っていう形で投げ出しちゃっていて、いくらなんでも乱暴すぎる。異界であるとか、別世界であるとかならともかく、「ねずみたちが人間のように暮らす町があるんです」といきなり言われてもなあ。その辺の成り立ちの説明は欲しいところ。
CGとの親和性についても、まだ試行錯誤の段階という雰囲気(ニック・パーク的に言うなら「助走」段階)。ピクサーや本家ドリームワークスが、技術面においてはかなり先をいっているせいもあるんだけど、CGデジタルが映えるDVDというメディアでの鑑賞にも関わらず、ちょっとCGが貧弱に感じちゃうのがつらい。ピクサーの完璧な照明技術に慣れた目で見ると、どうしても「CGアニメ」の部分が勝ちすぎてしまっている感じがするのですよ。
それでもアードマンらしさを随所に感じさせる「生っぽさ」や独特のユーモア、動きが魅力ではあるんだけど、それだけで押し切るには、もうちょいキャラクターのブラッシュアップが欲しかった。CGにしたことでキャラクターの愛らしさよりも、どちらかというと両生類のテカリ具合のほうに貢献してしまっているのがね。正直「キモカワ」の「キモ」の部分が太字ゴチック体になっちゃってる感じで、個人的には愛しづらいかな。
力作でビデオスルーになったのはもったいないの一言なんだけど、ニック・パークが関わっていないせいもあるのかもしらんのだけど、個人的には秀作とするには、もう一押し足りない感じがしたかなあ。(★★★☆)
*1:http://mouse-town.jp/はいまだに「2007年全国ロードショー!」の文字が。ほろり。