虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「グッド・シェパード」

toshi202007-11-07

監督:ロバート・デ・ニーロ
脚本:エリック・ロス



 米国諜報戦の裏面史とひとつの家族の悲劇を絡めた力作。


 過去と現在が交錯しながら、やがて結末で響き合うエリック・ロス(「ミュンヘン」)の優れた脚本を、奇をてらわずにじっくり重厚に描ききるデ・ニーロ監督の腕は認めるものの、過去と現在の間にメリハリがあるべきなのに、あまりにも映像の色彩が単調なので、ぱっと見て時代が判別できないのは、もう少し工夫が欲しかったところ。過去の物語が、現在の「家族」の間にあるきしみを映しだし、やがてそれがすっと牙を剥く感じとか、面白かったんだけど、肝心のマット・デイモンアンジェリーナ・ジョリーが、力演にも関わらず役柄との相性がいまひとつなために、説得力にやや欠ける。(不倫のあけすけな告白はずっこけた)


 
 国家と人間性の葛藤の色が薄く、進んで組織に身を捧げ、ずぶずぶとはまりこんでいく主人公にも、ちょっと感情移入がしにくい・・・などなど、なんか細かい文句はけっこうあるんだけど、息子役のエディ・レッドメインの妙演や、マイケル・ガンボン演じる「教授」のキャラクターなどの男性キャラクターの放つ魅力が横溢する、「ゴッドファーザー」の変奏曲としても結構良くできている。物語の良さを殺すことなく、3時間という長丁場を見せきった力業に大変酔った。(★★★★)


 ・・・それにしてもジョー・ペシ、老けたなあ。最初誰だかわかんなかった。