虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「笑う大天使」

ごきげんよう、エンジェル!

監督:小田一生 アクション監督:谷垣健治 原作:川原泉
公式サイト:http://www.michael-movie.com/


 最初「UDON」でもみよっかなあ、と映画館の案内を見ていたら、イクスピアリで始まったというんで、見に来てしまった。それがこの恐るべき映画との出会いであった・・・。
 まあ、おおげさかなあ。おおげさかもしらん。ほんとは渋谷にでてまでこの映画を見るのめんどくさかっただけなんだけれども。人間、何事も面倒くさがったらあかん、ということである。


 川原泉の原作は未読なんだが、まあ、なんだ、貧乏人がいきなり金持ち世界に放り込まれ大奮闘、という、割と今の漫画界ではポピュラーなジャンルの話である。
 序盤の演出は、ここ最近ぽつぽつ出てきた「下妻物語」のフォロワーな演出。庶民マインドを持った女子高生が、お嬢様学校の人間の変なところを突っ込んでいくというシチュエーションは逆「下妻物語」で、選択としてはなるほど、悪くない。「ラブ★コン」を中の下くらいとすると、中の上くらいはいくくらいの、すごい開きがあるわけでもないが、いくぶんこちらがまとも、というくらいの出来映え。
 ヒロインの上野樹里がこの世代の女優としては、コメディエンヌとして頭ひとつ抜けているだけに、安心してみられるのが大きいか。この手のジャンルにありがちな金持ちの金のかけかたのありえなさで笑わすというよりは、堅苦しいからやっとられん、くらいのノリなので、おおげさではないのだが、ゆるゆると心落ち着いてみられる。広川太一郎がナレーションで小気味よく突っ込みいれてくれるのも功を奏しているかな。お嬢様にもいろいろいて、成金のメガネっ娘平愛梨)がいたり、若い秘書がお目付役の体力自慢娘(関めぐみ)がいたりして、意気投合。3人そろってだれもみてないところで、チキンラーメン喰ったり、麦チョコ喰ったりしてサボる、ってのはあれだな、校舎裏でたばこ、みたいな、ダメ生徒特有の背徳感だなーとかおもったりしながら、のんびり楽しんでいたのだが。


 この3人に特殊能力があるらしい、というナゾの展開を迎える辺りからこの映画は、その方向性をガラっとかえていくことになる・・・。



 この映画、ボンクラ映画ファン必見のB級超バカ映画であった。


 

 いや、最初「良家のご息女誘拐」だとか、ナゾの力が発現だとか、生徒の写真を持った新任シスターとか、ネタはふられてはいたのだ。だが、まさか・・・ねえ?笑う大「天使」+3人の娘→日本版チャーリーズ・エンジェルがやれんじゃん!・・・という、発想で映画作るボンクラたちに金を出す企業がこの日本に登場するとは誰が思おう。
 アルバトロス・フィルム制作であった意味を俺はきちんと考えるべきであった。


 誘拐された女生徒を救うため、彼女たち、3人のアウトサイダーは、悪党どもの船に乗り込み、対決するのであった!!
 って・・・えええええええええええええ!なにこのアホ展開。


 すばらしいいいいいいいいいいいいい!


 しかも何の必然性もないやんけ、という場面なのに頑張るアクションシーンの数々に頭クラクラしそうになる。その情熱がもう、涙が出るくらいに感動。すげえすげえ。よくこんな企画通したよなあ。それもこれも、ストーカー女映画「アメリ」で全国の女性観客をだまくらして得た金のおかげやな。多分。
 谷垣健治も必要以上に情熱を傾けていることがわかるくらい、彼女たちの動きもなかなかキレており、見せる見せる。しかも3人が揃い、変装を脱ぎ捨てるとそこには、お嬢様制服でポーズを決める3人が!!!!わかってるなあ!ちきしょう!


 しかし、それはまだ序の口。さらに驚愕の展開が待ち受ける!!


 まあ、それはみてのお楽しみということで。「大天使」ってそういう意味じゃないと思うぞ、と突っ込みそうになったバカさ加減。いやあ、これは必見ですね。
 婦女子向けを装ったボンクラ映画。この発想!このしたたかさ!これからの時代はこれだ!!この映画が成功すれば、ボンクラの未来は明るいぞ!!みんな見よう!!(★★★★)


追記:
 wiki見たら、なんか原作通りなの?この展開。
笑う大天使 - Wikipedia

 なんつー破天荒な漫画。