虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ゲット・リッチ・オア・ダイ・トライン」

「武勇伝」聞きたい?笑えへんけどいい

原題:Get Rich or Die Tryin'
監督:ジム・シェリダン


 ♪武勇伝、武勇伝、武勇でんでんででんでん。


 「8miles」の流れで生まれたであろう「50セント」のカーティス・ジャクソンの実話。らしい。いや、なんつーか、信じられないんですけどね。だって、面白すぎるもん。

 母親の死で祖母の家で貧困生活を経験してギャングスタになるしかなかったんだけどさ、俺苦労してっからどんどんのし上がったんだけどさー、ボスに裏切られ、刑務所で目覚めたラップで一旗揚げるも、妨害に遭ってさー、瀕死の重傷を負うけど奇跡的に復活したんだよ俺様・・・・みたいな。


 ♪カーちゃんいつものやったげて♪おう、聞きたいか俺の武勇伝。


 これは父親を探求する物語だ、とうそぶいて始まった物語なんだけど、これが「波瀾万丈な俺様」をこれでもかとみせつけるあたりがね。なんか酒の席でオオボラ吹いてんじゃねーの?というくらい、出来すぎてんの。大体、「主演:俺」って時点でかなりあれなのに、犯罪に手を染めまくった自分をあまりに脳天気に肯定的に描きすぎじゃね?だいたい「俺は勤勉だった」とか言うなよ。それで何人がお前のせいで破滅しとんじゃ。
 、麻薬売って罪もいっぱいかぶって、そんでもそんな俺でも成功できる、って話になっちゃってるのがね。バカヤローてめえだって、お前を裏切ったボスと変わらないじゃねーかボケが、という感じはすごくある。


 9発喰らって、死にそうになって生きててすげえ俺、とか、そら壮絶な体験だと思うけど、それ以前にお前自身、生きていくために人を破滅させてきたことへの総括とははねえの?とかはすげえ思う。あまりにも物語る人間の「モラル」が低すぎるのは、どうなんだろう。意識的にそう描いているのか、というとどうもそうは見えない。悪びれてない感じがする。つーか、誇らしげに語っている風すらある。
 こういう育ちでギャングになんのはしょーがないよねー、って感じでなんか軽い。ラストまで「50セント」に対して、「リスペクト」を抱けずにいた俺である。ペケポン。(★★)