虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

若い娘たち(1958年製作)★★★★

 岡本喜八監督の第2作目。


 とある地方都市。そこに唯一の大学がある。女手ひとつで5人の娘を育てている金沢家では、2階の一間に学生を下宿させているが、5人の娘のうち3人がそういった学生と恋仲となり、結婚している。そういう結婚を母が望んでいると知っていて、うんざりしている4女のカナ子(雪村いづみ)は「自分は絶対にそういう屈辱的結婚はしない」と常々言っている。
 金沢家は男子学生の間でも話題で、下宿先は争奪戦となる。それを勝ち抜いてやってきた川崎(山田真二)に対して、カナ子は「あたしに決して惚れないで!」と言い放つ。


 えー、ぶっちゃけラブコメです。
 どんな映画がでてくるかと思ったら、下宿の勝ち気な娘とちょっと奥手のハンサム学生の、好きだけど好きと言えない、そんな微妙な関係を絶妙の間で描く恋愛コメディ。女性キャラは主に4人で、ツンデレ系ヒロインカナ子、高校生のロリ担当金沢家5女タマ子たん(笹ルミ子)、活発で勝ち気だけど結婚する気まるでなしのドライ系、本屋の一人娘柴田澄子(野口ふみえ)、大学教授の娘でおしとやかだけど一度相手を決めたら積極的な、活発お嬢様系野村友子(水野久美)。後家さんである金沢家家長の美保子さん(三宅邦子)を入れると5人か。彼女たちの惚れた腫れたの騒動を描く

 結構多くの登場人物がいるこの物語を、鮮やかにさばく手際は、このころから見事。登場人物のキャラ立ちも既に確立していて、加東大介演じる本屋の親父なんかいい味である。

 
 岡本監督、こんなの撮ってたんだ、って感じで驚く。もともと千葉泰樹監督が撮った石坂洋次郎原作の恋愛小説を再映画化したもの。監督は「前作がウェットな恋愛劇だったので、ドライなコメディにしてみた」と語っているが、それがラブコメとして機能しちゃっている辺りが、面白い。今見ても結構新鮮な感じがあるし、是非一見を勧めたい。