または紅白撃ち合戦。トリはサブちゃん。
てなわけで、見ました。うん。うううううううん。
見終わったあと、一声唸ってしまった。首をかしげながら。
これでいいのか?と。
俺がものすごく歯切れが悪くなるのは、この映画、とても丁寧に愛情を持って作られていることがわかるからで、三池監督の歴代作品の中でも、かなり監督自身が思い入れたっぷりに撮っている・・・のはわかる。わかるんだけど。三池監督の本気の力が、映画の方に十全に乗ったようにはどうしても思えないのである。
人によって賛否あるだろうけど、俺はね、三池作品としてなら、どっちかっつーとお気楽に撮ったであろう「龍が如く」の方が上だと思うんだよね。
でね。
俺がどうしてもこの映画に対して寛容になりきれないのはですね、日本映画界きっての娯楽映画監督であるはずの監督が、本気で「ジャンル映画」にリスペクトを捧げた本作においてですね、同系統の映画が同時期にでてきたタランティーノ、ロドリゲスの「グラインドハウス」2作品に大きく水を空けられていることですよ。興奮度が段違いで下回ってる。
でもね。それでもなお、三池監督の演出力は群を抜いているからアクションひとつひとつはすばらしいわけでね。物語にこちらの感情のフックにひっかかるものがあれば、それだけでこの映画は傑作、秀作の域にまで跳ね上がる映画になるはずなんだよな。ところが、これがノレナイ。娯楽作品としての背骨がない。パンチに芯がない。
ここ正念場にきて、三池監督のストーリーテラーとしての弱さが露になった感がある。
とにかく、真正面から物語と向き合えてない。もともと飛び道具好きの監督だが、この映画に関してそれで逃げちゃだめだ。
脚本にNAKA雅MURA氏と一緒に三池監督の名前がクレジットされているが、これはおそらく、「合作」したという意味ではなく、NAKA雅MURA氏が作ったオリジナル脚本に三池監督が撮ってる最中にアドリブを加えた、ということなんじゃないか、と見ていて思った。そのくらい、話が展開するごとにドラマが薄くなり、その代わり飛び道具のギャグが増量していく。とにかく何のために戦うのか、その「戦う男たち」の背景があまりにも薄っぺらで場当り的で破壊的なギャグだけが連打されるに至ると、さーっと自分自身の感情の波が静まっていく。
いやもうね。妄想しちゃうのは、これが往年の岡本喜八監督ならどう撮ったろう、と思っちゃうんだよな。おなじコメディ交じりの西部劇でももっと笑って泣けるザ・エンターテイメントになったろうに・・・と思わずにはいられない。
力のある監督であることは周知なのだから、こんど同じジャンルを撮る機会があったなら、もっとドラマを飛び道具なしで、逃げずに撮ってほしいと思った。
でも清盛の「ヘンリーと呼べ!」と、桃井の●●姿には終始爆笑!あの姿の年増女優相手に一生懸命絡み演技したタラちゃんに拍手。(★★★)