虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「暗黒街の顔役」(1959年製作)★★


 鶴田浩二宝田明主演のヤクザ映画。


 ヤクザとして生きてきた、ふたりの兄弟がヤクザの掟に反発を抱き、窮地に追い込まれていく話。
 金融会社の社長が殺害され、その事件を近くの食堂の娘が目撃した。それからしばらくして。堅気になりたい弟はジャズ喫茶で唄ってるんだけど、そのジャズ喫茶、事件現場の近くにあったりした。その事件、弟も関係者として目撃されてるにも関わらずである。迷惑なヤツ…。当然組長は兄の方に「歌をやめさせろ。見つかったらどうすんだ。」と言うわけだが、弟の方は「歌は僕の希望なんだ」と兄の忠告にも耳を傾けない。力で脅されても歌への情熱を止めることはできない弟。そうしてるうちに、少女がたまたま友達とジャズ喫茶を訪れ、弟を見て勘づいてしまう。言わんこっちゃない。
 組長は兄貴に、一人息子を盾に「少女を殺せ」というが兄貴は拒む。だが、別の刺客が少女を狙うに違いない。兄貴は苦悩する。あんなうら若い娘が…どうしようー。と悩んでいる内に、少女には刻一刻とヤクザの魔の手が迫る。兄貴は決断する。




 その答え。 見殺し

 少女はひき逃げに偽装され殺害されちゃうのだった。




 駄目だろそれ。そりゃねえだろ。大体、弟が歌を歌わなきゃ堅気の娘も死なずに済んだんじゃねえか。しかし、兄貴は命をかけて、弟と一人息子を守り抜こうとする。この時点で、兄弟に同情する心を失った。ヤクザのくせに堅気の少女を巻き込んで平然と生き延びようとしてんじゃねえよ。クズが。


 喜八映画としても、発展途上という感じ。演出に試行錯誤の跡が感じられるものの、あの至高の軽さには至っていない。三船敏郎は町工場の親父役という、変わった役で出演。でも…やっぱミスキャストのような気が…。