虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ドラゴン・コップス/微笑捜査線」

toshi202014-03-24


原題:不二神探 Badges of Fury


 なんかね。映画を見るというのはどういうことか、というのはたまに考えちゃうんことがある。


 ボクは仕事帰りはほぼ体力的につぶれちゃうので映画を見に行かない。で、休みの日には映画をめったにはしごをしない。せいぜい時間をおいて、2本目くらい。
 なぜならば、感覚として1本ごとの濃度は薄まっちゃうんじゃないか、と思っちゃうんですよね。こんなイイ映画を見た。で、すぐ次の映画に・・・・って感覚は、正直言ってよくわからない。だって、映画を見て、その余韻をどう味わい、持ち帰るかまでが映画じゃんすか。



 でね。映画を見る本数って、こういうブログをやっていながら鑑賞作品自体はそれほど多くはなくなってきてる中で。どうしてもこう見る映画はどうしても選んでしまうんですよね。

 だから、ここ最近アカデミー賞関連作品がドバーッっと出てきたり、超大作映画が公開されてそれを見に行ったりするんだけど、まあーみなさん力入った映画ばっかりなんですよ、ここ最近の映画って!本当にさ、「よくここまで作り込んだ!」とか「よくぞここまで描ききった!」という、非常にスバらしい出来映えの映画ばかりを見てきたわけです。
 でまあ、そんな映画に対して、ボクもどうしてもグッと力を入れて2時間なり3時間なりを、見逃すまいと見るんですけどね。見終わった後は、かなりぐったりしながら見終える。肩も首も心もいつの間にかがっちがちになりながら帰るわけで。ここ最近、ちょっと肉体的にも精神的にも凝り固まってる部分があったんだと思うんです。


 で、今日はナニをみるかなー・・・と思って、ふっと時間帯が合ってたんで見ようと決めたのがこの映画である。なにせ、リー・リンチェイの新作でなおかつ警察系アクション大作!という触れ込みだったので、密かに気になってたというのがあって、なんとはなしに見に行ったわけですが。


 感想。見て良かった。



 ま、このシリアス本格アクション的な予告編はかなり詐欺に近いですけどね!



 話はね。香港の名だたる有名人がなぜか微笑みを浮かべながら死亡する事件が香港で立て続けに起こり、その謎を探るべく、「海洋天堂」でも共演したリンチェイとウェン・ジャン演じる、ちゃらんぽらんなベテランとチャラいナンパな若手の凸凹刑事コンビが謎を追う。その犠牲者たちは、香港で活躍する若手女優の元彼だったことが判明する!というのがざっくりとしたあらすじなんだけど。
 まー、話はまずミステリーとしてはテキトー。展開はパロディとベッタベタなコントの数珠つなぎ。その合間合間にかなり気合いの入った武闘シーンはあるんだけど、かならずコントなギャグでオチがつく。


 あ、これコメディなんじゃん!と気づくのにそう時間はかからなかったんだけど。だけどね。その合間にきら星のごとき香港の豪華俳優陣がばんばんチョイ役で出てくるので、そこまで香港映画に詳しくない私でも「え?うえ?」とスクリーンを思わず凝視する瞬間が何度もあったので、まあー香港映画ファンの方はイチイチびっくりしてください。
 そして、なんと言ってもコリン・チョウウー・ジン!さらにもう1人!というリンチェイと対決する相手もなかなかの強者ぞろいで、ベタベタギャグでオトされるのはもったいないくらいですね。ある意味贅沢な映画であります。



 はっきり言って傑作ではないよ。でもね。ここ最近、映画を見るたびにぐっと力を見てきた俺の肩や首と心をね、この映画は優しくほぐしてくれた。
 リアルで、全編に気合いが入ってる映画だけがすべてじゃない!映画ってここまでベッタベタでもサービス精神をふんだんに盛り込めば、それで楽しいんじゃん!ということをふっと思い出させてくれた。上映時間も2時間越えは当たり前!みたいなご時世に、98分とキリが良くって、ゆるっと楽しむことが出来た映画でした。繰り出されるギャグのタイプが一昔前の香港映画的なのでやや人を選ぶかもですけど、個人的には大変イイ時間を過ごせましたよ。好きです。(★★★)