虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「高地戦」

監督:チャン・フン
脚本:パク・サンヨン



 シネマテークたかさきで落ち穂拾い。


 停戦交渉が一向に進まず長期化する朝鮮戦争の、激戦が続く重要拠点・エロック高地で戦う「ワニ部隊」と呼ばれる、前線で働く兵士たちを巡るミステリーとして始まる物語は、両軍の兵士たちはともに疲弊し、厭戦の気持ちすら生まれるほどの過酷な戦いの中で、「地獄」を見ながらも生き残ってきた歴戦の兵士たちすら震える、過酷な運命をたどることになる。しかもほぼ史実どおりというから恐ろしい。
 その、あまりにあまりな展開におもわず、「・・・嘘でしょ?」と声に出して言ってしまった。北と南に分断された「同胞」たちの哀しみとその運命を、見事な緩急でシナリオを書き上げたのが、38度線にある共同警備区域を舞台にしたサスペンス映画「JSA」のパク・サンヨンと聞いて納得した。「戦争とは如何なるものか」という現実を突き詰めた物語が常に観客を指弾する秀作。(★★★★☆)


「戦線夜曲」