虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「スケバン刑事 コードネーム=麻宮サキ」

toshi202006-10-14

監督:深作健太 脚本:丸山昇一


 とりあえず、「BRII」ほどには酷くはなかった。破綻しまくってはいてもストーリーらしきものがあって安心した。前作のような泣き言を連発するような内容じゃなくて良かった。作り手の狙いとは違うところでゲラゲラ笑える箇所がそこかしこにあって、思ったほど退屈はしなかった。スケバン刑事らしいケレンは出ていたのが救いであった(救いかよ)。


 しかし、不思議だ。なんでこう、深作健太って若さがないのか。30代でしょ?彼。演出がヘボなのは、この際どうでもいいけど、若造なら若造なりの若さの出し方ってものがないか?もう少し若者の描き方、工夫しようよ。


 高校に潜入する特殊潜入捜査官=スケバン刑事の存在理由が「ガキの気持ちはガキにしかわからん」からというものなわけじゃない?
 それならば現代の若者ならではの鬱屈が描かれるのかと思いきや、イジメの構図も、荒廃した学校のイメージも、犯罪者のイメージも、「いつの時代だよ」というレベルの演出で描かれた挙げ句、上っ面でネットをネタにしながら、それを結局類型的な犯罪ゲームに落とし込むというのは、中年監督の感覚だぞ。
 しかも黒幕は、浦沢直樹を(下手くそに)模倣した演出*1で登場させながら、結局中身のないサイコ野郎だったりするに至って、「えええええ」と。こんなバカなら、なんでサキは遭遇したときに通報するなりしょっぴくなりしないのか。「あんたの声を聞いてない」って理由になってない。


 つーか、あいつ高校生じゃないじゃん!!意味ねえ。門外漢なら、外の警察の仕事だろ。嘘でも高校生で通せば良かったのに。荒唐無稽な話だからこそ、こういう基本的な前提くらいきちんと押さえといて欲しい。
 あと、いくら学校が会場だからって、なんでアングラサイトの集団オフ会に教師連中が参加してんの?あれは意味わからない。


 とりあえず色んな意味でボロボロな映画ではあるのだけれど、竹内力がいっぱい出てたのと、「イジメを知りながらいじめなんかないと強弁する教師」という時事ネタ先取り具合に笑ってしまったので、★ひとつおまけ。(★★+★)

*1:二十世紀少年」と「MONSTER」からの戴きシーンがそこかしこに・・・