虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

風雲児たち 迷走編

toshi202005-07-28



 「風雲児たち 幕末編」7巻を購入した。なんと!


 今巻の表紙が、プチャーチン


←この人



 …「誰?」とか聞かないように。可哀想だから。一応彼も風雲児の一人で、ペリーと双璧を為す大人物(強調)なのですよ。日本との条約締結のために遣日全権使節に任じられ、幕末の日本へやってきたロシア艦隊司令官、ワシリエビッチ・プチャーチン、その人である。でも…
 この漫画に出てくる風雲児たちの中でも、もっともヘタレ属性の高い、リアクション芸人みたいなキャラになっちゃってるわけですが。そんな男が表紙なので…


 内容はぶっちゃけ迷走しまくっとるわけで。


 しかも表紙だけでなく、内容的にも彼らがメインの話である。だから…


 余計に迷走しまくっとるわけで。



 いや、繰り返すけど本当は決してダメな人ではない。軍人として素晴らしい司令官であり、川路聖謨をして「軍人としてすばらしい経歴を持ち、自分など到底足元に及ばない真の豪傑である」と言わしめた人物である。日露和親条約を締結し、その功績で元帥になったのだ。
 でも、この漫画ではほとんどドツボにはまりまくって迷走したあげく、ペリーが比較的スイスイと日本と交渉していたのと比べられ、なんかすっかりダメキャラとして定着してしまった。
 「絶望先生」風に言うなら、同時期に日本に黒船でやってきながら、ペリー的存在になりそこねた、歴史の日陰者


 まあ、そんなプチャーチンの行動はと言えば、今回は


 長崎に入ろうとしたら(クリミア戦争相手の)イギリス艦隊がいたので大混乱。入港せず。
間宮海峡あたり。ロシア国内が戦争で大混乱につきディアナ号の船内再編成。ウンコフスキーら下船
松前に行ったら松前藩大混乱。日本人密航者一名を乗せたげる。いい人だ。
→大坂に行ったら、黒船アレルギーの日本人とにらみあいになり、やっぱり大混乱
→下田で、ようやく条約のための会談の卓に着くも、北方の国境問題で大混乱
安政東海地震による津波大混乱


→ついでに津波のダメージと暴風雨で艦隊旗艦・ディアナ号、沈没(オチ)


 …大混乱ばっかりですが、気にしないように。
 それでも日本を目指して友好を築こうとし、地震の際には津波に巻き込まれた人々に対して決死の救出活動を行い、ディアナ号沈没の際救ってくれた地元民への心からの感謝を航海日誌に書き残している。基本的にいい人(紳士)なんですよねえ。少なくともアメリカ的な強引な恫喝を、彼はしない。だから、腹黒い性格のペリーにして先を越されるわけですが。日陰者の哀しさよ。
 がんばれ!がんばれ、プチャーチン!!ひかげ荘の住人として応援するぞ!!(駄目)



 あと後半は竜馬にかなり話数を割いてます。歴史的には竜馬は土佐に帰っていて何もしておらんのだけど、彼の思想形成が河田小竜との出逢いで固まっていくところなんで外せないのでしょう。
 しかし、先が全然見えない漫画だ。本当にどうすんだ。