虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「劇場版NARUTO−ナルト−疾風伝 絆」

toshi202008-08-18

監督:亀垣一
脚本:武上純希


 「ナルト」劇場版も5作目・・・。たまたま見た最初の1作目にヤられて以来、毎年見てしまっているが、あれから4年か・・・。時の経つのは早いね、とちょっとしんみりしたりして。


 ナルト青年?編の「疾風伝」に名を変えて2作目で、前作より登板の亀垣一監督(代表作:劇場版「かいけつゾロリ」など)が続投。前作は正直ノレずに、「これで見るのやめようかな」と思ったくらいがっかりしたんだけど、本作ではかなり持ち直してきた。ナンの説明もなくいきなり、空忍と呼ばれる忍者が木ノ葉の里を強襲。彼らの「空襲」に忍びたちは反撃しきれず、次々と里の人々が傷ついていき、ナルトたちは里の人々の救助に追われる。そんな中、ナルトは流れ者の医者・神農と出会う。
 襲撃がやんで救助も一段落したその時、神農の弟子・アマルが自分の村が何者かに襲われ、神農に村に来て欲しい旨を伝えに来た。火影(里の長)である綱手は、カカシなどで編成したチームに事の真相を探らせるとともに、サクラ&ヒナタの医療チームをアマルの里に派遣する。ナルトは、その医療チームの護衛を任されるのだが・・・。


 予告編ではやたら「サスケ*1復活」が強調されていて「サスケがいたらなあ」とみんなで思い出してたら帰ってきた!みたいな話に見えたが、さにあらず。意外ときちんと娯楽の「骨法」に忠実な出足を見せる序盤は、なかなか見せる。カカシ班の空忍への「反撃」の描き方もなかなか痛快で、そこにナルトと女性キャラたちのイチャイチャ?珍道中や、神農&アマルの人情エピソードもからめて比較的快調だった、のだが。
 そのペースがある出来事により転調し、中盤であっさりと事の真相が露見するのだが・・・。うん。うーーーーん。ここがなあ。正直言うと、まあ「残念」と言わざるを得なくてですねえ。いくらなんでも、それまでの展開をちゃぶ台返しするような真相で、「ええ?」と思う。事の真相の短絡ぶりもさることながら、「黒幕」のキャラ造形が浅いのなんの。黒幕の能書きを聞いているだけで、「ああ、へえ、そお・・・」とちょっと「そら百年の恋も冷めるわ」という感じで、正直そこまで単細胞にしなくても・・・という具合でして、ええ。


 敵のくっだらない能書きを聞きながらぼっこぼこにされるナルトを見ているだけの中盤ははっきり言って見ていて苦痛だったんだけど、「プロレス」のぼっこぼこにされるほど「燃え上がる」プロレス文法を持ち込んで、ようやくナルトは「未知の可能性」を引き出され、反撃する終盤になってから、ようやく持ち直してくる。能書きに対する明確な反論(説教)と「俺はあきらめねえ」という正統派プロレスイズム、なおかつ年頃の女性相手に「俺を信じろ!」を連呼する第1作以来の天然女殺しっぷりまで大復活。ここ、ちょっと嬉しかった。
 そこにとある事情で「黒幕」となる男を捜していたサスケがナルト側に参戦。もう黒幕もパワーアップしてあがくけれど、ひたすらフルボッコにされるという展開の連続で、なんとか溜飲が下がってくる。もう少しそれらをスマートにやってくれれば、素晴らしかったのだけど、そこまで期待するのは酷か。ともあれ、劇場版アニメとしてはなんとか面目を保つ出来映えだった、とは思います。(★★★)

*1:ナルトのライバルで元チームメイト。今は里を抜けている