虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ


 「べしゃり暮らし」1巻森田まさのり 集英社)を購入。


 笑いそのものを描くことのできる作家は多いが、「笑い」について「物語」を描くのは難しいもの。お笑いを題材とした短編集を持つ作者ならではの抑制と、笑いに関する哲学が、ギャグを飛ばすだけの漫画ではない、笑いについての物語としての深みをみせつける。ジャンプ本誌の連載読んでいたときから巧いとは思っていたが、改めてまとめて読むと笑いのあり方やプロとアマの「笑いの構造」の差異を、爆笑王を目指す主人公の物語を進める横糸としてはめ込んでみせる辺り、ため息がでそうになるほどうまい。


 少年漫画としての性質も多分に備えながら、一本ピンと筋が通った気持ちよさがある。ジャンプ漫画、という枠に収まらない可能性すら感じさせる辺り、実はジャンプでもっとも注目すべき連載なのかもしれない、と思う。笑いについての知識を披露するでもなく、ただただ笑いを実践するものたちのドラマとして見事に昇華されている辺り、つくづく侮れない。克目して次巻を待ちます。