虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

今週のプラネテス-ΠΛΑΝΗΤΕΣ- LAST PHASE「そして巡りあう日々」

http://www.planet-es.net/
http://www3.nhk.or.jp/anime/planetes/


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●あらすじ(公式ページより)
いよいよフォン・ブラウン号の木星出発の日が近付いてきた。デブリ課に顔を出すハチマキとタナベ。二人はデブリ課員のはからいで宇宙に出る。


●メモ




「船には港が必要だ。いつまでも待ち続けてくれて、最後には自分を受け止めてくれる。そんな港がな。」(ギガルト・ガンガラガッシュ、最後の言葉。)




 あれから半年後。ハチマキは木星出発に向けて月の周りを飛んでいる。二人はメールで繋がっている。


「ああ、あとブリッチによろしく。」


 ブリッチはニン・マンテーニャくんからもらったナマコの名前。タナベが自宅に引き取って飼っている。


「宇宙に上がる件も、来月くらいには認めてもらえそうです。………そしたら先輩、宇宙で…逢えますか?」


 タナベのリハビリも順調で、医者から宇宙に出る許可が降りそうだとハチマキに言う。久しぶりの再会を願って宇宙を見上げるタナベ。





「久しぶり。」「1年ぶり…か。」


 チェンシンとハチマキ、あの第一試験会場での気まずい別れから1年が経過しての再会。当然気まずい空気が流れる。


「どうしたの?」「いえ、言い合いのようです。」「場所をわきまえてほしいものね。」

 どちらが話題を切り出すかで、政治犯と重要犯罪者を収監する刑務所(Tycho Crater Prison=チコ山刑務所)の前で口論してしまう二人。


「じゃあ、木星から帰ってきてから聞くよ。それならハチが先でいい。」「……わかった。」「帰ってこいよ。絶対。」「ああ。」

 チェンシンが譲歩を出し、ハチマキがそれを飲む。いつもそうして口論を収めてきたのか、1年間のわだかまりが一瞬で解ける。いつもの空気に戻る二人。


「簡単には許可降りないものね。ハチ、クルーの特権使ったでしょ。」
「皮肉よね。フォン・ブラウン号のおかげで会えるなんて。」


 クレアに会いに来た二人。ハチマキが使った手をクレアはお見通し。クレアの察しの良さの成せる業だが、同時にハチマキの行動を読んだ元恋人としての顔もふっと浮かぶ。


「判決は聞いた?」「ああ…長すぎねーか。10年なんて。」
「テロリストに対する量刑としては軽い方だわ。綺麗に全部喋ったからね。」

 綺麗に自白したこともさることながら、「連合法の適用されるセブン」故の軽さ、というのもあるのかな?小物っつっても実行犯なのだから、罪は決して軽くないはずだ。


「罰をね。罰を受けたい気分だったの。」

 社会と「繋がっていく」ために。それは彼女なりの信念ゆえのことだ。


「タナベさんと月に不時着したときにね、私はここで死ぬんだと思った。殺された方がマシだと思った。でも………結局、彼女は私を見捨てなかった。私の酸素を使えば、確実に助かったはずなのに。」

 死へと至る苦しみ、「死」そのものが迫る現実を目の前にしてなお、踏み越えかけた線を…最後の最後、留まったタナベ。それが結果的に好転する。


「いっそのこと、ヘルメットを取ろうとしたその時、シャトルバスが見えたわ。助けを求めるつもりなんかなかった。でも…私も彼女を見捨てることが出来なかった。どうしてかしらね。」


 一際輝いて見えるスラスターの光。


「好きだったから…」「まさか。大嫌いだったわ。何も知らずに言葉だけ振りかざして、頑張るだけでなんとかなると思っている。」
「怒ったり悲しかったりするのはそれだけその人が気になるからだよ。」


 一瞬、タナベの中に見たのではないか。「貴族になるために」もがいていたかつての自分を。

  「愛の反対は憎しみでなく無関心」(マザー・テレサか?)の言葉を元に、気になる≒好き論を主張するチェンシンには同意しないが、タナベにクレアの感情に引っかかる「何か」があったことは確かだと思う。


「エルタニカ語。私ね、刑期を終えたら、先進国の書物をエルタニカ語に翻訳しようと思ってるの。エルタニカの復興には学問が必要だから。」

 アメリカに渡ってから言葉を覚えた彼女は、自分の母国語は未知の言葉。だが、彼女の心にはワグッチ湖が見える。エルタニカに帰る日を。


「テマラさんとの約束。私には許されないから。許されないけど…でも…私も、繋がっていたいからかな。」


「どうか、あなたは宇宙にいてください。私達が見上げる宇宙(そら)で輝いていてください。それが、私達の誇りです」(テマラ・ポワチエ。PHASE.11より。)


 彼女の心残りはテマラとの約束が守れなかったこと。だからこそ、彼女はいつの日かエルタニカに貢献すると決めた。





「さっきの文字、なんて書いたの?」「"ミーグ"。『ありがとう、またね。』…って意味よ」





「君のテクノーラへの復帰が決まりましたよ。ドルフくん。木星計画を軌道に乗せた君の手腕は高く評価しています。復帰後は事業部長ではなく、常務のポストを用意しました。」


 縁遠いながらも体裁としてはテクノーラの子会社だったガリレオ開発を、木星計画の成功の目途が付いたのを機に、引き込もうとするテクノーラ上層部。


「確かに比べものになりませんね。 飼い犬と一匹狼のどちらがいいか、なんて。」

 だが、その甘い誘いをきっぱりと断るドルフ。この台詞、格好良すぎて笑っちゃった。自分で一匹狼って普通言わねえ。そんだけドルフにはテクノーラを敵に回してなお、立ち回る策も自信もあるゆえの発言。


ロックスミス博士を抱き込んで、ノウハウを独占したんですよ。テクノーラが宇宙開発に乗り遅れたくなければ、ドルフ社長と組むしかないでしょうね。」「木星計画から外されたベガ社とも先に話を付けていたらしいですよ。」


 ロックスミス木星計画全般を一任されていた男だから出来る、大逆転劇。なんかこう、ピクサーとディ●ニーとの暗闘に通じるモノを感じる。




 一方、月、静かの海市。ノノの秘密のエア・ロック。


「宇宙はごく一部の国だけが独占する世界になってしまった。それは糺すべきだろう?やりなおすべきだろう?すべての国をあるべき姿に…。」


 そこで出会う、国境に囚われた者と、月に囚われた少女。ハキムはワイアーアンカーの射出機を握りしめ、ノノに近づく。口をふさぐために。


「クニ?うん、ちゃんと習ったよ。そういうので分かれてるんだってね、地球は。」
「私ね、ルナリアンなの。月生まれの月育ち!だから、クニとかって見たことないんだ。」


 射出機を静かにノノに向けようとするハキム。だが、ノノのあまりに無垢な発言にはっとする。



「おじさんの国は地球のどこにあるの?ここから見える?」



 「確かに…確かに見えないな…「そんなもの」は。だがしかし…それでも私は…。」


 思わず「そんなもの」といってしまうハキム。しかし、ハキムは「クニ」という呪いから目覚めることが出来ず、彷徨する。その呪縛こそが、彼の世界との「繋がり」となってしまったかのように。





 そしてタナベ、宇宙へ。





「ま、今回は愛の鞭、ってことにしときましょ。」「それで、いいのかよ」「ええ。愛には色々あるんです。」


 彼女の新たな愛への見解。なかなかよろしいとおもいます。


●ハチマキ&タナベ、テクノーラへの帰還。テクノーラ周辺の変化。


・アルビンド・ラビイが乗っている謎の飛行物体はエルタニカ・テクニカ*1製。オーダーメイドか、これ。


・テクノーラの定年が延長され、フィリップ・マイヤーズ課長補佐留任。他にやりたがる人もいないのだろう。


・エーデルガルド・リヴェラ、正社員として採用。総務課へ。心なしか、声に張りが出てる。


・アルビンド・ラビイ係長補佐、係長になる。良かったですね。


・テクノーラを辞めて以来、つながりのなかった連中が親しげに話しかけ、第2話でハチマキを宇宙船獲得構想をバカにしたあげく、ぼこぼこにした男がサインをねだる。いい根性だこいつら。


・その点、タナベは普通に友達に恵まれてる感じがある。会話も朗らかな感じ。




●しりとりプロポーズ用語(中途半端)解説


 ケスラー・シンドローム


 NASAの著名な研究者であったD.ケスラー博士が唱えた理論であり、警鐘。
  デブリ同士が衝突して、破片が生成されると、デブリクラウドデブリの雲)が発生して、衝突確率が1桁上がる。そうすると、ますます衝突事象が起きやすくなり、それで更に発生したクラウドで更に確率が上がり、衝突が連鎖的に発生して、ロケットをどの時間、どの方向に打ち上げても、デブリに遮られて、宇宙開発が最後にはできなくなってしまうという破滅的な理論。(公式ページより)


無重量用軸受


 回転運動をする軸を支える装置。ベアリング。それの無重力地帯用。


ケレス


 太陽系の小惑星のうち最大級のものの一つで、小惑星としては初めて発見された。「セレス」とも言う。


1801年1月1日にシチリア島にあるパレルモ天文台の台長ジュゼッペ・ピアッツィによって発見され、ギリシア神話の女神ケレスから命名された。その後太陽に接近したために行方が分からなくなったが、カール・フリードリヒ・ガウスが最小二乗法を改良して編み出した軌道計算法によって1年後の1802年に再発見された。


スピン抜け


計器飛行


 計器を頼りに飛ぶ方式。夜間や悪天候で視界が得られない場合、パイロットは計器の情報を頼りに飛ぶ。


ウインドウ開け


ケネディ宇宙センター


 正式名称:ジョン F.ケネディ宇宙センター
 アメリカのフロリダ州にあるNASAの施設。古くはアポロ計画のロケット、最近はスペースシャトルの打ち上げ基地として知られる。

ケネディ宇宙センター ホームページ
http://www.nasa.gov/centers/kennedy/home/index.html


アナンケ


 木星の衛星の内のひとつ。


鍵盤ハーモニカ


 ピアニカとも言う。ピアニカ前田というプロ奏者もいる。


髪の毛。


 課長補佐のNGワード


結婚しよう


 主にプロポーズに使われる言葉。


うん


 主に同意を意味する返事。親しい間柄や目下の人に使う。




●エピローグ


星野九太郎、ロケットを打ち上げる。綺麗に空へと上がっていく。キュータローの後ろにはギャラリーがいっぱい。なんか九十九里の名物になってるのか?ギャラリーの中に、phase.13に登場したハチマキの旧友夫妻がいる。



ガリレオ開発にニン・マンテーニャ(妊娠男)とその同僚二人が営業。チャドが担当しているのだが、困惑した顔を浮かべている…って結局こいつらまたナマコで研究してるのか。


 そこにウェルナー・ロックスミスが資料を持って登場。…内容は土星計画らしい。エゴイストの闘いは続く。



ドルフ・アザリアガリレオ開発取締役社長)はテクノーラの第2第3事業部長ノーマン・シュマイワーと管制課課長ゲーハートと商談。



・報道に転身したはずの監督とそのスタッフ俳優は映画の新作の撮影。主演はセリエ・シュマリエちゃん。世界ランキング3位のテニスプレイヤーだったのに…なんかものすごい勢いで転落人生歩んでる感じが。



・お払い箱になった?女優の人は、バーで黄昏れている。そこにブタ箱に入っていたエーデルのDV夫サーシャ・ヒダックがナンパし、その後ろをスリが通り過ぎる。



・タンデムミラー2号エンジンの事故現場では被害者の追悼セレモニーが。そこには喪服着た夜桜おりん(チッタ・サリバン)とその親父さんが、霞の小源太(コージー・ブルース)の墓に献花したあと黙祷。でもおりんさんの手が忍術。さすがクノイチ。



・その模様を伝えるニュースを見つめる太郎坊(ニコライ・ビエンコフ)氏。レストラン清掃の職にありついたようだ。思えばこの人も、報われない。生きてりゃいいことあるさ。多分。



・エルタニカではテマラ・ポワチエとその同志が戦火の祖国を移動中。馬車で宇宙船を運んでいる。夢は諦めていないようだ。



・そしてリュシー・アスカム、玉の輿に王手。コリン・クリフォードと結婚式の準備に入っている。後ろに控えているのが、PHASE.4でコリンに人生の因果を含めた執事?さん。さらに奥の間にクリフォード議長が足を組んで座っている。



・総務課ではエーデルタナベの友人と談笑?してる。机にはノーラくんグッズがいっぱい。いままでの反動か、やりすぎの感がある。



デブリ課にも新人*2が来た。強烈な姉御変な係長カツラの課長補佐、そして謎の飼育係がいる事務所。相変わらず第一印象マイナスっぽいんですが。



・PHASE.3に登場したイブン・ファドラン氏の娘さん木星のニュースを見ている。きっと胸中は複雑だろう。


ケネディ宇宙センターではフィーの旦那とその息子・アルが犬の散歩中。
・そのすぐ近くでは農園からなんとか脱出したシアちゃんその両親が店を出している。









・そしてハチマキは、タナベとの「愛」と共には木星へ旅立つ。

*1:テマラ・ポワチエ氏のいる会社ね。

*2:原作者の幸村誠さんがモデルらしい