虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

今週のプラネテス-ΠΛΑΝΗΤΕΣ- PHASE.19「終わりはいつも…」

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●あらすじ(公式ページより)
 木星往還船乗組員の一次試験が始まった。試験会場にはたくさんの受験者が集まっていて、その中にはハチマキやチェンシンの姿もある。デブリ課に残ったタナベはハチマキが気になるのだが、連絡がうまく取れないでいた。基礎体力試験、筆記試験が終わり、ハチマキは最後の水中試験に挑むのだが、アクシデントが発生する。


●メモ


「結果オーライとしましょう。この報道のおかげで我々デブリ課を解散させるわけには行かなくなったわけだし。」
デブリ屋は…もう終わりだ。」


 デブリ課のラストミッションではなく、ハチマキのラストミッションだった前回。



「応募総数はおよそ2万。すでに決まっている人間やミッションスペシャリストを除いて採用されるのはたった18人」


 …というわけで、いよいよ今回から木星往還船フォン・ブラウン号の乗組員採用試験編開始


フォン・ブラウン号に乗るって決めたら、急に楽になってさ。」

 試験会場でチェンシンと再会したハチマキ。暗くなりつつあったハチマキだが、試験を一緒に受けるチェンシンに対しては、妙に明るい。鬱屈が消えたように。


フォン・ブラウンの試験を受ける。だからここにはいられない。」

 だが、思い詰めたハチマキは会社という退路を断っていた。かつての人間関係までも。それはタナベすら例外ではない。


「そんな男やめちゃえば、って言ってるのよ。」
「会社やめてまでやることじゃねーだろ」
「あいつか。半課にいたやつって。救えねーな。」

 変わっていくハチマキに対して、理解を示す者は少ない。


「たかが弾よけ会社にテクノーラがよくこんな優秀な人材を出したもんだ。もしかして…優秀すぎた?」

 一方、左遷に近い形で新会社・ガリレオ開発取締役となったドルフは粛々と仕事開始。ロックスミスと会う。ロックスミスはドルフ放出の理由を喝破する。人間を愛せなくとも、人間の「値踏み」だけは正確だ。


「で、どこのホテルなんだ?」「ゴールドクラウン。」「豪勢だな。さすが一流企業。」
「一次試験は半月近く掛かるんだ。そんなにホテル暮らし出来る身分じゃない。」「ちょっと離れれば安アパートはいくらでもあるぞ」「無職の人間には貸せないってさ。」

 無職と一流企業の歴然の差。半月近くのホテル暮らしを許されるチェンシンと、ホームレス同然の生活を強いられるハチマキ。…まあ、冷静に考えれば、大抵の人はこの試験のために安宿借りられる程度の貯金をしてたんだろうが、ハチマキは急に決めたから。



「ご存じですか。木星計画の予算があれば昨年餓死した人の4割が救えたって。地球のことすらちゃんと出来ない人類が木星を目指す必要があるんでしょうか。どうお考えですか。2号エンジンの事故で何人亡くなったかご存じですか。犠牲者のことは考えないんですか。一方的なわがままだけで人類をしょって立つような振る舞いをどう思いますか。」

 試験会場で記者から質問をされたハチマキ。その「人類愛」に満ちた台詞を思い返しながら、だがそれをあっさり打ち消す。


「軌道保安庁は?」「辞めたよ」「なんで…」「保険をかけて追える目標ではないだろう。木星往還船は。」

 ハチマキと同じような環境で試験を受ける男・ハキム・アシュミード。


木星計画乗組員一次試験最終試験 概要。

 木星軌道上、エウロパ周辺にてフォン・ブラウン号の生命維持システムが停止。諸君は船外活動により10分以内にシステムを回復させねばならない。



「地球で死んじゃうような人なら要らないよ。木星にいっても死なない人が欲しいんだから。」

 今週、ロックスミス節絶好調。本音も厭わないその姿勢が相変わらず。


「ダイバーはプールの横で待機させますよ。」「わかってますよ社長さん。ちょっと脅してみただけですよ。」「………。」

 冷静に釘を刺すドルフとすんなりかわすロックスミス。「てめえ本気だったろ。」って感じで睨むドルフの反応がちょっと微笑ましかったり。


「私の船に必要なのはヒューマニストではなく、クルーの被害を最小限に食い止めることが出来るリアリストだ。」「リアリスト?ただのエゴイストじゃねーか!」「エゴイスト結構!私もエゴイストだ。」

 アクシデントのなかで仲間を見捨てテストを続けたハチマキは、ロックスミスの興味をひく。



●おまけ
「あきらめたから。あんな馬鹿な男。」

 恋愛リアリスト(またはエゴイスト)・リュシー。実は今回一番衝撃だったりする。さんざ、長い間チェンシン目当てに人をひっかきましといてこの女は…。すげえ変わり身の早さ。「女はこええ。信用できねえ」



●雑感

 最後のチェンシンとの口論が本音炸裂で評価を分けるところだろう。ハチマキの余裕のなさによる本音爆発が痛々しい一方で、必死なハチマキにとって試験に落ちても余裕の構えを崩さないチェンシンの優越が癇に障る、という気持ちも分かる。

 俺はどちらの言い分も正しいと思う。

 問題はどうエゴイストであるか。ロックスミスは決して単なるわがままではないし、ドルフとのやり取りをみても処世は心得ている。(むしろドルフはそっちで失敗してる)。

 「子供の夢の追い方」でなければ届かない場所はある。だけど、それが本当に正しいことなのか。このアニメはそこに答えを出していない。その抑制がこのアニメの傑作たる所以だと俺は思っている。