虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

今週のプラネテス-ΠΛΑΝΗΤΕΣ- PHASE.17「それゆえの彼」

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http://www3.nhk.or.jp/anime/planetes/


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●あらすじ(公式ページより)
 木星計画担当官ロックスミスデブリ課を訪れた。どうやらハチマキの父である星野ゴローを探しているらしい。理由を聞くと木星往還船『フォン・ブラウン号』のクルーにスカウトしたいとのこと。興味がなく隠れていたゴローに木星行きは人類の夢だとハチマキは力説するが、まったく相手にされない。そんな時、フォン・ブラウン号のエンジンが大事故を起こす。


●メモ

・原作エピソード

プラネテス(2) (モーニング KC)プラネテス (2)」PHASE.6「走る男」より。


 エゴイストたち、現る。エゴゆえの彼ら。彼らゆえのエゴ。
 


「だいたいな、あんな…あんなしつこく誘われてさあ、乗ってみたくなっちまったらどうすんだ、木星往還船に」

 ギガルト先生に来客。客が帰ったあと、その客の尋ね人が現れる。
 個人的にこの台詞はすごく好き。


「オリンピックに出る方が簡単なんじゃないかな。」
木星の開発は人類にとって意義のあることだし、その最初のメンバーとなれば歴史に名を残すしね。」


 木星を目指すチェンシンは木星開発を仲間に説明する。人類。意義。歴史。宇宙開発の表看板。


「親はともかく、恋人は難しいだろうな。若い女性に7年も待っててとは言えないもんな。」「…そうだよな…どっちも、ってわけにはいかないよな。」


 何かを選るには何かを犠牲にしなければならない。宇宙を目指す事で、失うものは少なくない。

 


「君、前に言ってたろ。『貴族にはなれない』って。あの意味は。」「どんな美味しい料理でも、それを作った農民が飢えてるとしたら、私は食事を楽しめない。……貴族になろうと、頑張ってきたはずなのにね。」


 テマラの一件以来、出世する意義を見失ったクレアは仕事のミス続きで管制課の仕事を降ろされる。



「私はウェルナー・ロックスミス木星担当官です。」


<初登場キャラ>
ロックスミス(本名:ウェルナー・ロックスミス木星往還船『フォン・ブラウン』号の設計者で、そのメインエンジン『タンデムミラーエンジン』の開発者。)設定資料



「あのさあ、理論値じゃなくて出力の臨界極限値のデータ取りのために2号エンジンを用意したんだよ。いっそ壊すつもりでギリまで出力を上げてみてくれ。」
「2号エンジンの臨界試験ならおとといやったろ?」「ロック・スミス主任がもう一度って言ってるんだって。」「わがままなボスだな。」「文句言わない。お仕事お仕事。」「そうそう。雇ってもらえただけでもありがたいとおもわなくちゃ。」


 わがままだけでは済まない、この男の非情さは、優秀なエンジニアすら簡単に犠牲にする。職を選んでられない人間のことなど眼中にすらない。



「20世紀はじめに宇宙を夢みたロシアのおっさんがそれを叶えるために一発吹いたのさ。大先輩は頭がいいから、自分の欲望を人類全体の問題にすりかえたんだ。俺は宇宙に来たかったから来た。飽きたら去る。それだけだ。わがままになるのが怖い奴に宇宙なんか拓けねえのさ。


 長く宇宙に生きた先達は、かつての英雄に自分のエゴと重ね合わせ、諭す。表看板の裏を知るものを身内に持つ強さ。



「宇宙施設のふたつやみっつ吹っ飛ばしても私が更迭されることはないさ。なぜだと思う?それはね、私が宇宙船以外なにひとつ愛せない逸材だからさ。


 非情ではあるが非常の人。この男の価値はそこにある。ロックスミスはそのことを誰よりも自覚し、自負している。


 ハチマキは、ついに人ならざる人への領域に踏みいる決断をする。



「爆発した2号機の遺したデータには満足しています。次は失敗しません。ご期待下さい。


「ああいう悪魔みたいな男はいい仕事するぞ。」
「…ま、おれも大した違いはないってことだがな。ただ、宇宙への欲望を満足させたいだけの、くだらない生き物なんだ





●雑感
 いよいよ、新章開幕。ハチマキの心の闘いが始まります。

 単なる脇役だったにも関わらず、ハチマキ、タナベ、フィーと並んで、メインキャラに昇格し、しまいには「プラネテス」原作の裏主人公に大出世を果たすロックスミスがついに登場。原作に比べるとややおっさん臭くなってる気がするのだけど(なんかパトレイバー後藤隊長みたいだ)、それは脚本を書いてる大河内さんの印象なんだろうな。


 アニメではいまひとつ彼の扱いがよろしくないので、ロックスミスメインの番外編を作ってほしいところ。