虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

大谷氏の世代とオタク


対話も感情もない「萌え」のむなしさ
http://homepage2.nifty.com/otani-office/nikkan/n041123.html

 波紋を呼んでるなあ、大谷昭宏氏。


 俺はこの文章、読む限りではあまり感情は害されなかった。ロジック展開が恐ろしく稚拙であったことは確かだが、いわんとすることは分かる。要は、大谷氏は、今回の犯人のサディスティックな欲望の方向性が理解できないということだろう。
 例えば少女をなぶりたい、とかいうのではなく、殺してから傷つける、という小心さと、写真を撮って両親に送りつける、という非情な残酷さ。大谷氏の世代に感覚では決して同居しない二点が同居している心の有り様は、萌えオタのメインとなる若い世代の犯罪だと推測し、フィギュア萌えなどの現象と事件を重ね合わせたのだろう。
 はっきり言えば、犯人の違和感とオタクへの違和感が、たまたま大谷氏の中で符号したわけだ。


 よくよく読めば、関連づけなどしてない。ただ、犯人の心性の例えとして、萌えやフィギュアを例に出しているに過ぎない。
 でなければ、

> もちろんまだ犯人像が絞れないいまの段階で、今度の事件の犯人を直接、この萌え現象と結びつけることはできない。


などと断りはしない。この断り文以降は、完全に犯人の心の有り様の特異さと氏が感じた違和感を、大谷氏流に表現しているのであって、決してオタクを揶揄しているのではないだろう。


 俺は大谷昭宏氏自身は結構好きなジャーナリストで、この人はそんな短絡的な差別思考はしないはずだと思うが、ただ、世代差による認識の違いはいかんともしがたい。
 今回の文章は同世代に向けた文章だったと思うし、「オタク」が自分の記事など読まないだろう、という油断があったのだろう。この一読して「オタク」が犯人だと「読めてしまう」文章を書いてしまったことは、大谷氏の完全な落ち度だが、決して差別的ニュアンスは感じなかった。
 オタクがこの程度の文章で過剰反応する方が、差別を助長しそうだがなあ。


関連:大谷氏への質問状
http://haguruma.2log.net/archives/blog20041125.html


具体的にどのようなマンガ・アニメ・ゲームをごらんになったり、フィギュアを買われたりして、どの程度の期間それらの趣味の世界に触れられたのか、ぜひお聞かせください。あれだけはっきりと言い切られる以上は、少なくとも数年来のキャリアがあるとお見受けいたしますので。

 こういう世間に受け入れられないような皮肉を質問状に入れるから、差別されるんだと思う。返事もらいたきゃ、(例えどんな相手だろうと)きちんと一定の敬意を持って書くべき。自分の読者層に媚びた文書いても意味ない。