虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

今週のプラネテス-ΠΛΑΝΗΤΕΣ- PHASE.15「彼女の場合」

http://www.planet-es.net/
http://www3.nhk.or.jp/anime/planetes/


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●あらすじ(公式ページより)
 デブリ課で事務をやっている派遣社員のエーデルについては、デブリ課の面々も詳しくは知らない。彼女が私生活のことを一切話さないので謎に包まれているのだ。ある日ISPV−7内に二人で出かけたハチマキとタナベは、おかしな男と出会う。その男はある女性を待っているというのだが、そこに現れたのはエーデルだった。


●メモ

 3週間ぶりのおまっとさんでした(愛川欽也調)。いや待ってたのは俺だが。

 インターミッション。エーデルの過去話&ISPV-7デート案内。



「どういう心境の変化?入社以来、ずっと来なかったのに。」

 健康診断にデブリ課全員で参加。ハチマキは初めて受ける気になったことをフィーから揶揄される。
 デートが近いからか、タナベになんか言われたか、自分の体が気になったのか。どちらにしろ、タナベとの関係の変化で守りに入り始めているハチマキ。



「取引場所はこのセブンだ。昨日三人組が上がってきてる。」「ったく、次から次へと宇宙に来て」「連合法が適用されるこのセブンじゃ、捕らえられても刑が軽いからな。」

 そういう問題なんだろか。しかし、軌道保安庁って警察業務も兼ねてるのか。ちょっと手広すぎる気もするが。ちゃんとした警察機構がないことも、テロリストや犯罪者がやってくる一因かもしれない。


おやっさん!」

 ギガルト先生、ついに倒れる。この台詞はハキムの同僚の台詞だけど、ちょっと刑事ドラマ入ってる。



「あ、すいません。私がペットとして飼いますから。」

 第三事業部のニンくん(妊娠男)からの頂き物・ナマコ。
 原作では第2巻のおまけ4コマで登場したタナベのペットだったが、前回の話はナマコ秘話だったんだろうか。


木星計画のパンフレット。フォン・ブラウン号の乗組員。社内公募するらしいから。」
「ハチはどうする?面白そうだよ。」「俺か?俺は…無理無理。どうせ管制課か航宙課で決まりだろ。ハン課じゃ門前払いさ。」


 夢に向かってまっすぐに向かうチェンシン。
 健康診断といい、無意識に人生守りに入っているハチマキは宇宙船獲得の夢すら一蹴する。無意識に「ハン課」と自虐してるし。ま、社内公募ならハチマキの言う通りだろうけど…。




 で、デート当日。




「ホシノ…」「知り合い?」「ああ。作戦変更だ。」


 ハキムはお仕事で同じ場所にいて、ハチマキを発見。
 どうでもいいけど、知り合いばかりの狭いセブンでアベックを装ったおとり捜査ってのも、かなり間抜けだと思う。今週の軌道保安庁は突っ込みどころ多すぎ。




「権利を主張しようとはおもわないさ。一度寝たくらいで。」
「ささやかな復讐さ…。それくらい許されるだろ。」

 で、デート中にいきなりチェンシンに遭う二人。はええ。で、チェンシン流のブラックジョーク。モテる男はフラれてもさわやかに。チェンシンが了解したことで、ラブコメ編は一応の決着を見る。



「いいよいいよ。出勤扱いにしとくから。いつもよくやってくれてるし。どうせみんな休みだしさ。エーちゃんもそんな堅苦しく考えないでさ。月末までに帳尻あわせておいてくれたらいいから。ね?」


 メールをもらって、午後から休みを取らせてほしい、というエーデルに対するフィリップ課長補佐の台詞。リーダーシップには欠ける課長だが、この鷹揚さがこの人の人徳かもしれない。
 あと、さりげなくユーリが有休取ってます。この辺にもユーリの変化がみてとれる。



「馬鹿ね。セブンにはセブンのデートの仕方があるのよ。」「リュシー、ここって」「うん。セブン唯一の宿泊施設『ホテル・スピカ』よ。」「ホテルゥ!?」


 リュシー先生のデート講座。宇宙ステーションのホテルは総合娯楽施設も兼ねてるようで。しかし、デートのためにホテル直行ってのもやっぱアレだなあ、とは思う。もうちょい潤いのあるデートなら月か地球で、ってことか。



「こちらは新規参入企業のリストです。」「一応頂いておきましょうかね。どうせ発展途上国の企業ばかりでしょう。発注はありえませんね。」


 クレアは仕事で「ホテルスピカ」に。木星計画の関係者らしい。さりげなくエルタニカ関連も入れたであろう彼女のリストも、可能性は低いと暗に言われる。
 ヘコむ彼女がホテルスピカで見たのは、ホテルに入ろうとするハチマキ&タナベ。



「タナベに告白してオッケーもらったわけだし、キスもしたし、大人なんだし。あ…ありだよな普通。礼儀としても」


 どーでもいいけど、ハチマキは恋愛経験者なのに、なんで思考がこんなにヘタレなのか。クレアと付き合ってた時は、彼女が完全な主導権を持ってたとしか思えん。


「ちょいと訳ありで」「どんなわけだよ」「話すと長くなるんだが、一言で言えば愛、かな。」


 二人きりのはずの部屋にいた謎の男。訳ありのくせにふざけてますね。思わず蹴り入れてますが。
 愛って言葉で好意的反応を示すタナベにも。


<初登場キャラ>
サーシャ(本名:サーシャ・ヒダック。エーデルの元夫。)設定資料



「おい!あれ、軌道保安庁じゃないか!?」


 オープンカフェで、イジけモードに突入したクレア嬢の前には軌道保安庁の追ってる容疑者が…

 って犯人に気付かれてるよ!今週の軌道保安庁、手際悪すぎ。でもそのおかげで、再会するクレアとハキム。



「5年じゃないわ。4年と8ヶ月ぶりよ。ずっと数えてた。あんたと別れて5年経つのをね。」

 ホテルの部屋にやってきたエーデル。彼女の言う5年とは


「5年間別居が続けば、相手の同意なしに離婚出来る。」

http://www.lighthouse-lo.com/manuals/rikon_case5.htm


 そして、現在の民法では「5年間の別居」という離婚理由は定められていません。(ただし、民法を改正して「夫婦が5年以上継続して婚姻の本旨に反する別居をしているとき」という離婚原因を新たに加えることも検討されていますので、この改正が国会で決まれば、5年の別居が独立の離婚理由として認められることになります。が、反対論も根強いため、近い将来に改正されるのは難しいと思われます。)

というわけで、現在ではまだ「別居5年で離婚成立」という改正はされてないようですが、2070年代の連合の民法では改正されてるのかもしれません。


「酷い客ばかり取らされたわ。手錠に首輪。電気ショック。体中にピアスまでされて。私が拒むと暴力を振るった。」

 ザ・ハードコアな世界。
 現代では、むしろこちらの方が離婚成立の理由になると思われる。

http://www.lighthouse-lo.com/manuals/rikon_case3.htm


 その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。

 今まで挙げた4つの原因に当てはまらなくても、夫婦としての生活を送っていくことができないような理由がある(これを夫婦関係の破綻といいます)と認められるときには離婚が認められます。
 したがって、その夫婦のあり方によって、具体的なケースごとに判断するしかないのですが、裁判でよく問題となるものをいくつか挙げて見ましょう。

【1】 暴力
 昔は夫の多少の暴力は取り上げないような傾向にありましたが、最近は警察も暴行、傷害罪として捜査、起訴するようになってきましたし、もちろん離婚原因にもなります。

【2】 浪費
 パチンコ、競輪などのギャンブルを、生活費に食い込むほどしたり、高価な衣服や宝石などを買いまくるなどをして、普通の生活が送れないような状況になった場合です。

【3】 怠惰
 なまけ者で働く気もなく、実際にもほとんど働かないような場合です。不況で失業し、職を探しているが就職先がなくて働きたくても働けないような場合にはあてはまりません。

 がっつり3つも該当してますよ。
 ただ、これも弁護士をつけなければいけなさそうだし、金のない彼女には出来ない相談だったのかも。彼女の選択は最良だったかもしれない。



「親もない金もない学もない。そんな俺たちが生きていくには仕方なかったんだよ。」


 こんな言葉にすら、当時の彼女は懐柔されていたのだろう。学がないって恐い。


「わたし、馬鹿だったけど、一生懸命勉強してるの。今は派遣だけど、絶対、必ず正社員になってみせる!」


 かつての生き地獄から逃げ延びた彼女。ささやかではあるが、価値ある居場所を求める。そんな彼女の切実な叫びは泣ける。



●雑感

 このシリーズには珍しくツッコミどころの多い話ではあったが、拾うべき伏線が多い今週。
 エーデルのハードコア人生は、かつてない生々しさですが。元夫など、シリーズ屈指のクズっぷり。