虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

今週のプラネテス-ΠΛΑΝΗΤΕΣ- PHASE.12「ささやかなる願いを」

http://www.planet-es.net/
http://www3.nhk.or.jp/anime/planetes/


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●あらすじ(公式ページより)
宇宙防衛戦線のテロが月面都市で発生。宇宙防衛戦線は宇宙開発に反対し、いたる所でテロを起こしている組織であった。そんな折、メンテナンスを終えたToyBoxでデブリ回収に出たフィー達は、そこで宇宙防衛戦線のミサイルを発見。その時、同時に世界に放送されるテロ宣言。ミサイルの向かう先はISPV-7。メンテナンス中のISPV-7には防ぐ手段が無かった…。


●メモ

・原作エピソード

プラネテス(1) (モーニング KC)プラネテス (1)」PHASE.3「ささやかなる一服を星あかりのもとで」より。

俺の、原作で一番好きなエピソードだったりする。フィー姐さん、素敵すぎ。


「タバコ吸ってくる」
「4日も吸ってないし、会計は係長補佐の仕事だろ?まっかせるよー。」

今週はどういう話かと一口に言えば、フィー姐さんがタバコにありつくまでの話。


「宇宙防衛戦線とかいう…。アンタ、タバコ吸うの?気をつけなよ。奴ら、喫煙室に爆弾仕掛けるのが十八番だから。」
「宇宙防衛戦線?」「人類は宇宙に出るべきではなかった、って言ってる連中だよ。」「そんなこといっても、もう出ちゃったのに。」「だから、宇宙にでたものを全部こわしちまおう、てんだろう?」

テロ組織『宇宙防衛戦線』の活動、本格化。概要はハチマキの説明通り。



「デートじゃないでしょうか。」

タナベの休暇の理由を問われたエーデルの推測。ラブコメも進行中。


「星野さん、突然だけど少しお時間いただけますか?」「え、お…俺に?」「はい(ニッコリ)「!…まあ、ちょっとくらいなら。」

見事なもてない男の反応つД`)。モデルケースと言えよう。わかる…(←駄目)。


「突然で驚いたと思いますけど、つき合ってる人いないんでしょう?結婚してなんて言わないわ。星野さんの彼女にしてくれるだけでいいの。お願い星野さん。」


リュシーの懇願(タナベを彼女にしろという)。これだけ聞けば確かにタナベの誤解も無理はない。つーか他に言い方はないのか、とは思う。


「私はチェンシンさんが好きなの。だから、タナベとチェンシンさんがつき合うと困るの。わかる?」


この自分の目的にストレートな物言い。素敵すぎる。


「別にそれだけで言ってる訳じゃないわよ。いい?タナベはね、星野さんが好きなの。口には出さないけどあたし、そういうのは鋭いんだから。こういうときはね、男の子の方から気付いてあげなくちゃ。女の子に言わせるなんてサイッテーだからね!わかってる!?」

媚び売る時は売り、強く出るときは強く出る。ハチマキに対して、なだめたり脅したりして見事に懐柔。この女、ただものでない。この一連の場面で彼女は女を上げたと言えよう。…結果はともかく。


「とっととガキでも作って地球に帰りやがれええ!」


一方、デブリ課のふたりは低次元のあてつけと痴話げんかに終始。ハチマキは基本的に、同じ嫌みを繰り返す性質(たち)らしい。コーラを投げつけて、フィーのスモーカーズシート、破損。全治3日。フィー姐さん、タバコ吸えず。


そして『宇宙防衛戦線』始動。


●『宇宙防衛戦線』アジテーション骨子。

「宇宙空間に権益を持つ諸君。このメッセージは君たちひとりひとりに送るものだ。声明にあった通り月での一連の爆破は警告に過ぎない。」
「二十世紀末、石油資源が有限だと気付いた人類は新しいエネルギーを求めての試行錯誤と奪い合いに明け暮れた。太陽光発電 天然ガス、ウラン、海底メタンハイドレート

 そして月だ
人類は月のヘリウム3を手に入れて問題は解決したかに見えた。実際、今や世界の電力需要の70%以上がヘリウム3によってまかなわれている。だがどうだ。実態は石油からヘリウム3に移っただけのことだ。文明の発達と引き替えに有限なエネルギーを食い荒らす。人類の性質に何ら変わりはなかった。人類は前世紀の過ちに何も学ばなかったのだ。
我々『宇宙防衛戦線』は声なき星々の代弁者だ。覚悟せよ!今日こそは人類が宇宙空間から撤退する記念日となるだろう!」


「この軌道は…!?」「セブンに向かってる!?」

偶然見つけたデブリと思われた無人衛星は生きており、アジテーションを放映したあと、宇宙ステーションISPV-7(セブン)に向かう。


「ステーション内の酸素分圧はレベル・レッドです。この状態でデブリが衝突すれば、セブンは衝撃で以下、爆散します…!」

序盤のステーション軌道の保安会議で、建設中のISPV-9に自衛用ミサイル兵器を回し、そして環境メンテナンスを行うことを決定しており、テロリストはそのスキをついたわけだが、なぜ、それを知ることが出来たのか。それはおいおい明らかになる。


「そうか…やつらの狙いはケスラー・シンドロームだ」
デブリデブリを作っちまうことだよ。デブリと衝突した人工天体はどっかこわれちまうだろ。するとその破片がまた別のものにぶつかってどんどん増えていくんだ。たった一つのデブリが数億のデブリを生むことだってある。」「じゃあ、セブンみたいな大きなものがブレーークアップしたら」「地球はデブリに包まれて、宇宙と完全に断絶する。」


「宇宙のゴミ問題―スペース・デブリ」(八坂哲雄・著 裳華房)

デブリ問題、及びケスラー・シンドロームについてはこちらに詳しい。


テロリストの誤算は…10日以上タバコを吸っていないヘビー・スモーカーを敵に回したこと。


「これ以上…私の邪魔をすると…キレちゃうぞ


●雑感。

原作一の馬鹿話のアニメ化。


原作のフィーは「怒ると黙る」という設定で、アニメのフィーは「怒ると絶叫する」設定という違いがある。アニメのフィーは小爆発を繰り返しながら、大爆発するので必要以上に過剰なキャラになってる気がする。
本来ならば、喫煙狂想曲として料理されるべき話で、コメディとしては原作の出来には遠く及ばないんだけれども、ラブコメと、ISPV-7管制センターの混乱ぶりの描写の迫力で、シリアスに押し切った感じがある。さすが『ガンダム』のサンライズと言えようか。