「ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団」
原題:Harry Potter and the Order of the Phenix
監督:デビッド・イェーツ
脚本:マイケル・ゴールデンバーグ
前作で、いよいよ闇の帝王・ヴォルデモートの復活が明らかになった。だが、魔法省はそれを公式に認めようとはせず、魔法省にメディア操作されているマスコミも彼の復活説をオカルトのように扱うのだった。
そして、ホグワーツのゆとり教育を見直す、という教育改革の旗印の下、魔法省から「闇の魔術に対する防衛術」教授として派遣されてきた女性官僚・ドローレスが、ホグワーツをガチガチの管理教育に変えていく。授業は実践よりもペーパーテストの成績が主であり、実践なき「闇の魔術に対する防衛術」の授業に、ハーマイオニーすら反発する。
で、オカルト扱いされているけれども、復活したヴォルデモート対策に、実践的な闇の魔術に対する防衛術を他の生徒にも覚えさせようと、ハリー、ハーマイオニー、ロンの3人は、ハリーの説を信じる生徒を集めて「ダンブルドア騎士団」を結成する。
ああっ。すごい。
いやあ、なんか映画ファンの間では微妙な評価が多いんだけど、俺は楽しかったんですよ。
第1、2作の優等生な雰囲気から一転、第3作で一気に気だるくなりながらも心の鬱屈をぎゅんぎゅん感じさせ、第4作では青春イベント目白押しの中でヒーローになっていくなど、ここ最近のハリーくんの学生ライフはいい意味で予測がつかないのだが、今回はなんと・・・
弱小部活ものである。
うへへへへ。まさか、まさか。魔法界のメジャースポーツでエース級の男で、学園の有名人である男子が主人公である「ハリー・ポッター」シリーズで、こんな素敵なマイナー部活ものが見られるなんて。相変わらず、予測不可能なシリーズだぜ。
親父の世代から続く伝統的な部活なのに、生徒会闇の帝王から弾圧され続けてきて、いまだマイナー部。そしてOBも学校のいざこざにガンガン介入したり、校長先生が協力的だったり、ドローレスが生徒会長化*1(フィルチが鰯水化)したりと、どう見ても騎士団は見事な光画部@「究極超人あ〜る」です。
しかも、新キャラには、なんと不思議系ヒロインもいるでよ。「おかしなラブグッド」ことルーナ・ラブグッドたん。他人には見えないものが見えるのと、言動が変わっているので変人扱いされていて、だけど、同じものが見えるハリーとは妙にウマがあい、仲良くなるという、どう見てもオタクにはたまらん見事な萌えキャラです。本当にありがとうございました。
などという、オタク語りはこの辺にして。今回の「ハリポタ」は管理を強めていく学校と、それに反発する生徒の団結を描いていて、面白い。CMで「魔法戦争、勃発」*2とか嘘つくからみんながっかりしてるけど、これ、学園闘争ものとしては、けっこうオーソドックスに面白いと思う。
恋愛と文化まで手を入れるほどに管理体制を強化すると、かえって反攻勢力が一枚岩になる、というのも真理ではあると思う。
というわけで、俺はこの「ハリー」、大好きなんですけど。
ただ、魔法界の内ゲバはともかくも、肝心のヴォルデモートがなあ。こうして見ると、基本的には搦め手を攻めるのが好きなんだなあ、という感じがする。彼の復活=一気にカオス化、という感じだと思っていたが、意外にちんたらしているので、もともと、じっくりやるのが好きなのか、彼への恐怖を煽るわりに、彼自身の進展はさしてなかったりする。
最後の最後に、ようやく重い腰を上げて、シリウスを捕獲してハリーをおびき寄せるわけだけど、通してみると、意外と悠長なひとだなあ、と思う。(★★★★)