虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「シャーロットのおくりもの」

toshi202006-12-27

原題:Charlotte's Web
監督:ゲイリー・ウィニック


 このタイトルを初めて知ったとき、おれ、原作について全然知らないもんだから、最初シャーロットってダコタ・ファニング(以下、ダコたん)の名前かとずっと思ってて。でも考えてみたら彼女は「おくりもの」をもらう側なんだとしたら、そうか、ポスターで彼女の前に座ってるあのベイブくんか、みたいに思っていたんですが。予告編見たら、それも外れてて、
 なんとシャーロットというのは、メスの蜘蛛なんですな。虫かよ。虫なんですよ。奥さん。しかも声を演じるのがジュリア・ロバーツときたもんだ。世界一高価な蜘蛛。それがシャーロット。


 というわけで、ダコたん演じる少女は、虚弱児で殺されそうになってたブタくんが納屋に匿われるきっかけとなる存在として登場するんですけど、基本的に主役はブタくんと蜘蛛なんですな。家畜の分際で、と思わなくもないですが、その辺はもう作る側も完全におとぎ話と割り切っていて、ブタがしゃべれば、蜘蛛も喋る。ブタくんが友達なくて哀しいよー、と泣いていると、ある日蜘蛛がお友達になるわと現れて、食用肉になりたくないよーとブタが泣けば、蜘蛛がブタのために行動を起こす。
 文章にすると「なんだそりゃ」という感じなんですけど、映画としてみるとそれほど違和感はない。まあ、「トイ・ストーリー」だって無機物がしゃべっとるんじゃ、有機物が話して何が悪いみたいなもんですが。家畜たちやそこに居着いているネズミなどののキャラクターもきちんと個性づけされているし、食用家畜の現実の厳しさが物語の裏に潜んでいるので、物語にもおとぎ話なりの緊迫感を持たせていて、意外に引きつけられる。


 物語は一つの必然的な出来事を迎えつつ、人々の心にちょっとした勇気を与えて終わりに近づく。見れなかったかもしれぬ雪を見る、春生まれのブタくんを見て、おもわずジーンとしたりする俺。
 やがて、物語が収束していく頃には、ダコたんは物語からフェードアウトしていくのだけれども、それはきっと、シャーロットが与えた勇気故に、納屋の世界から離れていったのではないだろうか。
 そう考えると、「シャーロットのおくりもの」という邦題、なかなか趣深いではないか。などと、見終わってひざを打ったりしたのである。(★★★)