虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「プラダを着た悪魔」

toshi202006-11-19

原題:The Devil Wears Prada
監督:デビッド・フランケル


 正直なところ前評判の高さに、「トゥモロー・ワールド」より期待していたんだけれども(SFよりコメディが好きなんで)。アン・ハサウェイのコメディエンヌぶりがいまひとつなために、実質、メリル・ストリープ様(とスタンリー・トゥッチ)を愛でる映画になってしまっている。とにかく、メリル・ストリープの存在感が圧巻。もう上手いね。比べるとよくわかるもん。生まれついての女優としての「ポテンシャル」の差が。アン・ハサウエイは一生かかってもこのおばさんには勝てない、って。相手が悪すぎた。


 いじわるな上司に難題ばっかりふっかけられて悩まされるという話、として宣伝されてるけれども、その話としてはいまひとつ面白みに欠けた。だって、ヒロイン、なんとかしちゃうんだもん。なんとか出来るうちは、難題とはいわねえ。それに、難題をふっかけるスケールで言えば、日本の芸能界の方が面白い人間いっぱいいそうだし。
 むしろ、「アタシ優秀すぎて、自分を見失っちゃったー」、というのがこの物語の本質なわけだけど、そうなると正直、あの世界の内幕を見る分には興味あっても、その良さはわかろうとは思わないもんだから、共感はしにくかったなあ。


 というわけで、俺の中ではわりと凡作の部類。ファッション業界に興味のある方には面白い映画じゃないですかね。メリル・ストリープ様の素晴らしい演技+それを引き立てた演出・シナリオに免じて★3つ。特にすっぴん時の演技にぐわっと引き込まされる辺りは、さすが。むしろ女優は、すっぴんになった時に真価が問われるのよ、ということだろう。いくら服装の着こなしが上手くなろうと、メリル・ストリープがすっぴんになった時点で、アン・ハサウェイの負けは確定的だったのだ。(★★★)