虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

★★★ 真・映画感想倉庫 「華氏911」感想アップ


 自分なりのマイケル・ムーアの分析、この作品に対する多くの批判に対するテーゼ、そしてこの作品の本質を自分なりに考察して文章に込めたつもりです。俺はこの日記においてなるべく「華氏911」に関する論争に対してコメントすることなく静観してきましたが、自分なりに作品をかみ砕き、マイケル・ムーアその人を見極めたかった思いがあります。


 この映画の彼は「ボウリング・フォー・コロンバイン」のような無邪気さがありません。ですが、考えてみればそれも当然です。あまりにもあまりにも、アメリカという国の状況が切迫しているからです。彼はアメリカの政府とメディアを信じたいのだと思う。だけど、彼の感じた幻滅はあまりにも深い。彼はもともとアメリカ人なので、ビン・ラディンへの描き方が断定的ですが、そうでもしないとどうしようもなかったのでしょう。この映画には静かなる怒りが充ち満ちています。


 「華氏911」はある意味ではとても安っぽい映画です。ですがそこに意味がある。マイケル・ムーアという監督はしたたかで、そして真っ当だった。それをこの目で確認できたことは、非常に意味があったと思います。



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