虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

今週のプラネテス-ΠΛΑΝΗΤΕΣ- PHASE.3「帰還軌道」

http://www.planet-es.net/
http://www3.nhk.or.jp/anime/planetes/


●あらすじ(公式ページより)
 宇宙業務でのいざという時の為に遺書を書くことになったタナベ。ハチマキの遺書を参考にしようとするが、そのどうしようもない内容にガックリ。自分が死んだ時、いったい何を残せばいいのだろうか?その時、50年前に宇宙葬にされた、宇宙飛行士の棺桶がToyBoxに回収される。再び宇宙に戻そうとするクルー達。それに対して、タナベはとんでもない行動に出てしまう。


●メモ。
・初めての原作エピソード

プラネテス(2) (モーニング KC)プラネテス (2)」PHASE.7「タナベ」より。


・生命保険と遺書。

「この仕事はいつ死ぬかわかんねーかんな。」「実際こないだも死にかけたしね」


 …というわけで、宇宙でガテン仕事する人々には避けては通れない2アイテム。このアニメなどでは事故の描写はあまりないけど、実際他の職場ではいろいろ事故が起こっているのかも。


・巨乳パツキン保険勧誘員

 勧誘されたい。しかしなんか嫁き遅れそうな職業だけど。


「私は男女の友情って信じないタイプだから。」


 リュシー嬢のお言葉。彼女の友情へのドライな思考は、ハチマキとタナベの関係を「愛」と指摘。
 彼女の洗脳がハチマキとタナベの関係を変えていく、のかも。


・大切な人に何を残すのか。


「愛です」


 タナベ、確信を持って断言。タナベの根拠のない「愛」信仰はここから始まった。
 原作では初登場でいきなりこうで、しかも彼女の言い分を肯定的に描いていて、逆にインパクトあったのですが、アニメでは「ちょっとアレな娘」扱いになってるのが面白い。


「実際恐いぜ、あの女。」


 このハチマキのコメントに激しく同意。実際このアニメでは一歩引いた扱いになってる。



「でもさ、なーんか違うんだよな。金とか言葉とかさ、残したいものってそーじゃねーんだよ」


 モヤモヤとした何か。それを探すシリーズと言えるかも。


宇宙葬
「航宙士イブン・ファドラン 遺言により無限の海に船出する 2024年」

http://www.if-u.co.jp/grave/uchuso01.html


 現在行われている宇宙葬は遺灰の一部を打ち上げるもので、遺体を打ち上げるには低軌道より遙かかなた
に打ち上げるしかない。(でないと「デブリ」扱いされる)

 この世界では2028年に廃止されたらしい。


デブリって…遺体ですよ!?」「宇宙に浮かんでる不必要な物体はデブリに決まってるだろ」


 こういう扱いになるから、宇宙葬は廃止されたのだろうな。

●クライマックス考察。


「それはファドランさんが強く願ったからです!地球に戻りたい、家族の元に行きたいって!奇跡が起こるほど強く願ったからです!」


 これは原作にはない台詞。


「いい宇宙船員の条件ってなんなんスカ?」

「必ず 生きて帰ってくることよ」

(原作第2巻 phase.11「СПАСИБО」より)



 アニメ制作者と原作者が、このエピソードで感覚が重なる部分があるとするならば、「いい宇宙飛行士は生きて帰ってくる宇宙飛行士」という点ではないか。


 
・クローズアップされる写真。愛という呪縛。

 作り手側は実際はタナベの言ってることに関してはかなり冷めている。原作者とアニメ制作側の、タナベの言う「愛」に対する認識に温度差が感じられるのは、原作にはない「写真」の演出を入れることに顕著だ。


 浮世離れしたタナベの「愛の説教」に説得力を与えるのは、この「写真」だった。それが「思い」を証明
する「物証」として提示されたからこそ、娘さんは遺体を引き取る決心に至る。
 大切な人に本当に残すべきは、口先だけの「愛」でも、お金でもなく、「思い」…なのかもしれない。


 ただ、彼女の言う「愛」に、好意的に反応するのがユーリ、というのがまた巧い。彼もまた、「愛」に囚われ、前に進めない人なのかもしれない。


●雑感

 初の原作エピソード。原作ではハチマキ覚醒後のエピソードなので、クライマックスは結構脚色されている。原作でのタナベは、前進を始めたハチマキに後ろを振り向かせる役回りだったのだけれど、アニメ版では覚醒前なので、そういう役割は振れない。
 このエピを第3話に持ってきたのが良かったのか悪かったのかはわからないが、彼女の今後のキャラクターを決定づけるエピソードには違いない。