虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「007/カジノ・ロワイヤル」

toshi202006-12-03

原題:Casino Royale
監督:マーティン・キャンベル 脚本:ポール・ハギス/ロバート・ウェイド/ニール・パービス 原作:イアン・フレミング
公式サイト:http://www.sonypictures.jp/movies/casinoroyale/


 いやあ、楽しかった。正直007って、どこかルーティンな感じがして、熱心に見ようと言う気になれないシリーズだったんだけど、これは楽しかった。いや、ダニエル・クレイグ主演っていう時点で、ある意味期待通りか。


 だって今回のジェームス・ボンド・・・こいつ基本ヤクザですよ!チンピラチンピラ!紳士服着たチンピラですよ。相手が弱者じゃなくて犯罪者ってだけで。殺しの番号を手に入れるための最初の殺しが、トイレでボコボコにした末に、水を溜めた洗面槽に顔突っ込ませて溺死させる、という、超泥臭い殺し方するし、基本的にイキがってるチンピラですよ。Mの家を探り当てて、「俺ってどうよ」と力を見せびらかすガキっぷりも披露して、Mをあきれさせる、というくらいの男ですよ。
 敵は敵で資金繰りに困ってカジノで巻き返そうとしていう裏組織の金を運用するファンドマネージャー、という小悪党で、そいつを如何にして東京湾の魚のエサにするか、という話でさ。MI6、そして某組織まで巻き込んだカジノ対決、という。ほとんど「追い込み」ですよ。「フロに沈めろ」とかそんな感じですよ。
 そんでもって相手の弱点を知って、調子に乗って全賭けしたら全部取られちゃって、経理の女性(ヒロイン)に「今度は勝つから金よこせ」って言ってあきれられる、ってほとんどギャンブル狂いと変わらない。


 そんな性格なんですが、アクション能力は歴代でもピカイチに高く、ヤマカシみたいに逃げ回る男もキッチリ追いつめる身体能力を見せる。さらにはトラック内でガチで殴り合いをして勝ったり、いちいちやることが泥臭い。
 男気も満載で、カジノで追いつめられた敵に捕らえられて金的責めという拷問される場面でも、「うははははは、かゆいかゆいわああああ!」(意訳)と、お前は「男塾」の塾生か、という感じで挑発する様は、なかなか豪快で良かったです。
 もうヒロインに惚れると周りが見えなくなる、という点も、初恋を最後まで貫くヤンキーみたいでとてもかっこいいです。というか、まさか、愛に生きるために、さっさと辞表出しちゃうとは思わなかったですよ。しかもメール一本で。お手軽なバックレぶりに爆笑でしたよ。


 というわけで、とても洗練からはほど遠いころのジェームス・ボンド、という設定が大変人間くさくて、とても共感しましたね。はじめてオーダーメイドの服着て、うれしさのあまり鏡の前でかっこつけてみたりとか、もうこの仕事が楽しくって仕方がない、って感じがね、たまらんです。
 俺、このジェームス・ボンドなら愛せそうな気がします。これからも、秘密道具を楽しそうにいじり倒して欲しいですね。頑張れダニエル・クレイグ。俺は断固支持します。(★★★★)