虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「妖怪大戦争」

toshi202005-08-18



公式ページ


 両親の離婚で鳥取に引っ越した少年・タダシ。村の祭りで、「世界に平和をもたらす正義の味方」である麒麟送子に選ばれた彼は、妖怪の姿が見えるようになってしまう。同じ頃、魔神・加藤保憲は人間への怨みから、捕獲してきた日本古来の妖怪と怨霊を混ぜ合わせ、新種の悪霊“機怪”を作り出し、世界壊滅を目論んでいた。タダシは伝説の剣を手に入れようと大天狗の山へ向かったが、そこで加藤の陰謀に巻き込まれる。タダシは加藤の企みを止めることができるのか!?

 …というのが大筋の話。


 前半こそ、少年のひと夏の冒険譚、って感じの導入なんだけど、加藤の陰謀をタダシが知る中盤以降、出るわ出るわの妖怪大集結。「荒俣×水木」with大沢オフィスという、ものすごいブレーンたちをバックにつけて送り出す妖怪達は、質量ともに大充実。それらをウェット感過剰な「汁監督」三池崇史がぬらぬらに撮り上げるもんだから、ドライな水木妖怪もかつてないエロティシズムを醸しだすという奇跡的連鎖。まさしく夢のスタッフによる、理想的なコラボレーション。あーもう、川姫やろくろ首の、異様なエロさは反則ですぜ。そして神木くんの持つ被虐的資質と、その期待を裏切らないそそるリアクション&サービスシーンも素晴らしい。お子さまはもちろん、いい大人やご婦人にもきっちりご満足いただけること請け合いであります。エロス方面で。

 中盤以降、ジュブナイルとしてはいささかブレが生じ、なんか加藤×アギ×川姫の痴話ばなし(?)に移行していってる気がするのだけれど、時折混じる脱力ギャグと水木イズムが浸透した妖怪群のおかげで変に生臭くならないのもいい感じだ。日本人の、おおらかで好奇心旺盛でイベント大好きな国民性に即した妖怪たちの行動原理は実に明快で、その性質が祭典的クライマックスを生むあたりが、この映画の白眉と言えようか。つーか、日本中の120万匹の妖怪全員に1日かそこらで噂が伝わる、創●学会も真っ青の連絡ネットワークはどういう仕組みなんだ。凄いぜ妖怪。
 そして、加藤の陰謀を阻む「オチ」は大爆笑。あんじゃあそりゃあ。相変わらず三池監督は、こういう強引にはたき込むようなオチを演出するの巧いよな。


 話は大味、されど不思議と満足。妖怪たちによるひと夏の馬鹿騒ぎを大真面目に描き出した、水木イズム伝承映画でありました。いやあ、妖怪っていいものですね。(★★★)