虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「アイアンマン2」

toshi202010-06-17

原題: Iron Man 2
監督: ジョン・ファブロー
脚本: ジャスティン・セロー


 前作で、軍需産業社長がテロリストに襲われて、武器を作れ、と言われて自分専用スーツでテロリストをぼっこぼこにしたのを皮切りに、かっちょいいスーツを作って米軍の代わりに一人で紛争地に乗り込んで、ソレスタルビーイングしちゃった挙げ句、世界に向けて「俺がガンダムだ」・・・じゃないや「俺がアイアンマンだ」宣言しちゃった。その社長「トニー・スターク」のその後を追いかける情●大陸第2章。


 トニー・スタークの朝は早い。夜は遅い。
 世界に一時的な均衡が訪れ、ピン芸人「米軍ひとり」として活躍するトニー・スタークは持ちキャラのひとつ「鉄人4号」で今日もおおウケ、笑いの祭典「S(スターク)ー1グランプリ」を開催するなど絶好調でしたが、彼があんまり活躍しすぎて、活躍の場を失ったほかの芸人たちが彼の足をひっぱろうと彼専用の「鉄人ギャグ」を「みんなで使えるギャグ」として認めさせようとします。さらに前作で彼を陰日向に支えてきた専属事務所社長(副社長)が反乱を起こした挙げ句失脚してしまい、元々切り回しのうまくなかったトニーは自身の体調悪化も手伝って、マネージャーであった女性・ポッツに経営権を譲り、マネージングから手を引いて芸人稼業に精を出す日々です。
 ところが、モナコでの営業中、なぞのピン芸人「男にしおかすみこ」が乱入。一発ギャグ「おまえのお〜、まけだよぉオオオ!」を連呼しながら鞭でしばいてきたからさあ大変。「男にしおかすみこ」の活躍がテレビ中継されるに及び、「米軍ひとり」並に面白いと大評判。結果彼は、ライバル事務所「はま★すた」に引き抜かれ、「米軍ひとり」の一人勝ち状態から陥落してしまいます。なんと乱入したピン芸人「男にしおか」はかつてトニーの父親といっしょにコンビを組んでいた相方の息子・アイヴァンだというじゃありませんか!
 さらに芸人仲間のジェームズが彼のかつての持ちネタ「鉄人2号」をパクり、ライバル事務所から電撃デビュー。「闘う機械」という名の芸をしはじめます。さらに、「男にしおか」も新ギャグを開発!身体に負担の懸かる「鉄人ギャグ」をしつづけたために、トニーは身体も心もぼろぼろ。芸人人生、最大のピンチ!


 その窮地を救ったのは今は亡き伝説のお笑い芸人であった父・ハワードのビデオ映像であった!ゲッツ!


 ・・・いつの間にやら、芸人の話になってましたが、まあ話としてはそんなに間違ってはいないような気がするのが不思議です(そうか?)。まあ、要はアイアンマンのエネルギー源であり、トニー・スタークの心臓代わりでもあるアーク・リアクターが身体に悪影響を引き起こしてヒーロー稼業もけっこう大変、という話です。
 「俺、体調悪いの隠しながらこんなに頑張っているのになんで周りは俺の足を引っ張るんだよー」と自暴自棄になるスタークとか、アーク・リアクターを改良する手立てはあるのか、という部分にかなりの時間を割いているのですが、その分活劇としては停滞してしまう、というのが前作から大きく後退した点で、さらにライバル2人の動きに加え、「アヴェンジャーズ」への伏線にもかなりの時間を割くなど、物語の力点を分散させてしまっているので、結果「活劇としても物語としても散漫」という印象はある。
 物語はトニー(アイアンマン)からのジェームズ(ウォーマシン)の離反、そして紆余曲折を経ての共闘という流れ、そしてアイヴァン(ウィップラッシュ)との対決へと収束していくわけですが、そこに特殊機関S.H.I.E.L.D.の暗躍や、父・ハワードとS.H.I.E.L.Dの因縁など.が絡んでくるなど、必要以上にややこしい話になった感は否めない。
 ウィップラッシュ演じるミッキー・ロークはかなりのはまり役だっただけに、もう少し彼に物語の比重を掛けられたなら男泣き映画としてかなりの出来映えになったかもしれないのに・・・という意味では「もったいない!」と思ってしまった。


 とは言え、にぎやかで楽しい娯楽活劇としてのレベルは相当高い。そういう意味では断然木戸銭を払う価値のある映画であるけれども、第1作で上がってしまったハードルにはやや届かなかった気がしてしまうのであります。(★★★☆)