虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「アイアンマン」

toshi202008-09-30

原題:Iron Man
監督:ジョン・ファブロー
脚本:マーク・ファーガス/ホーク・オストビー/アート・マーカム/マット・ホロウェイ



 変な話である。


 正直に言えばそう思う。面白かったか?面白かったですよ。うん。2回見たし。原作はよう知らないのだけれど、60年代に出来たアメコミにも関わらず、現代的な要素を巧くアレンジしてるなあ、と感じた。うん。まあそれはそれとして。


 この映画、例えるならばですよ。
 有るところに刀作りの名人がいて、山賊に襲われましたと。で、そいつらは略奪で得た彼の作った刀を持ってて、刀匠大ショック。てめえらのために作ったんじゃねーよ、と。
 で、山賊の首領からもっともいい刀を一振り作れと言われた。でも、そいつら許せないし、たぶん作った途端殺されちゃうから、作るフリをして拳銃を作って山賊をおっぱらって逃げ出した。それから刀匠は刀作りをやめて、「すごい拳銃」つくりに没頭。いやあ、銃つくりが楽しくって楽しくって改良しているうちに、機関銃が出来ました。
 さあ山賊狩りのはじまりです。


 ・・・おおまかに言えばこんな話なんであるよ。なんというのかな。割とテケトーな話ではあるんだよな。


 要は、自分の武器がテロリストに使われててショックを受けて、そいつらを狩る道具を作り始めると。戦争を亡くす、というのではなく、他人じゃ信用できないから、自分用の兵器を作って、異国の山賊野郎に介入します。というね。要は「劇団ひとり」ならぬ「米軍ひとり」なんですな。このへんが、アメリカ人の発想。
 そういういい加減な話で、それが最終的に帰結するのが、社長と副社長のゴタゴタという、なんかちっちゃーい話になっちゃう。


 そういう荒唐無稽な話と割り切った上でだ。面白かったですね。なんせ、ロバート・ダウニーJr.が適度に力の抜けた演技で、アテ書きのような変人キャラの主人公を楽しそうに演じているし、アイアンマンスーツ製造過程なんて、最高に楽しい。デアゴスティーニの毎号付いてくるパーツをすべて集めたら完成する、大人の工作みたいなね。そんな感覚で、まさに、仕事と道楽が紙一重になってきてんだよな。
 まさに仕事道楽ならぬ、英雄道楽。初めて空を飛ぶシーンなんて、思わず涙ぐんじゃったもんね。


 彼が普通の社長と違うのは、自分で武器を発明してきたことなんだよな。そして彼が没頭し始めるのが「自分専用の武器」という。しかもスキルに「天才」が入ってますから、もうやりたい放題。彼はあまり信頼できる友達がいない。で、信頼できる友達が、自分が作った機械たちと、幼なじみのみよちゃん、じゃねーや秘書のペッパー・ポッツ、という女性。根が子供だから、大切な彼女との仲はなかなか進展しない・・・というね。


 だから、黒幕であるところの副社長にも一理あるのは、こういう社長の尻ぬぐいを長年してきた、という鬱積があったんだと思うんだな。だから、その辺は社長・トニー・スタークの不徳だろうし、アイアンマンだと名乗ってこの先、会社どうすんだ?という話にはなりそうなんだが(俺が社員なら絶対雇用をめぐって戦う)。
 彼はこの先、どうすんだろう。「戦争」と名の付くすべての紛争に介入する「ソレスタル・ビーイング」みたいなことになるのかもわからんけど、それはまた別の話。ということなのかな、と思う。(★★★★)