「隠し砦の三悪人/THE LAST PRINCESS」
言わずと知れた黒沢監督の同名作のリメイク。
芳しくない評価も聞く映画なのですが、俺はね、割と好きです。
樋口真嗣のフィルモグラフィの中では、一番本人らしさが出た映画ではないかと思うのですよね。ファンタジー色の強い時代劇、という風にしたのも、本人の作家性からすれば、正解だと思う(逆に本格的な時代劇だったらもっと壊滅的になってたと思う)。
大体、脚本を中島かずきが担当しているわけで、脚色部分に関しても、「時代劇=ファンタジー」という感性や、後半に恋愛が絡むのはむしろ中島かずきの作家性でもあるから、これはこれでいいと思ったんだけど。身分を越えた姫と悪童の恋、なんてまさに中島節じゃないですか。
「スター・ウォーズ」や「ロード・オブ・ザ・リング」から意匠を借りているのも、むしろ「こういうのを一度金かけてやってみたかった」という思いが爆発していて、俺は割と好意的なんですけどね。
問題点があるとするならば、アクション演出の部分が監督の理想からするともうひとつ届いてない感じがあるのではないか、と思うんですよね。見ていて「ああ!ここがアニメーションだったら映えるのになあ!」と思うシーンが随所にあって、むしろアニメーションだったなら全然アリな演出の部分が実写に置き換わると途端に、見ているこちら側が「リアリティの部分をさっ引いて」見なければならず、ちょっと苦しい、という部分が散見される。
アニメならノレる部分が実写に置き換わると少々苦しい、というのは、むしろ「マトリックス」シリーズが抱えていた問題と非常に似通っている気がする。本作が一部で不評なのは、この「リアリティを多少さっぴいて見なければついていけない」部分なのではないか、と思うのですよ。俺はそういうの苦にならないんだけど、そこを問題にする人は多いからね。
というわけで、結論としては、是非ともガイナックスあたりに、アニメーションでこの映画をリメイクしてほしい、ということです。<この映画自体がリメイクだっての。(★★★)