虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「バンテージ・ポイント」

toshi202008-03-22

原題:Vantage Point
監督:ピート・トラビス
脚本:バリー・レビ



 複数の視点から、衆人環視の中で行われた大統領暗殺事件を描く「羅生門」というよりは「24」を意識した感の強いB級アクション映画。



 えーと。個人的には、「うん、普通」という感想のまま見終えてみたら、なんか一部で大好評で「ええっ!」と思った作品。核となる「大統領暗殺」自体がかなり荒唐無稽な上、しかもそれを違う視点で繰り返すのも、正直なところ、「小賢しい」としか思えなくてなあ。これがアメリカ国内の話ならば、もう少し鷹揚な気持ちで見られたんだろうが・・・。海外でわざわざ四方に建物に囲まれて「撃ってください」といわんばかりの場所まで誘導してきてる時点で、スペイン政府及びシークレットサービスの怠慢だし、あれがいくら●●●だからって、その後のフォローどうすんだ、ほんと。しかも、一般市民に死人がでてんだぞ。完全な外交上の失態だろ、あれ。スペイン政府は外交上でぎくしゃくするだろうし、下手したらテロリストの出自の国との新たな戦争の幕開けやんけ。しかも全世界に放送されちゃって。あの時点でテロリスト8割方勝ってるって。
 そういうものをすべて置き去りにした上で物語が進行し、犯人が誰か、とか、「犯人の事情」なんてものを描き出したところでまったく無意味だ。つーか、シークレットサービスが無能なわりに、テロリストの手際がやけに良いのも、逆に萎える感じ。


 しかも意外性もくそもないほど、ストレートなクライマックスに「なーんだ」と思ったりして、テンポがよく、上映時間がキリ良く終わる「普通」のずんどこアクション映画で、そういう映画は嫌いじゃないから見ている間は楽しんだけど。脚本については世評で言われてるほどには感心しなかったな。(★★★)