虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「超劇場版ケロロ軍曹3/ケロロ対ケロロ天空大決戦であります!」

toshi202008-03-09

監督:山口晋
脚本:横谷昌宏
原作:吉崎観音
総監督:佐藤順一



 意外な伏兵。


 サンライズ制作だけに作画面ではあれほど充実を見せながら、第一作で私の期待を大きく損ね、第2作も悪くはないにしても、決して私が期待した水準までは届いてなかった*1感の強いケロロ軍曹映画版である。
 が、シリーズ第3作。前作「深海のプリンセスであります!」より続投の山口晋監督(絵コンテ)と横谷昌宏脚本が描き出すのはテレビシリーズはおろか、前作までの劇場版をも包括し、総括する、4年分のアニメ版「ケロロ軍曹」の歴史に一区切りつける覚悟を感じさせる充実ぶりで、怒濤、一気呵成の面白さ。
 俺が第一作より期待し、待ちに待った、大スクリーンでの質、量ともに充実し死力を尽くした総力戦の様相である。


 南米の遺跡で、偶然ケロロ一行がよみがえらせてしまったのは、もう一人のケロロ軍曹を名乗るケロン人。彼はどこからか仲間を集め、西澤財閥の敷地を拠点に侵略を開始。インフラを押さえると同時に、全世界の人間を洗脳し、あっという間に地球をその支配下に収める。
 その洗脳を受けていないのはケロロ小隊とアンゴル=モア、冬樹、そしてサブローのみ。残った彼らはそれぞれがそれぞれに、反攻の狼煙を上げる。


 もうひとりのダークケロロの冷徹で手際の良い侵略に、テレビシリーズの「一向に侵略が進まないままもう4年」なケロロ小隊の甘さを見せつつ、だが、優秀な侵略者が決して得られないもの、について描くという視点がまず見事。
 経験が伴わないまま知識と方法論とプライドを詰め込まれたダークケロロは、軍曹と冬樹の仲の良さを理解できず、軍曹の大事な「冬樹」を手に入れようとする。しかし、「冬樹」への部下への誘いを断られ、プライドを傷つけられたのをきっかけに、「ダークケロロ」は徐々に冷静さを失っていく。
 やがて洗脳を解く法則を知ったケロロ小隊に、正気を取り戻した夏美と小雪(2人ともごくごく自然な流れで露出度が高い格好になっている辺りもポイント高い)が加わり、本気でケロロたちを追い詰めにかかるダークケロロ軍団と、ケロロ小隊とその仲間の総力戦に突入していく。


 手際の良いスピーディな展開に、硬軟使い分けた演出の妙。ケロロたちの無駄と言われればいえなくもない4年の歳月の中で得たものを肯定しつつ、実は●●●3部作の最終章でした、なんておまけまでつく充実した展開。ケロロ×冬樹、ギロロ×夏美、クルル×サブロー、タママ×桃華、ドロロ×小雪、と5組に分かれてそれぞれがパートナーを組み、それぞれの敵と戦うという趣向も実にハマっていて、なおかつ難関となるギミックのアイデアもバラエティに富んでいて、バトルに次ぐバトルという展開ながら、決して単調になることなく、クライマックスに向けて盛り上がっていくのもいい。
 パロディ部分もおろそかにされず、ガンダムネタのやりすぎっぷりまで堪能できるとあっては、もうお腹いっぱいであります。


 なによりも敵が「もうひとりのケロロ」であるため、救いのある内容になっているのも面白い。娯楽劇場用アニメとしては文句なしの充実ぶりで、久々になーんも考えずにこころから楽しめたアニメ作品でありました。大好き。(★★★★)

*1:感想もメモ書き程度にしか書いてない・・・