「マゴリアムおじさんの不思議なおもちゃ屋」
原題:Mr. Magorium's Wonder Emporium
監督・脚本:ザック・ヘルム
やたら評価の高い「主人公は僕だった」の脚本で、一躍その名を知られたザック・ヘルムの監督デビュー作品。
うーん。どうもこの人の作品とは相性が悪いな。
おそらくね、初監督作品ということで、かなり色々やりたいことをぶちこんで見たと思うんだよね。原作のない、まったくのオリジナルのファンタジーというのも、気合いが入ってる。んだと思う。その気持ちはまあ、わからんでもないけど・・・。
「主人公は僕だった」も個人的には乗り切れなかったんだけど、あれは方向性がはっきりしているからまだ楽しめた。こっちは乗るどころか、何がやりたいのかよくわかんない映画になってる。基本的には魔法の力でやたら長生きなおもちゃ屋のじいさんと、そこを手伝う女性や彼らに関わる税理士との交流、そして別れ、女性の成長を、一人の少年の目を通して「チャーリーとチョコレート工場」のような映像で描いていくんだけれども。
完全なファンタジーとして現実から切り離すこともできず、それなのに仙人のように生きるマゴリアムおじさんや、魔法のおもちゃ屋の存在に一片のリアリティすら感じさせず、世界観の作り込みも微妙に甘い。かといって女性映画として見ると明らかに踏み込めてないわけで。子供映画にしては目線が高くて、その線からも入り込めない。まさに八方ふさがり。
物語へのとっかかりもつかめぬまま、どんどん話は進行していく。もう、そうなると軽い拷問ですよ。どうすらいいんだと。
せめて、子供の目線からおもちゃ屋との出会いを描けたなら、もしくは完全に別世界の話と割り切った世界観づくりができたなら、もっと素直に童心に帰れたのにな、と残念に思いました。描きたいことを詰め込んだはいいけど、すべてが中途半端、というのがこの映画の最大の難点。(★★)