虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「陰日向に咲く」

toshi202008-01-28

監督:平川雄一
脚本:金子ありさ
原作:劇団ひとり



 悪く言いたくはない映画。



 というのはねー、キャストの演技は頑張ってるんだよねー。宮崎あおいや、岡田准一三浦友和伊藤淳史などの演技は出色だと思ったし。ただ、それがあまりに報われてなくて。監督の演出も非常にもっさりしているんだけど、それでも個々の役者の演技はすばらしかったし、あれを引き出せたんだからまったく才能がない、とも思わないんだけど。じゃあ誰が悪かったのか。うーん。


 やっぱ脚本・・・だよな。劇団ひとりの原作は未読なんだけど、これ、明らかに群像劇じゃないよね。絶対「オムニバス」で料理すべき話だと思うんだよね。


 つまり戦犯は、出来もしない群像劇に無理やり脚色した金子ありさ、もしくは彼女にそれを要求した人間たちにあると思う。とにかく、群像劇としては壊滅的につまんない。ゆるくリンクしているだけで、個々の話はてんでばらばらで、盛り上げどころもバラバラってのはいくらなんでもそらないんじゃないの。一言で言えば、「失敗だらけの「ラブ・アクチュアリー」」という感じで。秋葉原のアイドルおたくの恋バナなんて明らかに浮いてるわ、リアリティは皆無だわで、これ削るだけでもかなり違うはずなんだけどな。
 しかも、メインとなる鳴子と雷太の話がかなり後味悪い話で、それを無理矢理「泣き」にもってく節操のなさに愕然として、おまえそらいくらなんでも泣けねーよ、と思ったし。しかし宮崎あおいって、つくづく「メインキャラなのに酷な運命背負わされる役」多すぎるよね*1。「害虫」の呪いとしか思えない。


 
 せめて、個人的には岡田准一三浦友和の話に絞って映画化するなどの改変をするか、オムニバスで地道に語るかするだけでもかなり良くなったのに、と思う。個々のエピソード自体は決して悪かったとは思わないだけに、原作にそって気負わずに作れば、ここまで退屈な映画にはならなかったはずなのだが。惜しい。(★★)

*1:大河の「篤姫」だって基本は政略結婚させられるお姫様の話だし