虚馬ダイアリー

「窓の外」のブログ

「ベオウルフ/呪われし勇者」

toshi202007-12-06

原題:Beowulf
監督・製作:ロバート・ゼメキス
脚本:ニール・ゲイマン/ロジャー・エイバリー


 世に名高い、勇者王ベーオウルフ。殺戮を続ける怪物を見事に追い払い、その怪物の母親を退治。先王から禅譲され、彼の地の王となる。だが、彼には、人には言えない、秘密があった。彼は、「母親」の誘惑に負けたのである。だって見た目がアンジェリーナ・ジョリー(しかも全裸)だったんですもの・・・。 


 ひとくちにいえば「ご落胤」話である。ただし、もはや落とし種は人間じゃないんですけど。



 3D版で鑑賞したんだけれども、いやあ3Dってすげえよ。だって、アンジーのちちしりふとももが飛び出してくるんですぜ。うへへへへへ<だめだ。それどころか、ベオウルフの部下に色目を使う下女のオパーイでさえ、妙になまめかしかったりして。いやーん、おそるべし3D。


 などという冗談はさておき。この映画の本領は3Dで鑑賞することを意識した演出が多数あり、とにかく3Dで見ることで、この映画の評価はかなり変わると思う。




 元々の話は、堂々たるデーン人たちの英雄譚だったのに、それを一人の男の罪と罰の物語として大胆に翻案。つまるところ、ニール・ゲイマンたちの脚色は、日本で言うなら隆慶一郎の「影武者徳川家康」といった、史実や伝説の「裏」の部分を描くことで、逆に歴史には残らない人物たちのリアルな苦悩をありありと浮かび上がらせる手法である。
 つーか、「御落胤は怪物」ってのもすげー話だ。異種交配で強力な子孫が生まれる、ってなあ。なんか冨樫義博が書きそうな話。原作者が不明だから、出来ることなんだろうけど、それにしてもまあ、頭おかしい<誉めてます。



 感心したのは、大胆に脚色しながらも、大筋では原作を踏襲していて、なおかつ、娯楽活劇としてもきちんと見応えのあるものにしていること。特にクライマックスのドラゴンとの空中での対決は、3Dで見ると超がつくド迫力!高低差溢れるドラゴンの飛行に振り回される主人公の窮地を一体感をもって感じられる演出の数々は、まさに見てみなければわからない。
 3D版は2D版に比べると、眼鏡代の分やや割高なんだけど(割引もきかないし)、2時間のテーマパークのアトラクションと思えば、おつりがくる楽しさである。これはIMAXシアターとかで見たかった。


 これまでモーションキャプチャーによる3Dアニメを作り続けてきたロバート・ゼメキスが試行錯誤してきたの成果が、この3D版には詰まっていると思う。是非とも、映画館で、3Dで見られるべき映画。ひねくれたファンタジーとしての魅力もさることながら、得難い映画体験が出来る秀作に仕上がっていると思う。(★★★★)